PFASの曝露源及び体内動態解明のための介入試験による試行的調査(令和 8年度)
A Preliminary Intervention Study to Elucidate PFAS Exposure Sources and Toxicokinetics

予算区分
食品健康影響評価技術研究
研究課題コード
2627ZZ001
開始/終了年度
2026~2027年
キーワード(日本語)
PFAS,介入試験,曝露源,体内動態
キーワード(英語)
PFAS,Intervention study,Exposure source,Toxicokinetics

課題代表者

磯部 友彦

  • 環境リスク・健康領域
    曝露動態研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(農学)
  • 化学,生物学,解剖学

担当者

研究概要

本課題では、PFASの曝露源と体内動態の解析により、曝露量と体内濃度の関係の解明を通じて化学物質リスク評価に貢献することを目的とする。エコチル調査などの化学物質の健康影響に関する疫学調査では、体内濃度と健康影響の関係が解析されるが、これらの成果に基づいて化学物質のリスク管理を推進するには、曝露量と生体試料濃度の関係を把握する必要がある。我々のこれまでの研究で、曝露媒体試料と生体試料を採取する対面調査を実施することにより、パラベン類など一部の化学物質について生体試料濃度から曝露量を推計できることを示した。しかしながら、曝露経路が複数存在する物質については、曝露経路ごとの寄与率の把握が課題として残った。本課題では、成人男女50名を対象に対面調査を実施して曝露媒体試料(陰膳、ハウスダスト、水道水等)および生体試料(血液、尿)を採取し、それぞれのPFAS濃度を分析する。曝露媒体試料中濃度と別課題で得られた曝露係数を用いて推定曝露量と曝露源(曝露経路と寄与率)を推計する。血中PFAS濃度の高い参加者20名に対して、曝露量の低減を試みる介入試験を実施し、3ヶ月後に再度曝露媒体試料と生体試料を採取する。この間の生体試料中の濃度変化に基づいて、吸収・排泄速度等の体内動態パラメータを算出する。曝露源、曝露係数、体内動態に関する情報を総合的に解析することで、曝露量と体内濃度との関連を解明する。また、欧州におけるHBM4EUでは、生体試料分析に基づくバイオモニタリングと併せて種々の化学物質曝露を評価するための質問票調査も実施しており、PFASの曝露評価については、生活様式や食生活、使用製品に関する質問項目が挙げられている。生体試料濃度と質問票調査で得られた回答傾向から、質問票調査によるPFASの曝露評価の精緻化を目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

(1)研究項目:PFAS曝露源調査(研究担当者名:磯部友彦、高木麻衣(所属機関名:国立環境研究所)、研究担当者名:上山純(所属機関名:名古屋大学))
引き続き20〜30名をリクルートして対面調査を実施し、各種試料、生活パターン情報を取得する。初年度のリクルート数と合わせて2年間でのべ50名を対象とする。初年度と同様、対面調査で得られた曝露媒体試料、生体試料を分析し、曝露媒体試料中濃度と曝露係数情報から、対象物質の推定曝露量と曝露源(曝露経路と寄与割合)を算出する。

(2)研究項目:生活習慣と体内濃度との関係(研究担当者名:岩井美幸、高木麻衣(所属機関名:国立環境研究所))
曝露源の実測値を用いて、欧州のバイオモニタリングプロジェクト(HBM4EU)で使用されていたPFAS曝露因子質問票からPFAS曝露量を評価する際のバリデーションを行う。

(3) 曝露の低減を目的とした介入試験(研究担当者名:上山純(所属機関名:名古屋大学)、研究担当者名:中山祥嗣(所属機関名:国立環境研究所))
介入試験は、のべ20人程度となるように参加者を抽出する。介入試験参加者は、ランダムに2群に割り付け、PFAS曝露を低減できると思われる対策を講じるグループと対照群として、体内濃度の変化に差が生じるように設定する。PFAS曝露の低減策は、対面調査で得られた曝露現情報とこれまでの文献情報等に基づいて作成し、参加者には可能な範囲でPFAS曝露源を避ける生活をしていただく。

(4) バイオモニタリングと体内動態解析(研究担当者名:磯部友彦、岩井美幸(所属機関名:国立環境研究所))
介入期間の生体試料中濃度の変化に基づいて、体内動態パラメータ(半減期、尿排泄率、Cmax、Tmax等)を算出する。介入期間中に生体試料濃度が変化しない場合は、両群に把握できていない継続的な曝露が存在すると仮定し、体内半減期の文献値を用いて曝露量を推計する。申請者らの以前の研究で、最長2年半の食事指導により血中のPCB濃度が有意に低減することを観察しており、PCBと同様に体内半減期の長いPFAS関連物質についても数ヶ月程度の曝露低減策により体内レベルの低減を検出できる可能性が高い。

今年度の研究概要

(1)研究項目:PFAS曝露源調査(研究担当者名:磯部友彦、高木麻衣(所属機関名:国立環境研究所)、研究担当者名:上山純(所属機関名:名古屋大学))
初年度は、具体的な研究計画と参加者向け説明資料を作成した上で倫理審査を申請し、承認後20〜30名の調査参加者をリクルートして対面調査を実施する。生活習慣、食生活、住環境、製品使用状況等の生活パターン情報、パーソナルケア製品使用情報、曝露源調査のための曝露媒体試料(2日間の陰膳、3日間のハウスダスト、水道水)および曝露評価のための生体試料(血液、尿)を採取する。曝露媒体試料(陰膳、ハウスダスト、水道水、パーソナルケア製品)の分析から曝露経路を特定するとともに、別研究で得られた曝露係数を用いて推定曝露量と曝露源(曝露経路および寄与率)を算出する。

(2)研究項目:生活習慣と体内濃度との関係(研究担当者名:岩井美幸、高木麻衣(所属機関名:国立環境研究所))
生体試料の分析結果から、対象集団の曝露レベルと個人内・個人間の変動、欧州で使用されているPFAS曝露因子質問票、食事調査質問票の回答傾向と生体試料中PFAS濃度との関係を解析する。

(3) 曝露の低減を目的とした介入試験(研究担当者名:上山純(所属機関名:名古屋大学)、研究担当者名:中山祥嗣(所属機関名:国立環境研究所))
生体試料の分析結果に基づいて、血中PFAS濃度の高かった調査参加者(10名程度を想定)に対し、PFASの曝露源となる要因を避けた生活を心がけていただく介入試験を実施し、3ヶ月後に再度曝露媒体試料(陰膳、ハウスダスト、水道水、パーソナルケア製品等)と生体試料(血液、尿)を採取する。

(4) バイオモニタリングと体内動態解析(研究担当者名:磯部友彦、岩井美幸(所属機関名:国立環境研究所))
血液中PFAS分析については、提案者らの研究グループで35種のPFAS関連物質を対象としてエコチル調査やバイオモニタリングを想定したハイスループット定量分析法を開発しており、採取された血液試料については速やかにPFAS分析を進める。また、これを応用することで、曝露媒体試料保管など異なる媒体の分析を効率的に進める。

外部との連携

名古屋大学大学院医学系研究科の上山純教授との共同研究

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