加熱式タバコの受動喫煙を調査するための特異的マーカーの探索 (令和 8年度)
Identification of specific markers for assessing secondhand exposure to heated tobacco products

予算区分
喫煙財団研究助成
研究課題コード
2626KZ001
開始/終了年度
2026~2026年
キーワード(日本語)
加熱式タバコ,受動喫煙,モニタリング
キーワード(英語)
heated tobacco products,passive smoking,monitoring

課題代表者

野呂 和嗣

  • 環境リスク・健康領域
    計測化学研究室
  • 主任研究員

研究概要

当課題は喫煙財団研究助成により令和6年度〜令和7年度において実施された研究内容を踏まえ、実施するものである。
近年、加熱式たばこの利用者が増加し、加熱式たばこの受動喫煙リスクの評価が社会的に重要となってきた。
環境タバコ煙(ETS)のマーカーとして、ニコチンが用いられてきた。しかし、ニコチンは従来の燃焼式タバコと加熱式タバコの両方から放出されるため、加熱式タバコのみの受動喫煙を評価するためにニコチンを適用することはできない。
大気中のニコチンを全て燃焼式タバコ由来と仮定すると、加熱式タバコが燃焼式タバコと比べて有害成分の放出量が低減されている効果を評価することができない。そのため、燃焼式タバコと加熱式タバコの受動喫煙によるリスクを正確に評価するためには、加熱式タバコに由来する受動喫煙の評価手法が必要である。
そこで本研究では、加熱式たばこの受動喫煙リスクを評価するため、加熱式たばこ煙に含まれる特異的化学物質を探索する。この特異的物質の探索は、加熱式タバコの受動喫煙を評価するための基盤となる。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

(令和6年度)
研究初年度には、JT社のプルーム・テック・プラス、フィリプモリス社のIQOS3、ブリティッシュアメリカンたばこ社のgloTMを対象の加熱式たばことし、これらのたばこ煙に含まれる有機物の定性分析を行う。加熱式たばこの利用者は、フレーバー成分を含むタバコ葉を加熱し、発生する蒸気を吸引する。よって、これらのたばこ煙には、フレーバー成分と、加熱によって副生成する物質が含まれる。予備試験や文献調査の結果、メンソール、プロピレン、グリセロールなどが高濃度で検出されると予想する。
まず、加熱式たばこスティックの成分を定性分析し、これらに含まれる化学物質を特定する。さらに、加熱式たばこの主流煙を捕集し、同様に含まれる化学物質を特定する。
定性分析には、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を使用する。最初に、GC-MSのスキャン分析によって加熱式たばことそれらの煙に含まれる化学物質のマススペクトルを取得する。このマススペクトルをデータベースと照合し、サンプルに含まれる化学物質の候補物質を得る。最後に、候補物質の標準試薬を購入し、サンプルのマススペクトルなどと照合することで、化学物質を特定する。
特定された化学物質の中から、比較的高濃度で検出されたものを加熱式タバコ特異的マーカーの候補物質とし、その定量メソッドを構築する。
(令和7年度)
研究第2年度には、初年度と同様の製品を対象とし、これらのたばこ煙に含まれる金属の定量分析を行う。加熱式たばこには加熱の部品として金属が用いられていることが多く、金属は特異的物質の有力な候補である。異なるメーカーや製品に共通して含まれる金属を加熱式タバコの特異的物質の候補として選出する。
加熱式タバコの主流煙を捕集し、含まれる金属を定量分析する。異なるメーカーや製品に共通して含まれる物質を加熱式タバコの特異的物質の候補として選出する。
加熱式たばこの加熱温度が、たばこ煙への金属への移行量に影響する可能性がある。加熱温度は製品によって異なり、プルーム・テック・プラスは約40℃、IQOS3は300-350℃、gloTMは240-280℃である。加熱温度が比較的高温である製品は、移行量が多い可能性がある。
金属分析には、誘導結合プラズマ質量分析器を使用する。対象物質は、Al, As, Ba, Be, Bi, Ca, Cd, Co, Cr, Cs, Cu, Fe, Ga, K, Li, Mg, Mn, Na, Ni, Rb, Pb, Se, Sr, V, Znなどの25種とする。
(令和8年度)
研究第3年度は野外調査を実施し、初年度と第2年度の調査から選出された候補物質の中から加熱式タバコ特異的物質を決定する。
まず、喫煙所付近の大気を捕集し、候補物質を分析することで、環境たばこ煙に含まれる加熱式タバコ特異的物質の分析が可能であることを確認する。また、この候補物質が加熱式タバコの特異的マーカーとして適用できることを確認するため、非喫煙空間における候補物質のバックグラウンド濃度を把握する。
上記の野外試験の結果から、加熱式タバコ特異的マーカーの調査の実験条件を構築する。具体的には、サンプリング時間、コンタミネーションの防止手法、前処理法などを検討し、調査方法をマニュアル化する。
これらの評価から、受動喫煙の評価に適用可能な加熱式タバコの特異的物質を決定する。なお、適した特異的物質が発見されない場合は、候補物質の存在比の適用などを検討する。

今年度の研究概要

(令和8年度)
研究第3年度は野外調査を実施し、初年度と第2年度の調査から選出された候補物質の中から加熱式タバコ特異的物質を決定する。
まず、喫煙所付近の大気を捕集し、候補物質を分析することで、環境たばこ煙に含まれる加熱式タバコ特異的物質の分析が可能であることを確認する。また、この候補物質が加熱式タバコの特異的マーカーとして適用できることを確認するため、非喫煙空間における候補物質のバックグラウンド濃度を把握する。
上記の野外試験の結果から、加熱式タバコ特異的マーカーの調査の実験条件を構築する。具体的には、サンプリング時間、コンタミネーションの防止手法、前処理法などを検討し、調査方法をマニュアル化する。
これらの評価から、受動喫煙の評価に適用可能な加熱式タバコの特異的物質を決定する。なお、適した特異的物質が発見されない場合は、候補物質の存在比の適用などを検討する。

外部との連携

静岡県立大学食品栄養科学部の雨谷敬史 教授が研究代表者である。

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