GOSAT-GWの太陽光誘起クロロフィル蛍光プロダクトを利用した陸域生態系炭素循環の高精度推定(令和 8年度)
High precision estimation of terrestrial ecosystem carbon cycle via GOSAT-GW solar-induced chlorophyll fluorescence

予算区分
環境問題対応型研究(ミディアムファンディング枠) 2MF-2601
研究課題コード
2628BA005
開始/終了年度
2026~2028年
キーワード(日本語)
リモートセンシング,生態系物質循環モデル,放射伝達モデル,大気インバージョン,データ同化
キーワード(英語)
remote sensing,terrestrial ecosystem model,radiative transfer model,atmospheric inversion,data assimilation

課題代表者

齊藤 誠

  • 地球システム領域
    衛星観測研究室
  • 主任研究員
  • 博士(理学)
  • 理学 ,地学

担当者

研究概要

陸域生態系の総一次生産量(GPP)は生態系の炭素収支の中における唯一の炭素吸収プロセスであり,その正確な評価が求められている。申請者らは,過去の研究で太陽光励起クロロフィル蛍光(SIF)データの標準化およびGPP推定スキームを開発し,GOSAT-2のSIFデータを用いた日本周辺域の月平均GPPマップを試作したが,観測頻度が十分ではなく,日本全域や都道府県レベルでの炭素吸収量評価には限界があった。2025年に打ち上げられたGOSAT-GWでは,空間解像度やサンプリング頻度が大幅に向上し,広域観測モードでは10km,精密モードでは1〜3kmでの観測が可能となる予定であり,全球スケールでの評価に加えて,これまでは不可能であった都道府県レベルでのGPP 評価に活用されることが期待できる。しかし,その実用化には,補助データの整備や即時解析を実現するためのシステム開発が不可欠である。
本研究は,GOSAT-GWから得られるSIFデータを活用し,1〜10kmの空間解像度でGPPを推定し,公開システムを開発する。また,開発したGPP推定システムのプロトタイプからデータ同化研究などを進め,政策決定者や環境研究者に向けた活用方法の指針を提供し,プロダクト利用研究を促進することも目的とする。申請者チームは,これまでにSIF 射出モデル(FLiES-SIF)の開発や,SIFとGPPの対応関係の解析を進めており,これらの知見を集約して,全球GPP推定手法を構築する計画である。GPP推定に加えて光合成活性パラメータや観測SIF寄与率の同時推定を行うほか,C-40 大都市周辺では1km スケールの詳細なGPP の評価を試行するなど,独自性と新規性を持つシステムを構築することで,国際的にも重要な参照データを提供することが期待できる。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

サブテーマ1「陸域生態系3 次元放射伝達モデルによる準リアルタイムなグローバル総一次生産量の推定」では,放射伝達モデルFLiES-SIFにGOSAT-GWのSIFを入力し,光合成速度を計算する。地上レーザ計測データなども利用し,主要生態系タイプの葉からのSIF放出に関する角度依存性を計算し,サブテーマ2のVISIT-SIFに渡す。
サブテーマ2「陸域生態系モデルへのデータ同化と大気インバージョンを用いたグローバル二酸化炭素収支の高精度予測と診断」では,GOSAT-GWのSIFを生態系モデルVISIT-SIFに同化しパラメータ最適化を行い,出力されるGPPおよびNEPを地上観測データと比較検証した後で,グローバルな将来予測を行う。最適化されたVISIT-SIFのNEPを,GOSATシリーズ全球吸収排出量プロダクトの先験情報に導入し,長期全球地表面CO2フラックスの精度向上を図る。
このプロジェクトの中で所内分担者はサブテーマ2に属し,齊藤はSIFからGPPを算出するVISIT-SIFおよび大気インバージョンを担当し,両角は衛星SIFおよび地上観測SIFデータを担当する。
令和8年度は地上観測データを用いたVISIT-SIFモデルのパラメータ最適化を行う。GOSAT-GW導入に向けたデータ解析を実施する。地上観測機器の校正・更新を行う。令和9年度はVISIT-SIFに対して衛星SIFをデータ同化する。またデータベースを用いたモデルの精度検証を実施する。令和10年度は衛星SIFによって最適化されたパラメータを利用し,将来予測シナリオに対して解析を行う。GOSATシリーズの大気インバージョンモデルの先験情報に導入し,グローバルな地表面CO2収支の逆解析を行う。得られた成果を発表する。

今年度の研究概要

国内外の地上SIF・GPP・NEPを測定しているフラックスサイトにおいて,陸域生態系モデルVISIT-SIFのパラメータ最適化をデータ存在期間(2019-2025年)に対して行い,SIF・GPP・NEP の再現を行う。その際にサブテーマ1の放射伝達モデルFLiES-SIFによるSIFの葉角度依存性に関するパラメータ推定値を利用する。その他入力データ整備も行う。さらにGOSAT-GW導入のテストとして,TROPOMI,GOSAT-2 等による既存衛星SIF を利用して,2018-2021 年のデータ同化を行い,モデルによる推定精度について調べる。大気インバージョンモデルに利用する入力データを準備する。また地上SIF・フラックス観測機器の校正・更新を行う。

外部との連携

研究代表者:加藤知道(北海道大学),分担者:小林秀樹(海洋研究開発機構),小杉緑子(京都大学),斎藤琢(岐阜大学),松本一穂(岩手大学)
所外の者が研究代表者である。

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