新たな脅威を含む災害時・事故時の水質管理の高度な統合化と実装(令和 8年度)Advanced integration and implementation of water quality management involving emerging threats during disasters and water quality accidents
- 予算区分
- 環境問題対応型研究
- 研究課題コード
- 2628BA003
- 開始/終了年度
- 2026~2028年
- キーワード(日本語)
- 水質事故,事故時の分析,事故時の対応,情報基盤,事故対応演習
- キーワード(英語)
- Water quality accident,Analysis at the time of accident,Response at the time of accident,Information system,Accident response exercise
課題代表者
小坂 浩司
- 環境リスク・健康領域
水道水質研究和光分室(リ健) - 上級主幹研究員
研究概要
水道では、年間約200件の水質事故が、水質汚濁防止法等での事故時の措置では数十〜数百件が報告される等、化学物質等が環境中に流出・排出される事故が多数発生している。病原微生物による感染事故、気候変動による藻類の異常発生にともなうシアノトキシン等、新たな事故や環境リスクも顕在化している。また、地方公共団体では職員数が減少し、事故対応体制が十分でない状況にあり、人材育成や部局間連携も含めた、対応力強化のための知見が求められる。
本研究では、多様化する人為由来有機化合物、シアノトキシン、病原微生物等の新たな脅威を含めて、災害・事故による水質異常の検知、分析、対応手法の開発、および地方公共団体等の事故への対応力強化手法の開発を行う。異常の検知は自動水質計器、分析は高分解能質量分析計で行う(サブテーマ1)。対応手法として、GISを用いた排出源推定の効率化を検討し(サブテーマ1)、変換過程や処理性予測に基づく処理オプションを整理する(サブテーマ2)。対応力強化手法として、演習や訓練の手法を構築する(サブテーマ3)。
研究の性格
- 主たるもの:政策研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
地方公共団体職員数の減少の中で、ICT技術を活用した災害・事故の異常検知から原因究明に至るフロー、新たな脅威を含めた処理方法を構築し、地方公共団体職員の対応力強化のための部局間の連携も見据えた事故対応演習手法の開発を行う。
サブテーマ1では、浄水場等に設置された有機物汚染の代替指標となりうる複数の項目の自動水質計器データを解析し、水質異常検知プログラムを開発する。水質事故時に必要な分析パラメータを整理し、事故の分類に応じた迅速スクリーニング分析手法や未知物質特定フローを作成する。GIS上で複数の事故関連情報を解析し、排出源推定の効率化を検討する。
サブテーマ2では、新たな脅威への対応としてPRTR物質やその他流出可能性のある化学物質、各種廃水の処理性や副生成物生成能データベースを作成する。事故原因物質が判明した場合、化学構造や物性から処理性・副生成物を予測するプログラムを開発し、迅速な処理オプション選択手順を確立する。シアノトキシンの分析法や産生能に影響する環境因子、処理性を整理し、水源汚染事故時の病原微生物迅速検出法も開発する。
サブテーマ3では、地方公共団体等の対応力強化を目的に組織や担当者に必要な対応力を整理し、その向上に向けた手法を開発する。環境・水道部局の連携強化策を検討し、対応力強化手法開発のため、地方環境研究所や水道事業体等とアクションリサーチを通じて演習等を進め、そのフィードバックを基に情報基盤や手法を改善する。事故情報を基に、発生原因や流出・排出されやすい物質の特徴を解析する。
今年度の研究概要
高分解能質量分析の質量データベースを拡張するとともに、事故時のスクリーニング分析の分析パラメータを評価する。これまでのデータベースの対象範囲を拡張し、PRTR物質、流出可能性のある化学物質の処理性、副生成物生成能データベースの作成を開始する。シアノトキシン類の一斉分析法、ウイルス、細菌等の病原微生物の迅速検出法を確立する。環境部局と水道部局の連携について課題を抽出し、連携強化に資する方策を取りまとめる。事故の発生原因や物質の特徴の解析、事故シナリオのリストを検討する。地方環境研究所や水道関係団体等との連携により担当者の対応力向上に資する演習を実施する。
外部との連携
国立保健医療科学院、京都大学、東京大学、公益財団法人東京都環境公社 東京都環境科学研究所、埼玉県環境科学国際センター、埼玉県企業局、東京都水道局、大阪市水道局、北千葉広域水道企業団、埼玉県衛生研究所、メタウォーター株式会社、株式会社堀場アドバンスドテクノ、いであ株式会社