社会システム領域(令和 8年度)Social Systems Domain
- 研究課題コード
- 2630RS060
- 開始/終了年度
- 2026~2030年
- キーワード(日本語)
- 環境問題,社会経済,持続可能性,
- キーワード(英語)
- environmental problems,society and economy,sustainable development,
課題代表者
高橋 潔
- 社会システム領域
- 領域長
- 博士(工学)
- 土木工学,工学
研究概要
先見的・先端的な基礎研究として、環境問題の原因であり同時に結果がもたらされる人間社会システムを中心に据えた一連の研究を進める。地球規模では、人口、食糧、エネルギー、土地利用等と環境問題との相互関係を示すためのデータ整備を継続する。地域規模では、環境・経済・社会関連目標を同時達成する持続可能社会のビジョンについて、現状把握及び将来推計に必要なデータ収集及び整理を行う。その他、社会システム分野研究の実施に有効な理論・手法の開発を行うとともに、知的基盤整備に資する情報について検討する。
政策対応研究として、アジア発展途上国における環境政策分析の人材育成と国際展開、人口減少下でCN、NP、CEに対応する地域インフラ・消費生活の分析と評価に取り組む。
また、持続可能な社会システムへの転換を目指す知的研究基盤整備として、社会システム転換の「進捗状況」や転換を促進する要因となる人々の「意識」や解決策としての「技術」などの情報を整備することを目的とする。そのために、環境・社会・経済・ウェルビーイングのサステナビリティ指標データの継続的公開、環境意識モニタリング調査による日本の一般市民における環境意識の長期的・短期的変化の分析、特許全件・全文情報解析による技術進歩動向把握とデータベース化などを実施する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
先見的・先端的な基礎研究に関して、炭素中立・循環経済・自然再興の同時解決や地域循環共生圏などの分析・評価にデータ整備や、政策評価手法の構築、統合的な政策パッケージの提示、政策支援ツールの開発、技術やイノベーションのあり方の議論を行う。また、参加型意思決定プロセスが重要となる時代において、国内外の研究者間ネットワークの他、自治体、企業、市民等との連携を強め、双方向の対話を進めつつ、環境の恵みを享受し続けるために必要な行動と対策について共通理解を醸成する意思決定手続きを検討する。さらに、個人の価値観と行動変容、将来世代への配慮、経済的効率性と社会的公平性との関係等、環境保全の背景にある理念について包括的整理を行う。
政策対応研究に関して、環境政策分析の人材育成と国際展開については、国立環境研究所においてこれまでに開発されてきたモデルや分析ツール、評価手法を活用し、トレーニングや政策対話、ワークショップ等を通じて各国で自律的に政策分析・評価を行うことが可能な人材を育成する。あわせて、国際展開の過程で得られる現地研究者や政策担当者、関連ステークホルダーからのフィードバックを研究に還元することで、ツールや分析手法の高度化を図り、研究・社会実装・人材育成が相互に発展する好循環の構築を目指す。地域インフラ・消費生活の評価については、推計手法の高度化を行い、地域の土地利用計画や施策・取組の転換の検討に利用することを目指して、地域インフラや消費生活に密接に関わる乗用車CO2や住宅CO2等の環境負荷と再エネ供給の定量化を行う。定量データの提供と併せて地域のCN、CE、NPに際して、現状把握、将来目標、対策検討、効果検証に資する、実効性の高い転換策の具体化と実装に向けた計画策定の標準的な手法の提案を行う。
知的研究基盤整備に関して、持続可能な社会システムへの転換を実現するために、知的基盤を整備・活用して、その推進を図ることが期待される。本課題では、持続可能な社会システムへの転換の「進捗状況」や、転換を促進する要因となる人々の「意識」や解決策としての「技術」などの情報を整備することを目的とする。進捗状況については、指標に着目し、環境・社会・経済・ウェルビーイングの構造を有する「SusBBヘッドライン指標」のデータ更新と指標項目の選定を行い、第六次環境基本計画や他の環境政策の動向に合致した指標体系としてリニューアルするとともに、継続的にデータの更新等を行う。意識については、国環研が対象とする環境テーマに関する意識について、一般市民3000人程度を対象としたウェブアンケートを実施する。5期において実施した気候変動に関する意識の質問項目も含めて、3年周期を目処に同じ質問項目での調査を行い、人々の長期的な環境意識データを蓄積する。さらに、環境に関する意識においてその時々の社会内での注目が集まっている事項についての質問項目も設定し、リアルタイムでの環境意識の議論や政策形成に寄与しうるデータの取得も適宜行い、社会的にホットな環境問題に対するデータに基づく学術的議論の基盤を提供する。技術については、公開特許情報の収集には、商用の特許検索サービスを契約して利用する。計画期間の前半は、日本国内の特許を中心にLLMによる分析を必要としない項目を対象としてデータベース化を進めるとともに、LLMによる分析手法の検討・確立を行う。中盤から後半にかけては、国外の特許にも対象を広げ、また、LLMを用いた分析結果を含めてデータベース化を行い公開を行う。その他、上記目的に合致する知的研究基盤の整備を適宜実施する。
今年度の研究概要
先見的・先端的な基礎研究に関して、環境問題の原因であり同時に結果がもたらされる人間社会システムを中心に据えた一連の研究を、定量的、定性的な観点から深化させる。地球規模における人口、食糧、エネルギー、土地利用等と環境問題との相互関係や、地域における環境・経済・社会関連目標を同時達成する持続可能社会のビジョンについて、現状把握及び将来推計に必要となる基礎的な分析を進める。また、社会の変化を評価できる新たなモデルなど、社会システム分野の研究に有効な理論・手法の開発を進める。
政策対応研究に関して、環境政策分析の人材育成と国際展開については、アジア展開を推進するために、マニュアルの整備・更新を進め、継続的なトレーニング体制を構築する。アジアの主要国においてトレーニングを実施し、若手研究者や政策担当者を中心に、モデルや分析手法を理解・活用できる人材層の形成と裾野拡大を図る。また、地域インフラ・消費生活の評価については、空間解像度と時間解像度のバランスの良い排出量推計手法の確立に取り組む。
知的研究基盤整備に関して、指標については、SusBBヘッドライン指標のデータ更新と指標項目の選定を行い、第六次環境基本計画や他の環境政策の動向に合致した指標体系としてリニューアルに取り組む。意識については、国環研が対象とする環境テーマに関する意識について、一般市民を対象としたウェブアンケートの準備を実施する。技術については、日本国内の特許を中心にLLMによる分析を必要としない項目を対象として技術のデータベース化を進める。
外部との連携
備考