地域における気候変動適応の社会実装に関する研究(令和 8年度)A Study on the Social Implementation of Regional Climate Change Adaptation
- 研究課題コード
- 2630AB119
- 開始/終了年度
- 2026~2030年
- キーワード(日本語)
- 社会実装,マルアダプテーション,地域知,シナジー
- キーワード(英語)
- Societal Implementation,Maladaptation,Local Knowledge,Synergy
課題代表者
藤田 知弘
- 気候変動適応センター
気候変動適応戦略研究室 - 主任研究員
研究概要
本PJは地域における適応の社会実装に研究者の立場から貢献することを目標とする。まず、適応策の立案・実施における科学知・地域知の役割と活用プロセスを整理し、適応能力を高めるガバナンス形成要因を成功事例や関連施策との関係分析から抽出する。次に、南西諸島・那須野が原等の国内特定地域で、観測から影響評価、適応策の検討・評価までを一貫して実施し、沿岸生態系・水資源を中心にマルアダプテーション回避や緩和策等とのシナジーを踏まえた統合型適応戦略を提案する。さらに、アジア・太平洋の途上国を対象に、現地調査と影響評価・要因分析結果を統合し、Climate-Resilient Development(CRD)に至る具体的なPathwayを構築する。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
PJ3-1:全国の自治体で地域適応計画の策定が進み実践段階へと移行しつつあるが、気候変動影響の将来予測データを十分に活用して戦略的な適応策を実践している地域の事例や、その成功要因等に関する知見は未だ乏しく、どのような科学的知見や情報に基づき、また、いかなる体制や進め方によって、適応が推進されるのかといった知見は得られていない。本課題では地域における気候変動適応策の立案において、科学知・地域知が果たす役割とその活用プロセスを明らかにし,地域社会の適応能力向上に資するガバナンス構築の要因を明らかにする.適応策成功事例の分析や適応策と他の関連施策との関係性の分析を通じて、実践的な適応戦略立案のあり方を探求する.
PJ3-2:本課題では地域の適応実践に科学的に貢献することを目的とし、国内の特定地域(南西諸島・那須野が原等)において、気候変動影響の観測、影響予測・評価、適応策の検討、適応策の効果の検証、適応策の社会実装(もしくは社会実装支援)までを一貫して行う。また、自然科学と社会科学の両方の観点から適応策の検討・実装・推進に必要な情報を整備する。分野としては沿岸生態系・水資源等に注目する。マルアダプテーション(不適切な適応)の回避や他の施策(例:緩和策等)とのシナジーも考慮した統合型適応戦略を開発し提案する。研究者だけでなく、地域気候変動適応センターやその他の自治体関連部署,地元の事業者などを巻き込んだ形で研究を推進する。
PJ3-3:本課題の目標は、現在において気候変動に脆弱なアジア・太平洋地域を対象に、Climate-Resilient Worldを具体的に描き、そこに至る道筋Pathwayを提示することである。特に途上国ではClimate-Resilientの実現とともに、将来に向けての開発(Development)を考慮したClimate-Resilient Development (CRD)のコンセプトが重要である。本課題では、この開発を考慮したClimate-Resilient Worldに向けたPathway、すなわちClimate-Resilient Development Pathwayの構築を目指す。本課題では横展開を見据えつつアジア1カ国、太平洋1カ国を対象にする。アプローチとしては現地調査・文献調査等を通じてCRDを実現する上での制約や方策を明らかにしつつ、さらにPJ1等の影響評価結果を用いて、CRDに至る具体的な道筋(CRD Pathway)を科学的な情報をもとに構築する。
今年度の研究概要
適応策の好事例から社会実装を支える共通要因を抽出し、体系化を図る。同時に、南西諸島や那須野が原等の特定地域を対象に分野別の気候変動影響評価を実施し、地域課題に即した具体的適応策を検討する。さらに、アジア・太平洋地域での調査を通じて適応推進の制約・障壁要因を多角的に特定し、国内外における実装加速に向けた実践的知見を整理する。