全球規模におけるGHG吸収・排出量の迅速な推計システム構築と変動要因の解明(令和 8年度)
Rapid Estimation of Global Greenhouse Gas Fluxes: Identifying the Drivers of Variability

研究課題コード
2630AB101
開始/終了年度
2026~2030年
キーワード(日本語)
温室効果ガス,自然起源吸収・排出源,観測,大気逆解析,広域評価
キーワード(英語)
Greenhouse Gas,Natural Sink and Source,Observation ,Atmospheric Inversion ,Large-Scale Assessment

課題代表者

中岡 慎一郎

  • 地球システム領域
    大気・海洋・陸域モニタリング推進室
  • 主任研究員
  • 博士(理学)
  • 理学 ,地学,物理学

担当者

研究概要

気候変動・地球規模汚染プロジェクトのPJ1として、地球規模における温室効果ガス(GHG)の吸収・排出量とその変動要因を明らかにする。まず、アジア太平洋域の熱帯から極域をカバーする広域観測ネットワークを基盤として、地上、船舶、航空機および衛星によるGHG濃度観測を継続・高度化する。さらに、安定同位体比、O2、CO、VOC等の関連成分、クロロフィル、SIF等の生態系・海洋関連パラメーター観測を組み合わせ、GHG収支を規定する過程を多面的に把握する。次に、これらの観測情報を、大気輸送モデル、大気逆解析、陸域・海洋生態系モデルおよび排出インベントリと統合し、全球およびアジア太平洋域におけるGHG吸収・排出量の推計システムを構築・運用する。CO2推計については迅速かつ定常的な運用を進めるとともに、CH4について発生源別寄与を考慮した推計システムを確立し、N2Oについても観測・解析基盤の段階的な整備を検討する。複数の観測データ、事前フラックス、大気輸送モデルおよび解析手法を用いたアンサンブル解析により、推計の頑健性を検証し、不確実性を定量化する。GHG収支の長期変動および年々変動については、気候変動・生態系変動・海洋変動と人間活動の双方から要因を解析する。また、大気観測に基づくトップダウン推計とボトムアップ型排出インベントリを国・地域別およびセクター別に比較し、両者の不一致の要因を診断することで、国レベルのGHGインベントリの正確性、信頼性および透明性の向上に貢献する。成果は査読論文およびGlobal Carbon Budget、Global Methane Pledge等で発信しするとともに、第2回グローバルストックテイク、IPCC評価報告書に科学的知見を提供することで貢献し、国内外の気候変動対策の実効性評価と政策決定プロセスの透明性向上に寄与する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

地球規模における温室効果ガス(GHG)の吸収・排出量とその変動要因を明らかにするため、アジア太平洋域の熱帯から極域をカバーする観測ネットワークを基盤として、地上、船舶、航空機および衛星による観測を継続・高度化する。また、安定同位体比、O2、CO、SIF、クロロフィル等の関連成分・パラメーターを活用し、GHG収支を規定する過程を多面的に解析する。さらに、これらの観測を大気輸送モデル、大気逆解析、陸域・海洋生態系モデルおよび排出インベントリと統合し、全球およびアジア太平洋域のGHG吸収・排出量を迅速かつ継続的に推計するシステムを構築・運用する。得られた成果は、全球グリッドデータ、統合報告書および査読論文として公表し、国際的なGHG収支評価や気候変動政策に貢献する。
1〜2年目は、GHG観測データをCO2推計モデルにインプットするフレームワークの構築に取り組み、CO2推計の迅速な定常運用に向けたシステムを整備する。また、CH₄についても推計手法を開発する。
3年目には、CO2推計システムの安定的な運用とCH4推計システムの定常運用に向けた整備を実施し、複数の観測データ、ボトムアップ手法で得られたGHGフラックス時空間分布、大気輸送モデルおよび解析手法を用いたアンサンブル解析により、全球・地域別推計の不確実性を定量化する。また、長期変動および年々変動の要因を自然変動と人間活動の両面から解析し、国際的な統合解析や第2回グローバルストックテイクに成果を提供する。5年目までには、N2O等のGHG収支推計への展開を図るとともに、トップダウン推計とボトムアップ推計によるGHG吸収排出インベントリの比較・検証を高度化する。さらに全球およびアジア太平洋域のGHG収支、変動要因および不確実性を統合的に評価し、Global Carbon Budget等の国際的取組に貢献するとともに、必要に応じて国レベルのGHGインベントリの信頼性・透明性向上に資する提案を行う。

今年度の研究概要

アジア太平洋域を対象とした地上・船舶・航空機・衛星観測によるGHG観測を実施し、観測データをCO2推計モデルへ入力するためのフレームワーク構築を進める。あわせて、安定同位体比やO2/N2比等の関連データを活用した解析手法の整備を進める。具体的には観測データと大気輸送モデル・大気逆解析を連携させ、CO2吸収・排出量を迅速に推計するシステム基盤を開発、さらに、CH4推計手法の開発に着手する。

外部との連携

東京大学、東北大学、北海道大学、千葉大学、宇宙航空研究開発機構、産業総合技術研究所、農研機構、海洋研究開発機構、気象研究所