水・大気・土壌などの媒体を横断する環境汚染に伴う人や生態系への新たな脅威の包括的把握・解決を目指す研究プログラム(令和 8年度)Research Program for the Comprehensive Assessment and Solutions of Emerging Human and Ecosystem Threats from Cross Media Environmental Pollution
- 研究課題コード
- 2630SP030
- 開始/終了年度
- 2026~2030年
- キーワード(日本語)
- 媒体横断汚染,PFAS,プラスチック,薬剤耐性
- キーワード(英語)
- Cross Media Environmental Pollution,PFAS,Plastics,Antimicrobial Resistance
課題代表者
山本 裕史
- 環境リスク・健康領域
- 領域長
- Ph.D.
- 化学,生物学,土木工学
研究概要
環境汚染を引き起こすPFAS・プラスチック・薬剤耐性菌の3つの新たな脅威となる環境汚染に対して、発生源・排出解析、多媒体横断動態解析、影響解析を同時に行い、人間の健康と生態系の健全性の向上に資する研究を行う。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:政策研究
全体計画
人間活動によって引き起こされた未知・未規制物質を含むパーフルオロもしくはポリフルオロアルキル化合物(PFAS)ほか残留性・移動性の高い媒体横断物質・プラスチック、その添加剤・薬剤耐性菌及び抗微生物剤の 3 つの新たな脅威となる環境汚染問題に対して、発生源・排出解析、多媒体横断動態解析、影響解析を同時に行い、ワンヘルスの観点から、人間の健康と生態系の健全性の向上に資する研究を行うことにより、レギュラトリーサイエンスの推進に貢献する。
この達成に向けて、PFAS、プラスチック、AMR それぞれについて実態調査等に基づく全体プロセス把握、環境動態予測及びリスク評価、評価指標の提案を行うとともに、課題に対する対策技術の提言や統合モデルの構築及びシナリオ分析結果を提示する取組を行う。
具体的には、残留性・移動性・毒性が高くPFASに代表される水・大気・土壌の各媒体を横断する複雑な化学物質群について、資源循環、安全確保の両面から環境動態及び人や生物へのリスクを把握し、課題解決のための評価指標や対策手法を提案する。同様に資源循環と安全確保が統合的に把握・対策が必要なプラスチックと添加剤等については、ライフサイクルを俯瞰したフロー・ストック及び環境リスクの現状理解と将来予測を実施し、課題解決のための評価指標や対策手法を提案する。自然共生と安全確保の統合的な把握・対策が必要な抗菌剤・抗生物質とこれに起因するAMRについては、人工圏での抗菌剤等の排出と処理や AMR の生成、環境圏での拡散、人(や生物)へのリスクを把握し、課題解決のための評価指標や対策手法を提案する。
これらの成果により、PFAS を代表とする媒体横断化学物質、プラスチックの微細粒子や添加剤、AMRや殺生物剤などによって生じている人の健康と生態系への脅威の程度を適切に把握し、対策の優先順位付けや選択肢の比較が可能な形で脅威低減のための処方箋を提案することで、健全な生活と生態系を実現するための実効的な意思決定を支える道筋を示すことができる。
今年度の研究概要
人間活動によって引き起こされた未知・未規制物質を含むパーフルオロもしくはポリフルオロアルキル化合物(PFAS)ほか残留性・移動性の高い媒体横断物質・プラスチックおよびその添加剤・薬剤耐性菌および抗微生物剤の3つの新たな脅威となる環境汚染問題に対して、発生源・排出解析、多媒体横断動態解析、影響解析を同時に行い、ワンヘルスの観点から、人間の健康と生態系の健全性の向上に資する研究を行うことにより、レギュラトリーサイエンスの推進に貢献する。
具体的には、「PFAS等の媒体横断物質のリスク低減に関する研究」「マイクロ・ナノプラスチック(MNP)の汚染状況と影響の把握と将来予測に関する研究」「抗菌薬・薬剤耐性(AMR)汚染の把握と管理戦略に関する研究」の3つの課題に取り組む。
「PFAS等の媒体横断物質のリスク低減に関する研究」については、検討するべき物質群を整理するとともに、資源循環、安全確保の両面から分析手法の構築などを通じて環境実態把握やその有害性評価などを進め、環境動態やリスク評価・管理に関連する重要なプロセスを把握する。
「MNPの汚染状況と影響の把握と将来予測に関する研究」については、生態影響が懸念される微細MNPを主対象に、測定法の高度化により環境・曝露実態を把握可能とし、環境動態モデルの改良のために媒体間移行を含む挙動理解の枠組みを明確化する。また、ライフサイクルを俯瞰してフロー分析と流出インベントリ手法の基本的構造を構築する。さらに、有害性評価や添加剤等化学物質の実態把握を推進して、リスク管理上の課題を整理する。
「抗菌薬・AMR汚染の把握と管理戦略に関する研究」については、自然共生と安全確保の統合的な把握・対策が抗菌剤・抗生物質とこれに起因するAMRの課題解決に向けて、抗菌剤等の発生源近傍での実態把握と毒性評価、野生動物の広域展開可能なAMRモニタリング手法開発、水処理や土地利用に伴うAMR動態を把握するための評価フレームを構築する。 これらを通じて、環境動態ならびに人や生物へのリスクを把握し、課題解決のための評価指標や対策手法を提案する。
外部との連携
【大学】東京大学、京都大学、大阪大学、九州大学、東京農工大学、横浜国立大学、金沢大学、山梨大学、愛媛大学、鹿児島大学、兵庫医科大学、富山県立大学、早稲田大学、日本大学、大阪工業大学ほか
【国立研究機関】国立医薬品食品衛生研究所、産業技術総合研究所、水産研究・教育機構水産技術研究所ほか
【地方研究機関】埼玉県環境科学国際センター、東京都環境科学研究所、大阪府立環境農林水産総合研究所、水道事業体ほか
【その他】日本自動車研究所、エックス都市研究所ほか