貧酸素水塊が生み出すラジカルが未知の物質循環を駆動する(令和 7年度)
Radicals produced by hypoxic water masses drive unknown material cycles.

予算区分
基盤研究(B)
研究課題コード
2528CD009
開始/終了年度
2025~2028年
キーワード(日本語)
物質循環 ,底質,貧酸素化,琵琶湖,ラジカル
キーワード(英語)
material cycle,bottom material,oligotrophication ,Lake Biwa,radical

課題代表者

近藤 美由紀

  • 環境リスク・健康領域
    計測化学研究室
  • 主任研究員
  • 博士(農学)
  • 化学,生物学,農学

担当者

研究概要

地球温暖化の影響で琵琶湖などの閉鎖性水域に貧酸素水塊が出現しています。この水塊は湖内で移動し、酸化還元雰囲気の変動を引き起こしています。申請者は超高感度腐植様蛍光(FDOM)センサーを用いて、酸化還元変動と蛍光特性の変化が連動していることを発見しました。これにより、腐植物質のキノン構造が変換され、過酸化水素が生成されることが確認されました。貧酸素水塊は琵琶湖盆を年間約180周回り、酸化還元変動を引き起こし、有機物の量を減少させる可能性があります。本研究課題では・OHの生成メカニズムを明らかにし、有機炭素の生物利用可能性を評価します。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

本研究は「光が届かない湖底環境においても腐植物質に由来するラジカルがこれまでの物質循環を変化させるほどに生成され、無差別な有機物の酸化分解によって固定化される運命であった有機炭素がどの程度回帰するのかを定量的に評価する」ことを目的とし、これまで開発・確立した方法を駆使し、定性的・定量的に・OHの生成メカニズムを明らかにし、固定化される運命であった有機炭素量の生物利用可能性成分等への回帰率を決定する。この中で、多機能マルチショットパイロライザーを用いたPy-GCMSおよびEGA-MSを用いて得られる、貧酸素水塊がもたらす酸化還元雰囲気変動にさらされる底質表面近傍の湖水中の溶存有機物及び懸濁態粒子と湖底堆積物の化学構造の迅速スクリーニング結果の妥当性を、環境研所有のOrbitrap質量分析計と、神戸大学所有の核磁気共鳴スペクトル法(NMR)及びフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FT-ICR MS)で確認する。これらの構造情報は・OHの生成ポテンシャルを決定するため必須の情報となる。

今年度の研究概要

Orbitrap質量分析計を用いて琵琶湖湖内天然有機物(NOM)の化学構造解析を行うため、国際腐植物質学会(IHSS) から腐植標準試料として頒布されているSuwannee River Fulvic Acid Standard を用いて、Orbitrapでの腐植物質の測定条件の検討を行う。

外部との連携

研究代表:布施 泰朗(京都工芸繊維大学)
共同研究先:京都工芸繊維大学、神戸大学、滋賀県琵琶湖環境科学研究センター、立命館大学、京都大学

関連する研究課題

  • : 環境リスク・健康分野(ア先見的・先端的な基礎研究)
  • : 基盤計測研究(ア先見的・先端的な基礎研究)
  • : 基盤計測業務(ウ知的研究基盤整備)