令和7年度農薬生態リスクの新たな評価法の確立及びリスク評価の適正化事業(調査研究)(令和 7年度)
FY2025 Contract research work on the development of new assessment method for ecological risk of pesticides and optimization of risk assessment

研究課題コード
2525BY007
開始/終了年度
2025~2025年
キーワード(日本語)
OECDテストガイドライン,ユスリカ,底質リスク評価,内分泌かく乱化学物質,意見交換会
キーワード(英語)
OECD test guideline,midge,sediment risk assessment,endocrine disrupting chemicals,discussion meeting

課題代表者

山本 裕史

  • 環境リスク・健康領域
  • 領域長
  • Ph.D.
  • 化学,生物学,土木工学

担当者

研究概要

農薬の生態影響評価については、第6次環境基本計画(令和6年5月21 日閣議決定)において、長期的な農薬ばく露の影響に関する評価を導入し、農薬登録制度における生態リスク評価の拡充を図ることとされている。このことを踏まえ、環境省では、水域の生活環境動植物に対する農薬の長期的なばく露の影響評価手法について検討し、中央環境審議会水環境・土壌農薬部会において答申案が取りまとめられる等、生態影響評価の充実を図ってきた。
本業務では、水域の生活環境動植物に対する農薬の影響評価方法のさらなる充実及び評価の適正化に向けた技術的な検討等を行うことを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

(1)ユスリカ幼虫を用いた毒性試験の実施と試験要求スキームに係る検討等
 現在、導入に向けた検討を進めている農薬の長期的なばく露の影響評価においては、当面、魚類及び甲殻類等を対象とし、甲殻類等としてはオオミジンコを対象とする予定である。しかし、中長期的な課題として、水生昆虫を対象とした評価の導入に向けた検討の必要性が指摘されているところである。そのため、本業務では、令和2年度から令和6年度までに実施した「農薬生態リスクの新たな評価法確立事業(調査研究)」の成果を踏まえ、以下の業務を行う。
 過年度事業において、殺菌剤・除草剤のユスリカに係る慢性毒性値を整理した結果を踏まえ、当該農薬を対象に、作用機序や物性、ユスリカの長期ばく露影響評価試験(OECD テストガイドライン219 等)やミジンコ繁殖毒性試験(OECD テストガイドライン211)、ミジンコ急性遊泳阻害試験(OECD テストガイドライン202)やユスリカ幼虫急性遊泳阻害試験(OECD テストガイドライン235)の実施状況や試験結果等を踏まえ、3物質程度について、ユスリカ幼虫急性遊泳阻害試験(OECD テストガイドライ
ン235)を実施すると共に、1物質以上について、ユスリカの長期ばく露影響評価試験(OECD テストガイドライン219)を実施する。なお、評価対象物質は環境省担当官と相談の上、決定する。
 また、過年度における殺虫剤に係る検討結果等を踏まえ、水域の生活環境動植物への農薬の影響評価におけるユスリカの長期ばく露影響評価試験の要求スキーム案について検討すると共にその根拠となるバックデータを整理し取りまとめる。

(2)農薬の底生生物へのリスクに係る試行的評価
 農薬登録制度における水域の生活環境動植物に係る評価の体系に底生生物の評価を導入することを検討するため、「令和5年度農薬生態リスクの新たな評価法確立事業(調査研究)」において、欧州食品安全機関(EFSA)や米国環境保護庁(USEPA)における底生生物に対する農薬のリスク評価の現状および今後の計画について、平衡分配法や底生生物を用いた底質試験法、環境中濃度や予測濃度の利用も含めて情報を収集した。本業務では、当該情報収集の結果及び化審法やリスク初期評価事業、諸外国の手法等を参考に、難水溶性で残留性が高く、底質に吸着しやすい農薬のうち、国内での底質リスクが高いと考えられる2剤程度について、既存の毒性試験およびばく露情報等を用いて底質リスク評価を試行的に実施する。なお、評価対象物質は環境省担当官と相談の上、決定する。また、過年度事業報告書については契約締結後、環境省担当官より提供する。

(3)効果的な河川モニタリング調査の実施に向けたモデル活用に係る検討
 相対的に生態リスクが高いと考えられる農薬については、河川モニタリング調査等を実施し、リスク評価結果の妥当性やリスク管理の実効性を検証することが必要である。効果的・効率的に河川モニタリング調査を実施するためには、多数の評価対象農薬の中から、使用量(出荷量)の推移や当該農薬の使用地域での実態等を考慮し、評価対象とする農薬や調査対象とする地域等を選定することが重要である、本業務では、より効果的・効率的に水質モニタリング調査を実施し、リスク評価結果の妥当性やリスク管理の実効性の検証のさらなる充実に繋げることを目的に、欧米など諸外国において活用されている、地域により異なる農薬の普及状況や農地の利用形態などの地域差を考慮した、農薬の環境中濃度の予測方法等について情報を収集・整理する。

(4)ゼブラフィッシュを用いた魚類胚期急性毒性試験の実施
 ゼブラフィッシュを用いた魚類胚期急性毒性試験(FET 試験)は、OECD テストガイドライン236 として公表されている魚類胚を用いた急性毒性試験である。当該試験法については、欧州を中心に、現状、weight of evidence アプローチの中で使用可能な方法と位置づけられており、また、動物福祉の観点から、魚類急性毒性試験(OECD テストガイドライン203)の結果を予測可能な方法として、技術的な観点や規制への活用可能性の観点等での検討が国内外で進められている。
 本業務においては、既存の文献情報や農薬の作用機構等を考慮しながら、殺虫剤・除草剤・殺菌剤のうち、FET 試験と魚類急性毒性試験(OECD テストガイドライン203)の結果の差異が大きい作用機構分類群等を対象に、FET 試験を実施する(5剤程度)。また、当該データ及び過年度までに収集したデータを取りまとめ、物理化学的特性や作用機序、化学構造等を踏まえて、農薬の評価におけるFET 試験の活用の可能性について検討し、FET の適用可能性等について取りまとめる。なお、評価対象物質は環境省担当官と相談の上、決定する。また、過年度事業報告書については契約締結後、環境省担当官より提供する。

(5)内分泌かく乱作用を有する可能性のある農薬への対応策の検討
 欧米をはじめOECD では内分泌かく乱化学物質の評価のための試験法フレームワークが完成に近づきつつあり、国連GHS 分類(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)でも水生生物への内分泌かく乱作用の評価の導入が検討されている。また、令和4年に環境省において開始した「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対応−EXTEND2022−」では、これまで対象とされていなかった農薬についても一部、情報収集や試験対象となった。また、米国EPA での内分泌かく乱化学物質スクリーニングプログラム(EDSP)では、多くの農薬が評価対象となっている。本業務では、日本における登録農薬の日本国内、EFSA や米国EDSP での現在の内分泌かく乱作用に係る試験実施状況に係る情報を収集・整理し、収集・整理した試験結果と国内の農薬登録基準を比較する。

(6)OECD テストガイドラインの改訂支援
 過年度までの「農薬生態リスクの新たな評価法確立事業(調査研究)」において、日本がフランスと共同でOECD に提案した藻類生長阻害試験(OECD テストガイドライン201)の改訂案について、珪藻(Navicula periculosa, UTEX-664: 欠損株)の代替株として、生長速度が非常に早いMayamaea permitis(NIES-2724)を用いた国内外のリングテストが概ね終了し、検証レポートの素案が完成した。本業務では、2025 年10 月に開催される予定のOECD 専門家会議VMG-eco までに検証レポートの改訂案をとりまとめ、2026 年4 月のナショナルコーディネーター会合での承認に向けて、検証レポート改訂案に対する各国専門家からの意見への回答を作成し、また、それらを踏まえた改訂案ドラフトを作成する。

(7)農薬の生態リスク評価手法等についての国外の最新知見の収集
 令和7年11 月16 日から20 日に開催されるSETAC North America 46th Annual Meeting(米国オレゴン州ポートランドOregon Convention Center)へ専門家を派遣し、専門家が当該学会において収集した農薬の生態リスク評価手法等についての国外の最新知見を専門家より聞き取り、取りまとめる。学会への参加申込みは専門家が自ら行う。

(8)銅剤(農薬)のリスク評価方法及び河川モニタリング方法に関する検討
 欧米では、銅による水生生物に対するリスク評価において、生物利用可能性を考慮した評価方法の導入が進められており、我が国においても、有効成分として銅及びその化合物を含む農薬のリスク評価や河川モニタリングのあり方、方法に係る検討が必要である。本業務では、それら手法等の検討に資するため、欧米における銅剤(農薬)のリスク評価やモニタリング等のリスク管理の考え方、方法等に関する情報を収集し整理する。

(9)リスク評価の適正化に向けた試験施設との意見交換会の開催等
 農薬登録制度における水域の生活環境動植物に係るリスク評価を適正に進める上で、申請者や民間試験機関等に、農薬の水域の生活環境動植物に係るリスク評価に必要な科学データの取得や収集に関する留意事項や技術的事項等に係る見識等を深めてもらうことが必要である。本業務では、生態毒性GLP 試験施設(5施設を予定)と専門家2名程度及び環境省担当官との意見交換会(Web 会議)を開催する。その際、過年度までの農薬の水域の生活環境動植物に係るリスク評価において、特に議論となった論点を分析・整理し、当該論点と関連するOECD ガイダンスドキュメント23 の事項の解説等、情報提供する。本業務では、運営計画の策定、開催案内の送付、日程調整、Web システム手配、参加者募集、専門家への参加依頼、資料の作成、Web システムの使用、事務局として10 名程度収容できる部屋の準備(請負者の会議室を利用することも可とする)、及び議事進行・資料説明等の開催・運営に必要な一切の業務を行う。資料は電子媒体で作成し、電子媒体のまま配布する。参加者は各試験機関、環境省担当
官等を含め50 名程度とする。

(10)環境省担当官との協議及び報告書の作成
 上記(1)〜(9)の実施にあたっては、おおむね実施前、実施中(中間報告)及び実施後の3回程度、試験方法や試験対象農薬の選定、取りまとめ方針等について、環境省担当官と協議するとともに、実施結果を報告する(Webもしくは対面)。

今年度の研究概要

同上

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