令和7年度複数化学物質に係る生態影響評価手法等検討業務(令和 7年度)Contract study on the ecological risk assessment of multiple chemicals in FY2025
- 研究課題コード
- 2525BY006
- 開始/終了年度
- 2025~2025年
- キーワード(日本語)
- 混合物,相対効力係数,生態毒性試験,グルーピング
- キーワード(英語)
- mixture,relative potency factor,ecotoxicity test,grouping
課題代表者
山本 裕史
- 環境リスク・健康領域
- 領域長
- Ph.D.
- 化学,生物学,土木工学
研究概要
化学物質の影響評価やリスク評価は、これまで個別の化学物質を対象として進められてきており、一般環境中で想定されるような、複数の化学物質に同時にばく露された場合の影響(化学物質の複合影響)の評価手法については、あまり検討が進んでいない。このような評価手法を確立するためには、化学物質の複数同時ばく露が野生生物に対して及ぼす影響を明らかにすることが重要である。
本業務では、環境リスク評価における複合影響評価のあり方の検討に資することを目的として、複数の化学物質による生態毒性評価に係る実験的な検討を行うとともに、複合影響評価に係る段階的評価の枠組みの下で、生態影響に係る高次有害性評価を試行する。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
(1)複数の化学物質による生態毒性評価に関する実験の検討、試験の実施
魚類、甲殻類及び藻類を用いた毒性試験を実施し、生死、発達、生長又は繁殖に関わるエンドポイントへの作用・影響の有無及び NOEC(最大無影響濃度)・LOEC(最小影響濃度)又は ECx(x%影響濃度)等のデータ収集を行う。
ア)試験対象物質
試験対象物質は、化学物質審査規制法(以下、「化審法」という。)の優先評価化学物質に指定されているなど、生態リスクが懸念されている、混合物や類似物質群(過去の業務において一連の信頼できる実験データが不足していた物質群など)のうち以下の条件を満たす3種以上を2組以上選定する。ただし、生物によって化学物質に対する感受性が異なるため、すべての生物が共通の化学物質の組合せを用いるとは限らない。最終的に環境省担当官の確認を経た上で決定する。
イ)試験生物
慢性毒性試験、亜慢性毒性試験又は急性毒性試験を採用する。試験対象生物は、魚類はメダカ(Oryzias latipes)又はゼブラフィッシュ(Danio rerio)、甲殻類はオオミジンコ(Daphnia magna)又はニセネコゼミジンコ(Ceriodaphnia dubia)、藻類はムレミカヅキモ(Pseudokirchneriella subcapitata)とする。試験には、試験実施施設で自家繁殖させた履歴が明らかで、かつ、健康な個体を用いることとし、請負者が調達する。
ウ)試験の方法及び条件等
試験の方法及び条件等は、魚類はOECD TG No.212 F又は同 No.203 、甲殻類は同 No.211、同 No.202 、又は「生物応答を用いた排水試験(検討案)(排水(環境水)管理のバイオアッセイ技術検討分科会)のニセネコゼミジンコを用いた繁殖試験、藻類は OECD TG No. 201に準拠する。
ア)にて選定した物質について、?各物質単独でのばく露、?各組合せによる同時ばく露、の両方を実施する。
エ)エンドポイント
エンドポイントは、魚類の場合はふ化率、ふ化後生存率、全生存率、甲殻類の場合は産仔数、藻類は生長速度とする。また、魚類の場合は外観・行動の異常等についても観察を行い、所見を記録する。
オ)試験結果の算出及び統計解析
各エンドポイントは、適切な解析手法により NOEC・LOEC 又は ECx 等を求める。各エンドポイントの測定結果やその他のデータは、図表等に取りまとめる。
(2)生態影響に係る高次の有害性評価及びリスク評価の試行
(1)と同様に化審法の優先評価化学物質に指定されているなど、生態リスクが懸念されている混合物や類似物質群の生態影響を対象として、化学物質の複合影響評価に係る WHO/IPCS フレームワークの Tier 2 に相当する有害性評価を試行する。令和6年度までの本業務の成果を踏まえ、更に必要な検討を行うことにより、物質群としてのアルキルフェノール類、及びフタル酸エステル類のそれぞれについて、Tier 2 に相当する生態リスク評価の実施に向けた有害性評価の試行結果を取りまとめる。さらに、環境中における同時測定データが得られた物質群については、Tier 2 に相当する生態リスク評価の試行結果を取りまとめる。加えて、カチオン性界面活性剤についてこれまでの範囲をさらに拡大して Tier2 に相当する生態リスク評価の有害性評価の方法案を取りまとめる。
ア)生態影響に係る Tier 2 有害性評価の進め方
生態影響に係る Tier 2 有害性評価では、共通の影響に着目した評価の可能性を検討する。複合影響評価の試行として、入手可能な知見の整理を行いつつ、評価の試行としての妥当性を考察する。
評価対象物質群の生態毒性に係る情報を広く収集し、3栄養段階に分けて整理した上で、生物種及びエンドポイントに留意しつつ総合的に俯瞰し、どのような関係性が見出せるかを検討する。特定の生物群に対する共通の影響が見出せた場合は、これに着目して各物質の毒性の相対的な強度(relative potency)を検討する。知見が得られなかった物質については、他の物質の毒性情報に基づき、補間、類推等を行う。
十分な情報が得られた場合は、相対強度係数(relative potency factor)の設定を検討する。これらの関係が明確には見出せない場合は、Tier 2 有害性評価としてどのように知見を集約し、複数化学物質を対象とするリスク評価をどのように行うべきかについて考察する。
イ)情報収集の範囲
ケーススタディとして、化審法スクリーニング評価における情報収集の範囲を基本とする。
ウ)信頼性評価の方法
得られた知見の信頼性評価は、専門家(表1参照)による査読を行い、ワーキンググ
ループにて実施する。ワーキンググループは非公開で開催(2回、 web 会議、半日開催を予定)することとし、ワーキンググループの開催に当たり専門家の日程調整、資料の作成、ワーキンググループの運営を行う。信頼性評価の考え方は、化審法リスク評価に準じるが、同評価における信頼性評価の全項目を網羅する必要はない。本ケーススタディにおける既存知見の精査は、共通の影響に着目した有害性評価の可否の検討を含め、Tier 2 評価としての妥当性を判断する観点から行う。
エ)生態影響に係る Tier 2 リスク評価の試行的実施
令和6年度までの本業務において Tier 2 有害性評価に係る検討を進めた物質群について、環境中濃度の測定値等を参照することにより、生態影響に係る Tier 2 リスク評価を試行する。試行結果を取りまとめるとともに、評価における課題等について考察する。
(3)複数化学物質の環境リスク評価に係るガイダンス(案)の作成支援
(1)及び(2)の検討を踏まえ、環境行政において実施する環境リスク評価において参照されるべき「複数化学物質の環境リスク評価に係るガイダンス(案)」において、Tier 2 レベルの生態リスク評価における検討手順案、生態リスク評価におけるケーススタディなど、盛り込むべき課題を整理し、令和7年 12月末までに提示するとともに、ガイダンスの作成支援を行う。
(4)検討会等への報告
業務(1)〜(3)の結果については、環境省が別途発注する「令和7年度化学物質複合影響評価手法検討調査業務」において開催する「化学物質複合影響研究班」(年2回、web 会議にて開催を想定)に報告するため、環境省担当官の指示に従い資料を作成の上、電子メール等で環境省担当官に提出する。また、同会議全てに出席し、必要に応じて資料に関する説明、質疑応答を行う。
(5)報告書の作成
(1)〜(4)の成果を取りまとめた報告書を作成する。
今年度の研究概要
同上
関連する研究課題
- 27217 : PJ2_脆弱性を考慮した生態系影響の有害性評価と要因解析に関する研究
- 27220 : PJ5_包括健康リスク指標と包括生態リスク指標の開発に関する研究
- : 環境リスク・健康分野(イ政策対応研究)