環境動態モデルと実測による規制・未規制PFASの包括的な水道水源水質管理戦略と水質監視手法の構築(令和 7年度)
Development of a comprehensive water quality management strategy and monitoring methods for regulated and unregulated PFAS in drinking water sources using environmental modeling and analysis

予算区分
5-2503
研究課題コード
2527BA011
開始/終了年度
2025~2027年
キーワード(日本語)
PFAS,環境動態モデル,水道水源,水質,管理戦略
キーワード(英語)
PFAS,Environmental modeling,drinking water source,water quality,management strategy

課題代表者

大野 浩一

  • 環境リスク・健康領域
    環境リスク科学研究推進室
  • 室長(研究)

担当者

研究概要

本研究はペル及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)全体の効果的な環境リスク管理に向けて、多媒体環境動態モデル予測と環境水モニタリングを連携した包括的な水道水源水質管理戦略を構築することを目的とする。規制対象となるPFASだけではなく、水中移動性の高さから飲料水源に混入する可能性の高い未規制PFASの環境水濃度も対象とした包括的な管理戦略を構築する。
環境動態については、全国規模のPFOS・PFOAの環境排出シナリオを設定し、多媒体環境動態モデル(G-CIEMS)を用いて環境中濃度の過去からの長期トレンドを予測し、未規制を含むPFASの表流水濃度の設定値超過確率の導出方法を構築する。さらに用途別の出荷量や環境排出量データにより構築したシナリオを基に、監視すべきPFAS群の物性と監視地点について提案する。動態モデルの主要パラメータであり、物質の環境移動性を決める土壌吸着係数(Kd)をミニカラム吸着実験により測定する。測定は30種程度のPFAS、10種程度の土壌試料を用いて行い、測定結果を基にKdの予測モデルの開発も行う。
実測に関しては、現状における実環境水中でのPFAS濃度について移動性の高いPFASも含めた表流水と地下水の水質測定を行う。表流水は約40種のPFASとTOP assay(全酸化可能前駆体分析)、TOF(全有機フッ素化合物)の測定によるPFAS汚染源のプロファイリングを行い、地下水では年代測定トレーサー、生活排水マーカー等も含めた実態調査を実施し、解析においては本研究で得られるKd等を活用し、地下水中PFASの動態に関する水文地質的解析とPFAS排出源の推定を行う。
モニタリング結果とモデル推定の結果を比較し、未把握のPFAS発生源について推定する。最終的にこれら物性試験、環境動態モデル、分析結果を総合的に解析して、長期的な水質管理手法を構築する。また、将来、未規制PFASを追加浄水処理する必要が生じる場合のコストについて試算し、残留性、生産量、環境排出量などの登録管理の有用性について示す。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

モニタリングと多媒体環境動態モデルの併用により、移動性が高く未規制のPFASを含むPFAS全体の水道水源水質管理戦略を構築する。そのために、PFASの環境動態予測に重要な物性である土壌吸着係数(Kd)の土壌ミニカラムを用いた実験による測定と予測を行う。多媒体環境動態モデルを用いて、環境中濃度の長期変動を予測するとともに代表的なPFASの設定値超過確率を全国河川について推定する。水質分析では、約40種のPFASおよびTOP assay(全酸化可能前駆体分析)、全有機フッ素(TOF)について業種別排水や環境水の分析を実施し、各試料水に特徴的なPFASのプロファイリングを行う。地下水においては、汚染源における実態調査を行い、Kd値、各種トレーサー、汚染源のPFAS組成、地質情報などを活用し、汚染源から地下水に至るまでのPFAS濃度やプロファイルの変化を提示する。実測と情報収集、環境動態モデルの継続的な連携に基づく、水道水源水質監視の地点選定などの手法を提案する。

今年度の研究概要

サブテーマ1「PFASの物性と環境動態モデルに基づく水質管理戦略の構築」においては、土壌ミニカラム(20mm×Φ3mm)をLC/MSに接続したカラム吸着実験法を確立するため、複数のカラムによる再現性、バッチ実験との比較など性能評価を行う。初年度は数種類の代表的なPFAS及び土壌を用い、pHや共存イオン(ギ酸アンモニウムなど)がKdに与える影響を確認する。
サブテーマ2「発生源の特徴に基づく水道水源でのPFAS監視手法の提案」においては、国内外の検出状況等も踏まえ、これまで分析方法を確立した20種程度のPFASを含む35〜40種程度のPFAS について、LC-MS/MS 法により分析方法を確立する(標準物質は入手済み、内部標準については対象PFASの分析に適したものを選定)。それらPFASの前駆物質濃度の評価手法であるTOP Assay、さらに、活性炭を用いた固相抽出と燃焼イオンクロマトグラフィー(CIC)を組み合わせたTOFの分析方法を確立する。PFAS濃度が高い、水道水源(あるいは環境水)となる表流水、地下水を採取し、上記3種の手法でPFAS濃度を評価する。
サブテーマ3「トレーサーや地質情報を利用した地下水中PFASの発生源推定と水質管理手法の提案」においては、富山県と東京都に加え、各種のPFAS汚染が報告されている全国の数地域において地下水の実測調査を行う。計30地点程度で採水し計21種のPFASを測定する。さらに、トリチウムや酸素水素安定同位体等の年代測定トレーサー・水文学的トレーサーを測定する。生活排水のマーカーとして医薬品や人工甘味料を測定する。得られた地下水中のPFAS濃度やプロファイルを、下水マーカーや、サブテーマ2で得られた排出起源別のPFAS濃度やプロファイルと比較し、地下水中PFASの汚染源を推定する。また、トレーサーにより推定された地下水涵養源や涵養年代、地質や帯水層の情報などを利用し、地下水の流動や涵養がPFASの拡散や組成変化に及ぼす影響を評価する。さらに、水文地質がPFAS汚染に及ぼす影響を調べるケーススタディとして、1地域を対象に地下水流動とPFASの輸送に関するシミュレーションを行う。2025年度は、対象地域の選定、水質調査・分析、帯水層構造や土壌・帯水層の質などの水文地質情報の取得を行う。

外部との連携

富山県立大学、東京大学、埼玉県環境科学国際センター、大阪府立環境農林水産総合研究所、東京都環境科学研究所

関連する研究課題