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“賢い”消費者について知る[令和4年度環境カフェふくしま第4回開催レポート]

講義~循環型のまちづくり~

2022年11月17日、令和4年度環境カフェふくしま第4回を福島県立安積黎明高校にて開催しました。
令和4年度の通年テーマは「持続可能な社会」です。
テーマについて、対話を中心に考えを深めていきます。

前回の開催レポートはこちら
2050年はどんな暮らしをしたい?自然共生を考え、中間発表。[令和4年度環境カフェふくしま第3回開催レポート]

※「環境カフェふくしま」は、環境課題をテーマに対話を通じて、問いを立てる力、質問力、探求力、観察力、理解力などの科学技術リテラシーを身につけることを目的とした、国立環境研究所福島地域協働研究拠点(以下、福島拠点)が行うプログラムです。
令和3年度の「環境カフェふくしま」は、安積黎明高校化学部の8名に協力いただいて実施しました。
過去記事:
対話で環境を学び合うプログラム「環境カフェふくしま」を安積黎明高校と行いました~オリエンテーション、第1回から第6回~
脱炭素社会には何が必要?「環境カフェふくしま」の報告会を開きました
対話で学ぶ「環境カフェふくしま」を一緒に開催してみていかがでしたか? ~安積黎明高校化学部顧問 益子章先生へのインタビュー~

第4回は、参加者が輪になって「最近、購入したものはなにか」を話すところから始まりました。

ちょうどテスト期間直前だったため、「初めてエナジードリンクを買った」という人がいたり、寒くなってきたので「ココアを自動販売機で買った」という人がいたり、最近のお買いもの情報を全員で共有したところで、第4回から第6回までのテーマである「循環型のまちづくり」の題で大西主任研究員による講義を行いました。

「循環型のまちづくり」で講義が行われた

大西さんからの今回のメッセージは、「賢い消費者になろう」です。

最近よく耳にする「サステイナブルだけど、サステイナブルじゃないってどういうことだろうか。」という問いかけから、私たちが普段使っているもの、食べているもの、消費しているものは、色々なものと繋がって循環していると続いていきます。
自分たちの暮らしは、世界と繋がっている。

講義の間、初めて聞く新しい言葉を聞き逃すまいと集中して、メモを取る姿がありました。
地元の農産物を食べる「地産地消」だけでなく、その季節に合ったものを食べる「旬産旬消」などです。

新しい言葉や新しい視点を聞く参加者たち

講義の後には、自発的に手があがり、参加者から質問やコメントがありました。

「今まで買うということに関して、自分でお金を稼ぐことができないから安いから買うとかしか判断基準がなかったけど、今日の講義を聞いて、判断基準を増やして、これから大人になるにつれて意識していきたいなと思いました。」
「賢い消費者、という賢さには見方によって変わると思うが、“賢い”とはこの場合何を指しているのでしょう」
「ペットボトルを買う場合と5,000円のタンブラーを購入して水を持ち運ぶ場合、どちらがエコなんだろうと思いました。どのように判断したらよいのでしょうか」

こうした質問に対し、大西さんは、講義のなかで触れた、コカ・コーラ社によるライフサイクルアセスメント:LCAの概念が生まれた背景や、「“賢さ”には、何に価値を置くかによって多様な視点が存在することを説明しました。

その多様な視点によって、人の行動や選択が変わり、それが積み重なると価値観の変化にもつながっていくため、“賢い”消費者になってください、という言い方をしました。」とメッセージの意図を伝えました。

最後に、宿題の発表です。
ふだんお世話になっているペットボトル、「ペットボトルは何でできているのだろうか?」「どこからやってくるのだろうか?」「環境への影響はどれくらいだろうか?」これらの疑問を1本のペットボトルを計測することで、見えてくるものについて次回、対話しながら考えていきます。

ペットボトルの表示について説明する大西主任研究員
ペットボトルの表示を見て、どこで作られたものなのかを確認している様子

自分たちの生活に近い「循環型のまちづくり」というテーマからどんな新しい視点を得ることができるのか、参加者の物事への感じ方や考え方を見せてもらう時間が今から楽しみです。

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概要

今回の目的
テーマ「循環型のまちづくり」について、ライフサイクル思考など新しい知識を得て、消費者として自分ができる行動を考える。
達成目標
講義を通して、「賢い消費者になるために」自分なりに考えたことや、自分ができる小さなアクションについて誰かに話せるようになる。
開催形式
対面(福島県立安積黎明高校)
開催日時
2022年11月17日 15:30~17:00
参加人数
生徒9人+教員1人
NIESスタッフ
5人

プログラム

15:30
アイスブレイク ~「先週から今週に購入したものを一つ教えて下さい」~
15:40
はじめに
15:43
チェックイン
15:48
講義「循環型のまちづくり」  大西 悟 主任研究員
16:18
質疑応答
16:43
宿題の説明
16:53
ワークシート記入
16:58
今後のスケジュールについて
17:00
本編終了

講師

大西 悟

福島地域協働研究拠点 地域環境創生研究室 主任研究員

東京大学・社会基盤工学専攻を修了後、認定NPO法人環境文明21に入社、東洋大学・環境デザイン専攻・社会人博士課程にて博士号を取得。その後、国⽴環境研究所社会環境システム研究センター、東京理科大学・理工学部・経営工学科を経て、2021年より現職。ゼロカーボン、ローカルSDGsなどをテーマに現場を大切にした地域づくりの研究に励む。日本LCA学会・学術編集委員などを務める。季節を楽しむ子育て世代。