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須賀川創英館高校での講義
2024年5月2日、福島県立須賀川創英館高校1年生の「総合的な探究の時間」において、辻岳史主任研究員(国立環境研究所 福島地域協働研究拠点 地域環境創生研究室)が『わたしたちの生活・地域とSDGs(持続可能な開発目標)』というタイトルで特別講義を行いました。
辻主任研究員の専門は社会学で、原発事故被災地域のコミュニティに関する研究、自治体の気候変動対策の研究などを中心に、SDGsに関わる研究にも取り組んでいます。
本講義は、2021年から毎年、福島地域協働研究拠点 地域環境創生研究室の研究者が講師として登壇しています。
過去の開催レポートはこちら
わたしたちの生活・地域とSDGs(持続可能な開発目標)[福島県立須賀川創英館高校 講師派遣レポート]
新・高校1年生に授業、SDGs(持続可能な開発目標)を活かした地域づくり[福島県立須賀川創英館高校 講師派遣レポート]
SDGs(持続可能な開発目標)を活かした地域づくり[福島県立須賀川高校 講師派遣レポート]
まずは「SDGsとは何か」について、最新のデータや事例を交えながらの解説から始まりました。
SDGsは世界共通で取り組む目標として、17個の「目標(ゴール)」と、169個の「ターゲット」で構成されています。
認知度が高まっているSDGsですが、誤解されやすい部分もあります。
講義の中では「湖の環境はどの目標でしょう?」「SDGsは環境問題のこと?」といった誤解されやすいポイントを挙げ解説しました。
辻さんは、SDGsに取り組むために重要なキーワードとして「異なる分野の課題を解決するような『相乗効果』」と「連携(パートナーシップ)」の2つを強調しました。
「異なる分野の課題を解決するような『相乗効果』」について、辻さんは福島県内での事例を交えて相乗効果について解説しました。
いわき市ではNPO法人が「市民による森づくり」の活動を行っています。この活動は森づくりと環境教育に貢献しており、目標4「質の高い教育をみんなに」と目標15「陸の豊かさも守ろう」を同時に達成する相乗効果を生み出しています。
そして、この相乗効果を生み出すために必要なことが「連携(パートナーシップ)」であると辻さんは伝えました。
市民・学生、自治体、企業など、さまざまな立場の人々が連携することで、SDGsにおける複数の目標の達成につながり、相乗効果のある取り組みを実施することができるためです。
講義後半では、須賀川創英館高校のみなさんと同世代である、県内外の高校生の取り組みも紹介し、「わたしたちの暮らしをより良くするための取り組みがSDGs達成につながります。高校生のみなさんにも取り組めることがたくさんあります。あなたが取り組むとしたらどんな活動ができるか、考えてみてください」と締めくくりました。
講義終了後、生徒を代表して「自分は生き物に興味があるので、そういった方向からSDGsを達成できるように考えたい」というあいさつの言葉がありました。
さまざまな視点をもつ人と連携することが大切というメッセージがちゃんと伝わっていたようです。
この感想を受け辻さんは「たくさんの人がいろいろな方向から目標達成のために協力することが重要です。生き物への興味を大切にしてください」とコメントしました。
講義を受けて
後日、講義に参加した生徒の皆さんから寄せられた感想の中には
「高校生である私たちにできることは何か考えたい」
「総合的な探究の時間で自分が理解を深めるだけでなく、周りの人にも考えてもらえるように伝えたい」
といったコメントがありました。
今回の講義で学んだことを活かし、須賀川創英館高校のみなさんが自分たちなりの方法で、多くの人と連携しあいながら相乗効果を生み出してくれることと期待しています。
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講演概要
- タイトル
- 総合的な探究の時間 課題探究講演会〔SDGs〕
わたしたちの生活・地域とSDGs(持続可能な開発目標)~よりよい社会・世界を目指して~ - 開催日
- 2024年5月2日(木)
- 対象
- 福島県立須賀川創英館高校 1学年
- 参加者
- 約50人
講師
辻 岳史
名古屋大学大学院環境学研究科、日本学術振興会特別研究員を経て、国立環境研究所福島支部(現:福島地域協働研究拠点)に着任。専門は社会学。津波や原発事故の被災地域でフィールドワークを行い、地域で活動するさまざまな集団や組織がどのように関わりながら災害復興を進めるのかを記録・分析している。