福島地域協働研究拠点(以下、福島拠点)では、2024年度から福島県立安積黎明高等学校の「総合的な探究の時間」にて、地球科学や環境に関心をもつ生徒の探究のサポートに取り組んでいます。
過去の活動報告はこちら:
高校生とともに環境の今と未来を語る。探究成果発表会 [安積黎明高等学校「総合的な探究の時間」活動報告④]
講義から生まれた問いに向き合う。探究成果中間発表 [安積黎明高等学校「総合的な探究の時間」活動報告③]
講義と対話で環境を考える。私たちの持続可能な社会[安積黎明高等学校「総合的な探究の時間」活動報告②]
高校生の探究をサポート。講義と対話で環境を考える[安積黎明高等学校「総合的な探究の時間」活動報告①]
対話を通してともに学ぶ「総合的な探究の時間」
2026年7月1日、12人の高校生(3年生5名、2年生7名)が福島拠点が入居している福島県環境創造センターを訪れました。
訪問の目的は「探究成果発表会」。
1年半にわたり、福島拠点のメンバーとともに地域と環境のことを考えてきた安積黎明高校の3年生がその成果を発表します。
安積黎明高校と福島拠点は2021年から、化学部のメンバーとともに「環境カフェふくしま(※)」を開催してきました。
この経験を活かし、2024年からスタートしたのが「総合的な探究の時間」の支援の取り組みです。
「環境カフェふくしま」の手法を取り入れ、それぞれの生徒の探究を対話を通じて支援していきます。
答えのない課題に取り組む高校生たちのサポートを開始してから2年目となる成果発表会の様子をお届けします。
※「環境カフェふくしま」は、環境課題をテーマに対話を通じて、問いを立てる力、質問力、探求力、観察力、理解力などの科学技術リテラシーを身につけることを目的とした、福島拠点が行うプログラムです。
過去の活動内容はこちら:
環境カフェふくしま 記事一覧
身近な疑問が探究の出発点~探究成果を発表~
発表会の前半では、その学びの成果をポスターにまとめて発表し、福島拠点の研究者を含めた参加者との議論を行いました。
ポスター発表はフィッシュボウル形式で行われました。
フィッシュボウル形式では、参加者が二重の円になって対話をスタートします。内側に少人数のコアとなる参加者が座り、外側には他の参加者が座ります。
内側の参加者が話し合いを進め、外側の参加者は聞き手に回りますが、一定の時間ごとに外側にいる人も内側の席に移動し、メンバーを交代しながら対話を続けます。
全員が対話に参加し、意見を共有することを目的とした企画です。
5名の発表者はそれぞれ災害ごみや除去土壌、フードドライブ、家庭ゴミの減量、食べられるスプーンといったテーマを取り上げ、テーマに興味をもったきっかけや調べてわかったこと、インタビュー調査や実験の結果を交えながら探究の成果を発表しました。
プラスチックを使わないグルテンフリーの食べられるスプーンを作るというテーマに挑んだ高校生。
海洋中のマイクロプラスチックを減らしたいという問題意識から、プラスチックを使わないスプーンに興味を持ったそうです。
「オートミールで作ったスプーンを実際に食べてみたけれど、おいしくなかった」という素直な感想もでてきました。
他の生徒は、災害ごみに迅速に対処するための仮置き場の設置基準について、郡山市役所での聞き取り調査をもとに、AIも活用しながら提案を行いました。
発災後、時間の経過によって仮置き場に求められる役割が変わること、地形も重要な要素であることなど、郡山市の地域特性も考慮しながら発表を行いました。
高校生たちの体験をもとにした発表と、研究者からの知見の提供があわさり、1人あたり15分の持ち時間が足りなくなるほど、ディスカッションは盛り上がりました。
発表会の後半は、6名程度のグループを作り、ポスターセッションで感じたことや印象に残ったこと、探究を通して感じたことの共有を行いました。
参加者の反応
参加した高校生からは、
「疑問を見つけるには、知識がないと見つけられないと感じた」
「5人の発表は『ごみ』が共通するキーワードになっていたけれど、アプローチが全然違っていて興味深かった」
「感想や意見を共有したことで、見方が広がったり、なるほどと思ったりして楽しかった」
などの感想がありました。
福島拠点のメンバーからは、
「聞いている人の頭に『これが聞きたい!』や『?』が浮かぶ素晴らしい発表でした」
「自分たちが当たり前に使っている言葉も、高校生には届いていないことがわかり、これからまだまだやるべきことがあると感じました」
「もともと持っていた疑問が発展したり、視点を変えたりと悩む姿を見てきました。発表会ではみなさんの色を出せていてよかったです」
などのコメントがありました。
発表会の最後、安積黎明高校の益子章先生は「参加した生徒たちが大きく成長した様子が見られました。研究者の方と関わったことで、一年前からは想像もできない姿をとても嬉しく思っています」とのコメントをいただきました。
探究の支援はこれからも続きます
今年は、探究へのAIの活用という、新しい試行が出てきました。
私たちもまさに、環境を学びあうプログラムという答えのない課題に取り組んでいる最中です。
日々変わっていく社会のなかで、これらの対話プログラムの経験を活かし、ともに環境課題に取り組んでいく仲間を増やしていきたいと思います。