高校1年生に授業。「持続可能なまちづくり研究の最前線」とは?[郡山東高校“SDGs×哲学対話探究学習”講演レポート ]

メインビジュアル 講義の様子
メインビジュアル 講義の様子

    目次

  1. 持続可能な開発目標(SDGs)の本当のところ、知ってる?
  2. まちづくりとSDGsのかかわりとは…
  3. まとめ
  4. 概要
  5. 講師

持続可能な開発目標(SDGs)の本当のところ、知ってる?

2022年1月14日(金)に、福島県立郡山東高校1年生の探究活動「SDGs実践事業所の具体的な取組み」の中で、五味馨室長(地域環境創生研究室)が約30名の生徒の皆さんに「持続可能なまちづくり研究の最前線」について授業をしてきました。

まず、今では見慣れたSDGsの17のゴールのアイコンを示し、

「皆さん、このアイコンに記載されたメッセージをゴールと思っているかもしれません。でも、正確には、もう少し長い文章で、ゴールは表現されています」

といきなりジャブを打ち始める五味さん。

聞きなれた言葉になったからこそ、しっかり本質を届けたい、という気持ちの表れです。

「例えば、“1貧困をなくそう”は“あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困を終わらせる”です。さらに、具体的な目標が、各ゴールにいくつも設定されています。」

講義の様子

他のゴールについても、淡々と説明を続けていく五味さん。

「さて、福島県で一番大きな湖猪苗代湖の環境保全は、17ゴールのどこに入ると思いますか?水辺だから“14海の豊かさを守ろう”に含まれるのでは?と思うかもしれませんが、それは違います。陸域生態系の保護・回復・持続可能な利用の推進などのゴールである“15陸の豊かさも守ろう”に入っています。」

まちづくりとSDGsのかかわりとは…

今回の授業のテーマであるまちづくりは、ゴールの11に要素が多く含まれていることを説明した後、

「まちづくりというのは、交通の整備、働く場所を作ること、環境に配慮することなど、建物を建てることだけではありません。まちづくりという切り口だけでも、社会課題の解決方法が、SDGsの複数のゴールにつながっています。

と畳みかけていきます。

話の内容に、生徒さんたちの目が反応しているのが分かります。

すでに全国各地のSDGs未来都市の特色ある街づくりの事例がいくつか紹介されました。

郡山市も2019年に「健康」を掲げたSDGs未来都市に選定されています。

葛飾区は「浸水対応型都市」として、浸水することを前提に移動道路や備蓄を考えた都市整備を計画している、といいます。

3年前の令和元年台風19号の郡山市での被害が記憶に新しい皆さんには、浸水を前提にまちづくりをしていることに驚きがあったようです。

講義の様子

授業の最後に「地域を良くしたい、世界を良くしたいと思ってできたのがSDGsです。」という言葉にちょっと驚いた表情を見せたのがとても印象的でした。

授業後に生徒さんから、「住みやすい環境づくりがまちづくりに繋がっているとわかった」とか「まちづくりに必要となる課題の解決はSDGsにもつながっていると分かりました」といった感想が寄せられました。

国際的なゴールは、実は、地域の課題解決が出発点である、というメッセージも授業を受けた皆さんに届いたようです。

まとめ

国立環境研究所をふくめ、国内外で活躍されている福島県内の10の事業者が講師をつとめ、待合室の顔ぶれはとても華やかなものでした。

福島でSDGsを体現するような活躍をされている方たちの授業タイトルは、大人もワクワクする贅沢なラインナップで、ほかの授業ものぞいてみたいと思いました。

今回の授業時間では、生徒さんは2つの講師の授業を選択して受講し、受講後は、それぞれのグループに自分が受けた授業内容の話を持ち帰り、グループ内で情報を共有し、来年度の発表会に向けて準備を進めていくそうです。

地域の高校生の活動に関わる機会は、研究機関であるNIES福島拠点でもとても貴重なものです。若い世代が考えるきっかけを提供できるよう、今後も地域とのかかわりを深めていきたいと思います。

概要

タイトル
令和3年度 郡山東高校1年生「SDGs×哲学対話」探究学習「SDGs実践事業所の具体的な取組」講座
開催日
2022年1月14日(金)
会場
郡山東高校 教室
対象
郡山東高校 1年生 約30名
主催
福島県立郡山東高校

講師

五味 馨

福島地域協働研究拠点 地域環境創生研究室 室長

京都⼤学⼤学院⼯学研究科、2016 年より国立環境研究所 福島地域協働研究拠点に着任。専⾨は地域統合評価モデルによるシミュレーションを活⽤した持続可能な将来社会ビジョン。

この記事を書いた人

浅野 希梨

福島地域協働研究拠点 地域協働推進室 研究コーディネーター

東京農工大学大学院農学府修士課程修了。東日本大震災をきっかけに、科学を学んだ経験を生かしたいと故郷の福島県にもどる。「研究が専門家だけのものでなく、わたしたちの手の届くようになるための「場」づくり」を目指し、領域を超え、異分野を橋渡しできる科学技術コミュニケーションを実践。現在は、高校生との対話プログラムなどを担当している。

プロフィール写真 浅野 希梨

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