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研究の現場から

研究所の名刺代わりに「リーフレット」

新しい5年間のはじまり

震災から10年目を迎えた2021年4月、私たちは福島地域協働研究拠点(以下、福島拠点)と名称変更し、新しい5年間をスタートさせました。
国立環境研究所では、5年ごとに中長期目標が設定され、今後取り組む研究課題や活動方針が示されます。
新しい目標期間においてとくに重要視されるのが、研究成果をわかりやすく発信すること、そして地域の皆さんとの協働を進めることです。

そこで私の所属する総務企画課では、福島県内の方に私たち福島拠点と福島の復興に関する研究の取組みを知ってもらいたいとの思いから、組織案内でよく目にする「リーフレット」の更新に取りかかりました。
今回はそんなリーフレット作成現場の様子をご紹介します。

前中長期期間で使用されたリーフレット

前中長期計画期間(2016年~2020年)において使用された福島拠点(前:福島支部)を紹介するリーフレット。こちらをリニューアルすることに!

コンセプトペーパーの作成

担当するのは総務企画課に所属する4名です。総務企画課では、福島拠点全体の総務としての役割から、予算の管理、広報、労働安全衛生管理など、研究を下支えする業務全般を担当しています(詳細はバックナンバー参照)。
まず、私たちはリーフレットを誰に見てもらうのか、何を伝えたいのか、どのように伝えるのかというコンセプトをそれぞれが持ち寄り、意見をすり合せるところから始めました。

打ち合わせのイメージ写真

手に取ってくれる人を想像する

リーフレットは、視察などで施設を訪れた方だけでなく、福島県内の各施設への配布を通して、私たちの組織を知ってもらう、いわば「名刺」となるものです。
リーフレットに掲載したい情報は、組織の沿革や概要紹介、代表者挨拶、研究紹介、研究内容の説明etc.といった具合に際限がありませんので、これらを取捨選択することが必要です。
これまでのリーフレットでは、研究内容もしっかりと掲載していたのですが、福島拠点が運営するWEBマガジン「FRECC+」やホームページがこの5年間で充実してきたこともあり、研究紹介は最小限に抑え、どんな人たちが、何を行い、どんな思いで福島に貢献しようとしているのかを中心に構成することとしました。

前提として、リーフレットは多くの方の目に留まるものでなくてはなりません。
作成コンセプトで全員が譲れないものとしてあげたのは、印象に残る表紙とシンプルでわかりやすい文章です。

手に取る人が最初に目にする印象的な表紙はなにか、担当者だけでなく、福島拠点メンバーやデザイン業者さんとも話し合いを重ねました。
採用した写真は、実際に福島県内の野外調査で撮られたもので、研究者のリアルな姿、そして福島県の豊かな自然が表現されたものです。
話し合う中で「やはりこれしかない」と全員が納得の写真1枚を大きく使った表紙となりました。

川での調査風景の写真

表紙は川での水生生物調査で撮影された写真に決定!

難しい説明となりがちな研究内容については、正確性を保ちつつ、平易な言葉で伝えられるかがポイントです。
そこで、これまでの詳細情報を入れた概略図をやめ、思い切って直感的にイメージできる写真中心のデザインを採用しました。
説明文では、難しい用語を極力減らし、シンプルにどんな言い換えができるか議論を重ねました。
例えば、廃棄物・資源循環研究室で取り組む研究のうち「原子力災害廃棄物の処理を記録し処理計画へと展開する~」という表現では、処理計画への展開をイメージし易いよう「放射能汚染土壌や廃棄物の処理を記録・検証し、将来の事故時の発生量予測や処理計画策定」と具体化しつつ、平易な記載に改訂をしました。
修正を担当してくれた各研究室長には粘り強く対応いただきました。

打合せ風景

総務企画課での実際の打ち合わせの様子

協働したいと思ってもらう

福島拠点では、福島の環境復興と持続可能な地域づくりに関する研究が進められています。
ここでは研究室だけなく、地域協働を推進する部屋、総務・企画業務を担当する部屋が連携しながら業務を行っています。
取り組みは様々ですが、全員が共通してもっているのが「環境の”知”を地域とともに」というタグラインと、そこに込められたメッセージです。

このリーフレットを通じて、一人でも多くの方に、国立環境研究所福島拠点を身近に感じてもらえたら幸いです。

衛生管理業務イメージイラスト

完成した新リーフレット

福島拠点のリーフレットはこちらから☞
https://www.nies.go.jp/fukushima/pdf/shibu_pamphlet2022.pdf

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