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里山の夏。山の学校。[第3回山の学校開催レポート ]

春から夏へ。初夏の里山を体験。

2022年6月12日、郡山市逢瀬にあるNPO法人しんせいの山の農園にて「山の学校」が開催されました。
今年度の4月から毎月開催されている「山の学校」では2か月毎に「環境学習プログラム」の講師が変更となります。
6月、7月の講師を担当したのは中村省吾主任研究員(国立環境研究所福島地域協働研究拠点)です。

前回の開催レポートはこちら
山の学校、開校。

「山の学校」は、NPO法人しんせいが進める山の農園を活用した体験学習の場です。
NPO法人しんせいは、東日本大震災・原発事故後、その影響を受けた障がい者を支援する活動を行ってきた団体です。
2021年度から、国立環境研究所福島地域協働研究拠点は、NPO法人しんせいが進める山の農園プロジェクトの支援を行ってきました。
山の学校は、山の農園を活用した体験学習の場で、そのうちの『環境学習プログラム』を福島拠点が担当します。

春プログラムと同じく、あさか開成高校、NTT労働組合、しんせい、福島拠点のメンバーが山の農園に集まり、チームに分かれます。

今回の目的は、山に入って、生えている木々を観察することです。
山に入る前にチーム毎に箱を渡され、山に落ちている杉の枝や葉っぱを集めるミッションが与えられました。
集めた杉の枝や葉っぱはお昼ご飯のカレーを温めるためのかまどの焚き付けに使うようです。

森に入る参加者たちの写真

森に入る参加者たち

それぞれのチームメンバーが自己紹介を終えると早速、中村主任研究員を先頭に山の中に入っていきます。
春とは違って、木々や植物が成長していて、より鬱蒼とした様相になっています。
しばらく歩いた後、中村主任研究員から木についての解説がありました。
「一見すると同じ木と思えるものも、実は広葉樹と針葉樹といった違いがあります。」
「よく見ると、切られた後に放置された木があります。その年輪から、どのくらいの樹齢で伐採されたかもわかります。」
ほかにも、木を植えた時期を示す看板があり、いつもと違った見方で観察すると新しい発見がありました。

焚き付けに使う枯れ葉を集める参加者の写真

焚き付けに使う枯れ葉を集める

切り株の年輪を指さし確認する参加者の写真

切り株の年輪を見て伐採された時期を学ぶ

山の中のストーブの写真

集めた枯れ葉を焚き付けにして昼食のカレーを温める

午後は座学での講義です。引き続き中村主任研究員から「森林と持続可能な地域づくり」というテーマでの講義となります。
まず、世界と比べて高い森林率を誇る日本の森林の特徴について説明—。
かつて国有林は木材生産を主とした管理がされていましたが、近年は環境保護の観点も取り入れた管理が進められていること、また森林には「物質生産、生物多様性保全、地球環境保全、土砂災害防止・土壌保全、水源涵養、快適環境形成、保健・レクリエーション、文化」などの多面的機能があることなど一般的な森林のお話が続きます。

中村主任研究員による講義風景の写真

中村主任研究員による森林についての講義

そして、午前中に体感した森を思い出してもらいながら、福島拠点が取り組んでいる福島県三島町との協働研究についてのお話をしていきます。
三島町は、町の面積のほとんどを森林が占めている、人口1400人ほどの中山間地域で、人口が少ないことに加え、半分以上が高齢者であるため、適切な森林管理が行き届いておらず、また林業事業者の担い手が少ない状況にあります。
こうした課題を改善するために、三島町と一緒に福島拠点では、森林を活用した地域経済循環の仕組みづくりをしています。

ゼロカーボン社会における吸収源として森林を活用するためにも、まずきちんとした管理がなされることが肝心ということを強調して講義は閉じられました。

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概要

イベント名
第3回山の学校
開催日時
2022年6月12日(土)
会場
NPOしんせい 山の農園
参加者
あさか開成高校、NTT労働組合、しんせい、福島拠点
主催
NPOしんせい
共催
国立環境研究所福島地域協働研究拠点

講師

中村 省吾

福島地域協働研究拠点 地域環境創生研究室 主任研究員