第4回 集中講義(2023年12月2日~3日)
2023年12月2日~3日、令和5年度環境カフェふくしま第4回を福島県立安積黎明高校にて開催しました。
前回の開催レポートはこちら
令和5年度「環境カフェふくしま」①脱炭素社会について考える~オリエンテーション、第1回から第3回~
「環境カフェふくしま」は、環境課題をテーマに対話を通じて、問いを立てる力、質問力、探求力、観察力、理解力などの科学技術リテラシーを身につけることを目的とした、国立環境研究所福島地域協働研究拠点(以下、福島拠点)が行うプログラムです。
過去の活動内容はこちら
環境カフェふくしま 記事一覧
今回は、初の試みとなる「合宿」形式で行いました。
今回の合宿では、プログラムの集大成として開催する活動報告会での発表に向けたキーワードを決めます。
そこで、2日間、集中してテーマに向き合います。
合宿は大きく二部構成。
講義を聞き、対話によって感想や考えをグループで共有する前半と、これまでの対話や講義から気になる内容を調べ、その結果をみんなで共有する後半で構成しています。
進行役は環境カフェふくしまを企画し、現在も研究協力として関わる浅野希梨氏です。
1日目(2023年12月2日)
合宿の緊張感を吹き飛ばすために「100年前の郡山に住む人に今日の朝ごはんを説明してみよう」というアイスブレイクから始まりました。
「100年前って何を食べていただろう?」「テレビはあった?」と、これまでの経験を総動員し、想像力を発揮してもらうチャレンジです。
実はこの質問には、緊張をほぐす以外にもこの日のプログラムの中で大切な役割が隠れています。
緊張がほぐれたところで、改めて「環境カフェふくしまって何?」と、これまで行ったことを振り返ります。
今回は浅野さんの提案により「セブンスジェネレーション」という体の動きをともなうワークを取り入れました。
これは、現代に生きるわたしたちの決断が、7世代後の子孫にどのような影響を与えるのかを想像し、五感を使って、環境問題への姿勢について考えるワークです。
浅野さんのガイドによって、参加者はおよそ250年の時を隔てた7世代先の人と会話を行います。
最初に行ったアイスブレイクは100年前の人に伝えるチャレンジでした。
セブンスジェネレーションでは、100年よりさらに時を越え250年後の子孫に、あるいは250年前の先祖に、想像力をつかって想いを伝えます。
アイスブレイクから続く一連のワークによって、参加者に「過去と未来と今」「自分と世界」のつながりを意識してもらいました。
ワーク後、中村省吾主任研究員から、脱炭素や再生可能エネルギーについて、参加者にとっても身近な福島県内の事例も交えた講義を行いました。
講義中は、初めて聞いた言葉や気になる言葉を真剣な顔でメモする姿が見られました。
集中して講義を聞いた後、記憶が新しいうちに感じたことを周囲と共有します。
「想像していたより、日本で化石燃料の使用が多い」
「気候変動対策に対するイメージの向上はどうすればいい?」
同じ講義を聞いても、感想は人それぞれです。
講義の後は今回の合宿の大きな山場となるテーマ探しです。
それぞれの興味関心をもとに、脱炭素に関連するキーワードをひとつ選んで、調べ、翌日その内容を一人ひとり発表します。
聞いたことはあっても、実態はよく理解していない言葉を前に、夕食後も自主的な調べ学習は続きました。
(ちなみに、この日の夕食は顧問の先生方による手作りカレー。
安積黎明高校化学部の恒例料理を福島拠点のスタッフも一緒に頂きました。)
2日目(2023年12月3日)
2日目の朝、眠そうな表情もありましたが、最後の仕上げに集中しています。
参加者が選んだキーワードは「再生可能エネルギー」「消費行動と環境影響」「ソーラーシェアリング」など。
緊張した表情で発表が始まりました。
「自宅に太陽光パネルはあるけど蓄電池はない。なぜだろう?」
「再生可能エネルギーを100%にできない?」
身近な経験やふとした疑問も調べていくうちに少しずつ理由が見えてきたようです。
質疑応答の時間では
「蓄電池って、導入にかかる費用ってどれくらい?」
「あの国ではなんでフードロスが多い?」
思いもよらなかった質問が出た時には、みんなでグラフをよく見たり、もう一度調べたりすることで、考えも深まっていきます。
フードロスには、家庭から出るものと事業者から出るものがあること、世界各国で冷蔵庫などの家電の利用や輸送システムの整備状況が異なっていること—
日本で暮らしていたら実感がわかないことにも話題が広がっていきました。
発表は当初の予定時間をオーバーするほど白熱しました。
この日の参加者からの感想には、人前で発表したことによる発見や、環境はいろいろなことが絡まりあって動いていることへの気づきが多くみられました。
「質問を受けて、自分の中で曖昧だったところがわかった」
「みんなの発表の内容がそれぞれつながっていた」
(高校生の感想から)
自分の発表だけでなく、人の発表を聞くことでも参加者にとって、発見があったようです。
感想や当日のコメントからも合宿全体を楽しんでもらえたことが伺え、スタッフとして嬉しく思いました。
2024年3月の成果報告会では、今回の合宿で見つけたキーワードを元に「2030年に郡山市が温室効果ガス50%削減(2013年度比)を実現するための提案」を発表します。
今回の合宿での経験がどう活かされるか、楽しみです。
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概要
- 今回の目的
- プログラムから、講義内容などを自分自身の感覚や体験に引きつけ、脱炭素社会の実現について考えを深める
- 達成目標
- 世代間公正について学ぶ
感覚を使って、環境問題について感じたり、考えたりする
脱炭素社会を目指すエネルギー自給や資源配慮の取り組みを知る。身近な地域での実情を知り、課題について考える - 開催形式
- 対面(福島県立安積黎明高校)
- 開催日時
- 2023年12月2日~3日
- 参加人数
- 生徒8人+教員3人
- NIESスタッフ
- 5人
プログラム
- 1日目
- チェクイン
アイスブレイク
おはなし
セブンスジェネレーション
講義
調べ学習ワード決め
感想シェア/振り返り
スケジュール確認 - 2日目
- チェックイン
調べ学習&発表準備
発表
グループ発表&テーマ決め
感想シェア/振り返り
スケジュール確認