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オンライン学習ツールで野鳥の声を学ぶ[とりトレ体験イベント開催レポート]

「とりトレ」体験イベントを開催しました

2024年7月7日、福島市小鳥の森ネイチャーセンターにおいて、クイズ形式で野鳥の鳴き声を学ぶ「とりトレ」体験イベントを開催しました。

「とりトレ」体験は、バードウォッチングを始めたばかりの方や、これから鳥の声を覚えたい方を対象にしたイベントです。
国立環境研究所で開発したオンライン学習ツール「とりトレ」を使い、26種類の身近な野鳥のこえを学ぶトレーニングを体験してもらいました。

本イベントは、国立環境研究所福島地域協働研究拠点、同生物多様性領域、NPO法人野鳥の会ふくしま、筑波大学森林生態環境学研究室が共同で開催しました。

出展ブースの全体の様子

「とりトレ」は、新しく鳥見(とりみ※)に挑戦する人たちに向けたWebブラウザベースの学習ツールです。

※鳥見(とりみ):バードウォッチングのこと。鳥類愛好家の間では鳥見と呼称することも多い。

国立環境研究所では、東日本大震災後、地域の野鳥愛好家の協力を得ながら避難指示区域の鳥類の音声モニタリングを継続して行ってきました。最近は鳥の鳴き声が録音された音声からAI等を用いて、自動でどのような鳥が鳴いているか判別する「種判別」の技術も進歩しています。
しかし、自然の中では、風の音などのノイズや、長く続く複雑な声の「さえずり」や短く単純な声の「地鳴き」といった鳥の鳴き声の多様性があります。そのため、実際に野外で録音された声から自動で鳥の種類を判別するのは簡単ではありません 。
避難指示区域の音声モニタリングで録音した鳥類の声の判別も人の耳に頼ることになります。

音声での種判別には高度なスキルを要します。
鳥類の音声モニタリングの新たな参加者を育成するための試みとして「とりトレ」は開発されました。

野鳥のこえを学ぶ鳴き声学習ツール とりトレ
※インストール不要ですぐに使用できます。

スマホで野鳥の声を聞き分けるトレーニング

この日は小学生からシニアの方まで幅広い年齢層の方に参加いただきました。
最初は「私にもできるかな……?」と、不安そうな表情だった参加者の方も、あっという間に「とりトレ」の操作に慣れて、どんどんトレーニングを重ねていました。

自前のスマホでとりトレに挑戦する参加者の様子

よく見かけるカラスも、ハシブトガラスとハシボソガラスでは鳴き声が違います。
鳴き声の解説を読んだり、繰り返し聞いたりしながら鳴き声を習得していきます。

トレーニングを進めて、鳴き声を聴き分ける精度が上がった人のための仕掛けがあります。
最初は画面上に26種類の鳥が黒いシルエットで表示されていますが、同じ種類の鳥の鳴き声クイズに正答が続き、ユーザー自身が「この鳥の鳴き声はマスターした」と判断すると、シルエットにかわって鳥の写真が表示されます。
鳴き声をマスターして写真が増えた「とりトレ」画面を隣の人と見せ合いながら盛り上がる様子が見られました。

正答を重ね、シルエットから写真にかわった画面

2時間ほどのイベントで、7種類の鳥の鳴き声をマスターした方もいました。
なんと、この日の最年少参加者の方でした。

参加者の様子

とりトレで鳴き声を学んだ後は、グループに分かれて、実際の鳥類音声モニタリングのデータを使い、どんな鳥が鳴いているか判別する力試しを行いました。
わかりやすい鳴き声を聴ける「とりトレ」と違い、自然の中ではいろいろな音が聞こえてきます。
どのグループも集中して鳥の鳴き声を探し、「スズメ」「ハシボソガラス」「ウグイス」など、複数の鳥の声を判別できていました。

山の木々に葉が生い茂る夏は、鳥の姿を見つけづらく、鳴き声と声の持ち主を一致させることが難しい季節です。
鳥の姿を見つけづらいこの時期ですが、とりトレを使うことで日々の通勤や散歩で出会う身近な野鳥に親しむきっかけになるのではないかと思います。

子どもに3Dふくしまを説明する様子
会場となった小鳥の森ネイチャーセンターは自然に囲まれ多くの生き物が観察できます。3Dふくしまも展示しました

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概要

イベント名
「とりトレ」体験 ~身近な鳥の鳴き声をマスターしよう~
開催日時
2024年7月7日(日)
会場
福島市小鳥の森ネイチャーセンター
共催
国立環境研究所 福島地域協働研究拠点
 同 生物多様性領域
NPO法人野鳥の会ふくしま
筑波大学森林生態環境学研究室