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わたしたちの暮らし・地域とSDGs(持続可能な開発目標)~自分たちにできることはなにか?~〔福島県立白河実業高校 講師派遣レポート〕

白河実業高等学校でのSDGs講演会

2023年9月28日、福島県立白河実業高校において、地域環境創生研究室の辻岳史主任研究員が、高校1年生の皆さんに「わたしたちの暮らし・地域とSDGs(持続可能な開発目標)~自分たちにできることはなにか?~」というタイトルで講演会を行いました。

白河実業高校は、2023年に塙工業高校と統合し、スクールミッションのひとつに「SDGsを踏まえた学科間連携による課題解決学習」を掲げるようになりました。
今回講演を受けた1年生の皆さんは、1学期にもSDGsとは何かをテーマにした講演を受け、SDGsとは何かを学び、目標達成に向け自分達に何が出来るのかを探しているところです。

今回の講演では、まずはSDGsとは何か、皆さんにとってはおさらいから始まります。
目標、タ-ゲット、指標のそれぞれの意味について紹介した後、地域の課題解決のために自治体が行った取り組みや、福島県内の企業が実際に取り組むSDGsと、イメージしやすい具体的な内容に話が広がります。

今回の講義で、辻さんが強調するのは「連携」と「相乗効果」というキーワードです。
SDGsの個々の達成目標に対して機械的に取り組むのではなく、多様な視点を持ち、領域や専門分野を超えて課題解決に取り組むことが重要であると強調します。

具体例として、とある学校が地元の漁師と協働して海のゴミ回収・分析を実施、更に地元のメディアや行政と協力することで、海ゴミ問題の啓発活動を行った、という活動を紹介しました。
学生さんが主体となり様々な機関と連携を行うことで、それぞれの知見や強みを活かし、SDGsの複数の目標が達成された例です。

講義の終盤、「白河市でSDGs達成にむけて、皆さんが何か一つ取り組むとしたらどんな活動が出来ますか?」と問いかけを行い、一人の生徒さんは「ゴミの分別を徹底して、ゴミの量を減らすこと」と回答してくれました。

その回答を受け辻さんは、「高校生の皆さんにとって、ゴミを分別しゴミ収集所に持っていくことは難しくないかもしれません。
一方で、地域のお年寄りにとってはどうでしょうか。
地域の皆がゴミを分別して出しやすくするには、皆さんはどんな人や企業と連携して働きかければよいか、是非考えてみてください。」と問題提起しました。

白河実業高校の皆さんは、SDGsの目標達成に向け、皆さん自身は何が出来るのかをこれから試行錯誤していくこととなります。
色々な人との連携を通じて様々な相乗効果を生み出す活動を探すために、今回の講演がその一助となれば幸いです。

講演を行う辻岳史主任研究員

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講演概要

開催日
2023年9月28日(木)
対象
福島県立白河実業高等学校 1学年

講師

辻 岳史

福島地域協働研究拠点 地域環境創生研究室 主任研究員

名古屋大学大学院環境学研究科、日本学術振興会特別研究員を経て、国立環境研究所福島支部(現:福島地域協働研究拠点)に着任。専門は社会学。東日本大震災の津波被災地域(東松島市、名取市、女川町)でフィールドワークを実施して、被災地域における集団・組織間の利害調整過程を分析してきた。現在は原発事故被災地域のコミュニティに関する研究、自治体の気候変動対策の研究などに取り組んでいる。