まちづくりに活かすSDGsとは
2022年12月1日、師走に入ったとたんに一気に冷え込んだ夜に、「田村市SDGsセミナー~身近に感じるSDGs~」が開催されました。
この日のセミナーの講師の一人として、辻岳史主任研究員が「私たちの暮らす地域をよりよくするために~SDGs(持続可能な開発目標)を活かした地域づくり~」と題して講演を行いました。
SDGsという言葉は、近年一気に認知度が高まり、参加者の皆さんも見聞きしているようです。
すでに身近になったSDGsが設定された背景や、その内容について説明をしつつ、
「達成目標年まであと8年となったSDGsとどう向き合うと良いのか。」
「SDGsをツールとして使い、普段は気づかない視点で自分たちの活動を振り返ってみては。」
とSDGsを知るだけではなく、実際の自分たちの暮らしに活かす方法について、辻主任研究員からお話しました。
この日の講演者は2人でした。
二人目の講演者は、ホップジャパン社長の本間誠さんです。
本間さんは、東京電力福島第一原子力発電所事故後、避難指示区域に指定された田村市都路地区*で2017年からクラフトビールづくりを始めました。
ホップ栽培とビールを中心に、循環型のコミュニティづくりを目指して、SDGsを体現する本間さん達の取り組みが話されました。
*2014年4月に避難指示解除
辻主任研究員によるSDGsの概要を学んだあとに聞く、地元・田村市の実践者である本間さんのお話はより強い印象を参加者の皆さんに残しました。
講演後、参加者から「SDGsの前身のMDGsとはどんなものですか?」や「田村市にある産業で、力をいれるとよいと思われるゴールはありますか?」といった質問がありました。
これに対し、
「田村市は事故前から里山や昆虫を活かしたまちづくりに力を入れているとうかがっているので、こうした取組は陸域保全のゴール「陸の豊かさも守ろう」(15)や教育のゴール「質の高い教育をみんなに」(4)につながるものだと思います。SDGsというものさしで、改めて測ってみると、色々な発展の在り方が見えてくるかもしれません。」
と辻さんは応答しました。
実は、この日、市長との懇談があり、白石市長は、「里山や昆虫を活かしたまちづくりにいっそう力を入れていきたい」と田村市でのこれまでの取り組みについて愛情深く語ってくださっていました。
SDGsを活用して、福島拠点の立地する隣町である田村市のまちづくりが一層進んでいくことを期待しています。
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講演概要
- イベント名
- 田村市SDGsセミナー~身近に感じるSDGs~
- 開催日時
- 2022年12月1日 19:00~20:30
- 会場
- 福島県田村市役所 1階107多目的ホール
- 対象
- 田村市民
- 定員
- 50名
- 主催
- 田村市企画調整課
講師
辻 岳史
名古屋大学大学院環境学研究科、日本学術振興会特別研究員を経て、国立環境研究所福島支部(現:福島地域協働研究拠点)に着任。専門は社会学。東日本大震災の津波被災地域(東松島市、名取市、女川町)でフィールドワークを実施して、被災地域における集団・組織間の利害調整過程を分析してきた。現在は原発事故被災地域のコミュニティに関する研究、自治体の気候変動対策の研究などに取り組んでいる。