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背景

国立環境研究所には希少性が高い日本固有種が保存されています。しかし、ワシントン条約等の制約により、海外の研究機関でゲノム解析を行うことは困難であるため、国立環境研究所で全ゲノム解析を実施して、ゲノムデータを公開することが求められています。一方で、東日本大震災に伴う福島第一原発事故のような災害時に、野生生物が遺伝子レベルでの影響を受けた際に、比較のための指標となる普遍的野生種の全ゲノム情報の充実も不可欠です。 また、国立環境研究所の5つの課題解決型研究プログラムのひとつである「自然共生研究プログラム」では、霞ヶ浦や小笠原諸島において、環境ゲノム解析手法による詳細な食物連鎖等の解析や分布調査をおこなう予定です。より実用性の高い成果を出すためには、種判別のための正確性の高いDNAバーコードデータの存在が大前提となります。 さらに、所内において環境微生物からヒトまで幅広い生物を対象とした全ゲノム解析、メタゲノム解析、遺伝子発現解析などの様々な環境ゲノム研究が推進されており、インフラの提供や解析支援等を集約することで、研究のスタートアップの迅速化、研究規模の拡大などが望まれています。

目的と達成目標

本事業では、以下の3つを目的とします。 希少性が高い生物、環境問題の原因となっている生物及び国内に広く分布している指標生物について、全ゲノムのドラフト解析をおこない公表します。 霞ヶ浦や小笠原諸島など環境研究の対象となる地域に分布している生物のDNAバーコード取得を実施し、環境DNAの多様性解析を行うことで自然共生プログラムを推進します。 環境微生物を対象としたメタゲノム解析や有用細菌株のドラフトゲノム解析のサポート、実験動物やヒトを対象としたゲノム解析パイプラインの構築や高度化に向けた検討等、所内ゲノム関連研究推進のための支援を行います。 全ゲノム解析については、絶滅危惧種を中心に、5年間で10種以上の全ゲノムのドラフト配列の公表を目指しています。また、DNAバーコードの取得は5年間で500種を目標としています。

研究概要




ドラフトゲノム情報・DNAバーコードの取得・公開

タイムカプセル棟および微生物系統保存施設で保存している国内絶滅危惧種、環境問題に関わる生物及び遺伝的影響を伴う災害時等において指標となる国内指標生物について、 毎年2〜3種のドラフトゲノム情報および40種のDNAバーコードを取得して公開します。

自然共生プログラムの推進

自然共生プログラムの研究者と連携し、霞ヶ浦や小笠原諸島等で採取した生物群について4,000箇所(300種程度)のDNAバーコードを取得し、国際データベースおよび独自のデータベースにおいて公表します。 さらに、環境および生物試料から得られたDNAに対し、バーコード情報に基づく種判別を行います。これらの結果は、自然共生プログラムに提供され、食物網解析、生物分布解析に用いられます。

所内ゲノム関連研究の支援

国立環境研究所におけるゲノム科学研究の中核組織として、所内ゲノム関連研究の支援を行います。環境微生物を対象としたメタゲノム解析、有用細菌株のドラフトゲノム解析、遺伝子発現解析等のサポートするため、 インフラの提供や依頼分析の受注、解析支援等を行います。また、実験動物やヒトを対象としたゲノム解析パイプラインを構築し、解析方法についての個別相談に対応します。 さらに、ゲノム解析パイプラインで使用するサーバーの管理とプログラムの更新を行います。


2016年度の研究概要

ドラフトゲノム情報・DNAバーコードの取得・公開

シマフクロウ、トキ、マリモ、イヌワシの内から2-3種を選んでドラフトゲノム情報を取得して公開します。 40種の環境微生物のDNAバーコードを取得し、国際データベースおよび独自のデータベースにおいて公表します。

自然共生プログラムの推進

霞ヶ浦や小笠原諸島等で採取した生物群について50種程度のDNAバーコードの取得し、国際データベースおよび独自のデータベースにおいて公表します。

所内ゲノム関連研究の支援

国環研におけるゲノム科学研究の中核組織として、依頼分析の受注、解析支援等を行います。 ゲノム解析パイプラインを構築し、解析方法についての個別相談に対応します。 ゲノム解析パイプラインで使用するサーバーの管理とプログラムの更新を行います。



研究メンバー
中嶋 信美(生物・生態系環境研究センター) 山口 晴代(生物・生態系環境研究センター)
川嶋 貴治(生物・生態系環境研究センター) 大沼 学(生物・生態系環境研究センター)
今藤 夏子(生物・生態系環境研究センター) 宇田川 理(環境リスク・健康研究センター)
安藤 温子(生物・生態系環境研究センター) 鈴木 武博(環境リスク・健康研究センター)
玉置 雅紀(生物・生態系環境研究センター) 岡村 和幸(環境リスク・健康研究センター)
山村 茂樹(地域環境研究センター)


学生の受入れ

環境ゲノム科学研究推進室では、卒論・修論の受入れを行っています。
ゲノム研究に興味のある学生は下記へご連絡ください。

問い合わせ先

環境ゲノム科学研究推進室 中嶋 信美
 TEL:029-850-2490
 Mail:naka-320 (末尾に"@nies.go.jp"をつけて下さい)


関連リンク

環境試料タイムカプセル棟
野生動物ゲノム連携研究グループ

Last updated Sep. 1, 2016