はじめに
2023年6月15日、大熊町役場にて、福島県大熊町と国立環境研究所は、「ゼロカーボン推進による復興まちづくり」に関する連携協定を締結しました。
この協定により、大熊町におけるゼロカーボン推進による復興まちづくりに関する研究を推進するとともに、その成果の活用を図る連携・協力を進めていきます。
本記事では、連携協定の概要と、連携協定締結式の様子をお伝えします。
大熊町との連携協定について
国立環境研究所は、東日本大震災の直後から被災地の復興にむけ、地域資源を活かしたまちづくりに関する研究を地域と協働して推進してきました。
その一環として、大熊町が推進する「大熊町ゼロカーボンビジョン」の策定(2021 年3 月)を準備期から研究面で支援し、その実現に向けた研究協力を進めています。
両機関が「ゼロカーボン推進による復興まちづくり」にむけ、より一層連携を進めることで、「大熊町ゼロカーボンビジョン」を踏まえた、大熊町の2040 年までの脱炭素社会の実現と、持続可能な地域社会の先進モデルの形成に寄与できると考え、今回の連携協定締結に至りました。
協定における連携分野は下記のとおりです。
- 気候変動の緩和策と適応策、資源循環及び自然共生に係る研究推進及び研究成果等の活用に関すること
- 環境分野における人材育成に関すること
- 地域住民・企業等への普及啓発に関すること
- その他ゼロカーボン推進による復興まちづくりに関すること
連携協定締結式について
連携協定締結式は下記の流れで進行しました。
今回実施された締結式では、大熊町 吉田町長と国立環境研究所 木本理事長による、協定書への署名が行われました。
- 開会
- 出席者紹介
- 挨拶 国立環境研究所理事長 木本 昌秀
- 挨拶 大熊町長 吉田 淳
- 協定書署名
- 記念撮影
- 閉会
締結式でのあいさつ
締結式では、大熊町の吉田町長からお言葉をいただきました。
国立環境研究所理事長 木本のあいさつとあわせて、一部をお伝えします。
大熊町 吉田町長
大熊町ではゼロカーボン宣言以降、条例や補助金の整備、公共施設への再エネ導入、大熊るるるん電力立ち上げなどの取り組みを進めてきました。
国立環境研究所には大熊町が進める「ゼロカーボン推進による復興まちづくり」に関し、ビジョン策定にあたっての技術的な助言から研究協力をいただいており、感謝申し上げます。
大熊町では、2022年6月震災以前町の中心であった特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されました。
このエリアでは、メガソーラーや蓄電池、自営線などを整備し、スマートコミュニティを構築する予定です。
こういったハード面の整備に伴い、町民や事業者の理解促進や、役場職員の人材育成など、ソフト面の取り組みも大変重要と考えています。
今後、本協定の連携分野に基づき、国立環境研究所にはハード面とソフト面の両方で指導と支援を期待しています。
国立環境研究所 理事長 木本
2040年までにゼロカーボンを実現する野心的なビジョンのもとで復興まちづくりに取り組んでいる大熊町と、連携協定により、協力を深められることを光栄に感じています。
カーボンニュートラルの達成は難しい課題です。
国内外の地域が模索する中、大熊町が率先して成功事例となることは意義のある取り組みであると期待し、貢献したいと考えています。
大熊町では「ゼロカーボン条例」の整備やゼロエネルギーハウス化、スマートコミュニティの計画を進めています。
弊所は大熊町のゼロカーボンビジョン策定を研究面から支援し、RE100産業団地の実現にも研究の知見を提供しています。
こうした協力体制を強化し、長期的に連携を継続していくにあたり、本協定が重要であると考えています。
この度の連携協定をきっかけに連携を深め、ゼロカーボンの実現にともに貢献していくことを誓います。
さいごに
今後は、両機関で具体的な協力内容を検討し、連携分野に基づいた調査・研究や、勉強会・座談会等の実施を進める予定です。
地域協働型の研究で、大熊町のゼロカーボンビジョンの実現に貢献していきます。