環境問題の解決に向けて地域協働をどのように進めていけばよいか?[研究所内のセミナーレポート]

環境問題の解決に向けて地域協働をどのように進めていけばよいか?[研究所内のセミナーレポート]
環境問題の解決に向けて地域協働をどのように進めていけばよいか?[研究所内のセミナーレポート]

    目次

  1. 地域協働を取り入れた環境研究のこれまでとこれから
  2. プログラム

地域協働を取り入れた環境研究のこれまでとこれから

2022年2月10日に、福島拠点とつくば本部に勤務する研究者どうしの交流と、環境研究における地域協働の重要性について議論を深めることを目的としたオンライン形式でのセミナー が開催され、総勢50~60人が参加しました。

前半のポスターセッションでは、 原発事故からの環境回復や復興まちづくりに関する全17件のポスター発表がありました。

福島拠点とつくば本部で「災害環境研究」に取り組んでいる研究者どうしが最新の研究内容を紹介し、昨年4月に新たに着任した木本理事長も加わり活発な議論が交わされ、お互いの研究の理解を深めることができました。

後半の講演・パネルディスカッションでは、研究所でこれまでに地域のNPO法人や自治体と協力しながら研究を進めてこられた方に経験談を語っていただき、今後様々な環境問題の解決に向けて、地域と協力していくためには何が重要で、何が課題なのかを議論しました。

講演は全3題で、松橋さん(社会システム領域 室長)からは、神奈川県川崎市での「脱炭素社会の実現のための政策立案に向けた市民会議」、西廣さん(気候変動適応センター 室長)からは、千葉県印旛沼周辺での「自然体験学習を通じた里地里山の環境保全」、中村さん(福島拠点 主任研究員)からは、福島県三島町での「森林資源の利活用による地域活性化」の取り組みについて紹介いただきました。

それぞれが取り組まれている環境問題は、問題が及ぶ時間・空間の規模(スケール)や利害関係者の種類という点では対象は様々ですが、地域協働を効果的に進めるための課題としては「問題に関心の薄い方々にも参加してもらうこと」、「参加者の多様な意見を尊重すること」、「意見や情報のやりとりを通じて参加者と研究者の間に信頼関係を築くこと」が重要だという認識で意見が一致しました。

パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、地域協働の取り組みにおける研究者の役割や、個々の課題どうしのつながりについて議論が行われました。

際立った意見としては、「研究者は情報提供者の役割を担って、立案の意思決定は参加者に任せるべき」「利害が対立する問題(太陽光パネルの建設と自然保護など)もあるので、関係者が対話できる場が必要」「立案にあたっては他地域の実践例をそのまま採用するのではなく、それぞれの地域の特色を取り入れることが重要」などがあげられました。

福島県は原発事故の経験や過疎地域の拡大などから、様々な環境問題を抱えています。

それぞれの課題の解決に向けて、われわれは今後地域の方々とどのように協力していく必要があるのか、今回のセミナーをきっかけに考えながら、それぞれの研究を前に進めていきたいと思います。

プログラム

13:05-13:10
開会挨拶
13:10-13:25
フラッシュトーク
13:25-14:15
ポスターセッション
14:15-14:20
福島拠点地域協働推進室の概要説明
14:20-15:05
NIESが進めている地域協働研究の紹介
松橋啓介(社会領域 室長)「脱炭素社会の実現のための政策立案に向けた市民会議」(神奈川県川崎市)
西廣淳(適応センター 室長)「印旛沼流域での研究・実践事例のご紹介」(千葉県印旛沼周辺)
中村省吾(福島拠点 主任研究員)「森林資源の利活用による地域活性化」(福島県三島町)
15:05-15:15
休憩
15:15-16:15
パネルディスカッション『地域協働を取り入れた環境研究のこれまでとこれから』
この記事を書いた人

辻 英樹

福島地域協働研究拠点 環境影響評価研究室 主任研究員

東京大学 大学院農学生命科学研究科、産業技術総合研究所 地圏資源研究環境部門などを経て、2016 年より福島支部(現:福島地域協働研究拠点)に着任。専門は水文学で、主に河川・ダム湖を対象に、環境中の放射性セシウムの動きについての研究を進めている。

プロフィール写真 辻 英樹

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