現在、地球規模の気候変動に伴い造礁サンゴの衰退が予想されているため、広域でのサンゴモニタリングは緊急の課題である。現状のサンゴ観測手法は、潜水による調査と衛星や航空機からのリモートセンシングの二つが主流となっているが、これらの手法では詳細かつ広域なサンゴの被度調査(生死判別)を行うことは難しい。
造礁サンゴの多くは蛍光色素を持ち、紫外線を当てると青色から緑色の波長の蛍光を発する。この性質を利用して、サンゴの生死を判別することができる。そこで本研究では、グラスボートに搭載できる紫外線レーザー光を用いた観測システムを開発した。このシステムを用いて沖縄県竹富島周辺のサンゴの観測を行った結果、水深2~12mの範囲でのサンゴの生死をマッピングすることができた。
グラスボート(船底がガラスになっている船)に搭載した観測システム
船の中から、水中を観測できる
左写真:一般的なデジタルカメラで撮影した画像
中央写真:夜間に潜水し紫外線ライトを当てて蛍光を撮影した画像
白く見える箇所が蛍光反応を示しており、サンゴが生きていることがわかる。 しかしこの方法では調査範囲が限られる。
右写真:グラスボート搭載イメージング蛍光ライダー装置(本システム)により撮影した蛍光画像
グラスボートの船底観測窓から観測するため、比較的安全で高速移動での観測が可能である。