研究概要
私たちは、被災地の環境回復と環境創生に向け、地域と協働しながら、復興や地域課題の解決、持続可能性の向上に資する研究に取り組んでいます。
国立環境研究所は、2016 年4月に、福島県環境創造センターの研究棟内に福島支部を開設し、2021年4月には「福島地域協働研究拠点」に名称を改め、地域の拠点として、福島県や日本原子力研究開発機構をはじめとする関連機関、様々な関係者と力を合わせて、被災地の環境回復と環境創生に向けた災害環境研究に、「地域協働」をキーワードとして取り組んできました。
第 6 期中長期計画では、これら取組を通じて得られた知見や経験、地域との関係資産を最大限に活用し、地域協働/社会協働分野の中核として、福島県内の様々な地域において災害からの復興まちづくりや地域課題の解決と持続可能性の向上に資する研究課題に取り組みます。また、原子力災害からの環境回復において残された大きな課題である除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた技術開発に取り組むとともに、避難指示区域とその周辺域を対象とした生物相モニタリングも継続して実施し、野生生物に係る風評被害の払しょくに貢献します。
地域協働/社会協働分野
地域協働/社会協働分野では、課題解決と持続可能性の向上を通じて地域コミュニティへの貢献を強く志向する研究を、地域社会の関係者と協働して実施します。研究は実践と理論の両輪で進め、方法論の構築、実践例の提示、および地域協働論の発展を先導します。
主な取組としては、まず対象地域の社会・環境課題解決を目指し、施策や計画立案や地域実情に即した実装志向の技術開発等の実践的研究を進め、地域の多様なステークホルダーとの協働的な事業立案と実践を行います。また、学問分野としての地域協働論の発展を目指し、地域協働の類型化・方法論・政策の研究や実践的研究から得られた知見の集約などによる理論の構築にも取り組みます。
これら取組により、対象地域での持続可能性の向上に資する社会転換の実現が期待されます。また、協働の実践と理論を集約し、地域のWell-beingを高める「協働メソッド」を構築、発信することで、地方公共団体における諸分野の事業において環境課題との相乗効果・同時解決が図られる、統合的アプローチ・地域循環共生圏構築の推進に貢献します。
復興まちづくり
復興ハブ創出を核とした社会・技術統合型の地域実装促進モデルの構築
本チームは、福島浜通り地域を対象に、復興まちづくり、環境再生、産業再生、脱炭素、資源循環を一体的に進める「復興ハブ」の形成を目指します。地域との対話を重視し、将来像をともに考えます。同時に、地域資源、エネルギー、廃棄物・バイオマス資源、営農再開等を対象に、適切な技術システムを検討し、その実証を進め、地域で実際に動き出す社会・技術統合型の地域実装モデルを構築し、他地域への展開につなげます。
産業-都市連携
地域とセクター間の協働による化学素材等のCN(カーボンニュートラル)の合理的推進
素材産業と廃棄物分野のカーボンニュートラル化を、経済的に合理的な形で進めるための取組です。産業、政府・自治体、研究機関等が連携し、廃棄物のリサイクル及び広域収集と産業への熱供給、CO₂削減効果の評価を推進します。国内外の複数地域で廃棄物処理の広域化計画や社会受容性向上策、支援政策の提案にも取り組みます。全ての廃棄物を価値ある資源へ転換し、資源循環と脱炭素を両立する仕組みの社会実装・事業化を支援します。
都市施策の形成
地域の計画・政策形成段階の協働
地域の持続可能な発展を実現するには、政策形成における市民協働を促進して、共通の持続発展ゴールを定め、行政の施策と市民の取組を統合的に転換することが効果的です。無作為抽出と熟議を特徴とする気候市民会議の実践経験に基づいて、政策形成の各段階における科学的知見の共有と市民協働とを促進する手法の開発・改良と普及を行い、民主的ガバナンスの向上に貢献します。
自然的地域
地域資源活用の障壁発見と克服に資する社会的技法の実践的研究
各地域において進められている地域資源を活用した取組には多くの障壁があり、活用方策の実践に至らないことが多く、障壁を克服する手法が必要です。本チームでは、地域資源の活用方策立案と障壁特定の手法を開発し、障壁克服を容易にする活動群(様々な形態の協議、情報収集と共有、対象地域内の調査分析、地域外主体との連携構築などを想定)を明らかにし、具体の地域において実践・検証します。
広域連携プラットフォーム
地域の環境政策の執行を支援する広域ネットワーク型プラットフォーム
人口減少・少子高齢化が進む中、自治体の環境部門は人的・財政的資源の不足という深刻な課題に直面しています。個々の自治体が単独で政策を執行することが難しく、地域に存在する多様なリソースを結びつけて政策執行を支える中間支援組織の役割が重要になります。本研究では、これまで実施してきた「こおりやま広域圏気候変動対策研究会」を母体として、関係機関と連携しながら中間支援機能を担うプラットフォームを立ち上げ、その実効性を実証的に検証します。