PG1(環境動態・影響評価) 環境回復研究プログラム
研究の概要
放射性物質の環境動態解明、被ばく量の評価、生物・生態系への影響評価を目的として、環境モデリングと環境動態計測により多媒体環境中の放射能汚染実態と環境動態の把握、将来予測を行いました。また人への被ばく量の広域的な推計手法を開発して被ばく実態の把握や、放射性物質や無人化による生物・生態系に対する影響の把握を実施しました。
具体的には、以下の課題を実施しました。
- PJ1(1) 高線量地域の河川水系での放射性Cs(特に生物利用性Cs)の挙動把握
- PJ1(2) 放射性物質の環境動態を予測する多媒体環境モデルの構築と解析
- PJ2 植物やほ乳類を対象とした放射線の遺伝的影響等を解明、広域の生物相モニタリング体制を確立
- PJ3 被ばく線量推定モデルの精緻化とデータ収集
研究の成果
環境放射能汚染に関する科学的知見やツ-ルが蓄積し、被災地の環境回復の取組に貢献しました。具体的には、PJ1(1)では流域圏におけるCsの移動・集積の実態・推移を解明することで環境回復の推進に貢献しました。PJ1(2)では多媒体環境モデルによってCsの動態を長期的に予測可能にし、PJ2では生物への放射線による繁殖及び遺伝学的影響を調査し生態系モニタリング体制を確立しました。PJ3では人の被ばく線量推定評価モデルを構築し、また被災地での実測に基づき被ばく源の詳細解析を実施しました。
- PJ1(1) 環境動態 計測
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- 福島県浜通り及び霞ヶ浦流域の森林・河川・湖沼(ダム湖)・沿岸域におけるCsの環境動態、流域スケールでの移動・集積の実態と推移を解明し、科学的知見を国や福島県等に提供して、被災地の環境回復に貢献(除染関係ガイドラインへの反映等)
- PJ1(2) 多媒体環境モデリング
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- 放射性物質の環境動態を計算し、将来予測を行うために、大気モデル、陸域モデル、海洋モデルを結合した多媒体環境モデルを構築。
- 大気モデルでは再飛散、陸域モデルでは空間スケールの詳細化、沿岸海域モデルでは海底への蓄積・底生生物への取り込みなどを反映できるように改良・検証。
- PJ2 生物・生態系影響
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- 低線量放射線影響を検出するための遺伝子組換え植物の開発、野生アカネズミの放射線による繁殖及び遺伝学的影響の調査、Csの魚介類への蓄積機構の解明が進捗。
- 避難指示区域内外での生態系モニタリング体制を確立し、無人化影響の初期的結果を発表。観測データと数理モデルを用いた生態系変化予測・管理手法の準備が進捗。
- PJ3 人へのばく露量評価
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- 長期的な人の被ばく線量の予測と被ばく源の低減に資する科学的データを提供するために、人の被ばく線量推定評価モデルの構築と被ばく源の詳細な解析を実施。
- 東日本の事故後1年間の被ばく線量をモデル推計。関東の東葛・常総地域や福島県飯舘村の室内外においてCsを実測し、被ばく線量・被ばく源を評価。
- 環境影響・修復研究(環境影響評価・管理)
- 第5期
2021-2025 - 第4期
2016-2020 - 第3期
2011-2015 - 震災直後
2011