国立研究開発法人 国立環境研究所
環境リスク・健康領域 Health and Environmental Risk Division
 

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リスクセンター四季報(2003-2006)より

Vol.1 No.1 (2)
センターの組織と活動


「図1:国立環境研究所の組織と当センターの位置付け」を示す図

 (独)国立環境研究所の研究部門は,基礎的な研究を実施する6つの研究領域,とくに重点的な取り組みが必要な課題を実施する6つのプロジェクトと2つの政策対応型調査・研究センターなどで構成されています。化学物質環境リスク研究センターは,循環型社会形成推進・廃棄物研究センターと並んで,政策対応型調査・研究センターとして位置づけられています(図1)。循環型社会形成推進・廃棄物研究センターが関連プロジェクト研究を一括して実施しているのに対し,リスク関連の環境ホルモン・ダイオキシン研究プロジェクト,PM2.5・DEP研究プロジェクトはそれぞれ別の組織で実施している点で,本センターは政策支援の性格をより強く持った組織と言えるでしょう。

 本センターは,リスク評価の3つの重要な要素である曝露評価・健康リスク評価・生態リスク評価にそれぞれに対応した形で「曝露評価研究室」「健康リスク評価研究室」「生態リスク評価研究室」の3研究室から構成されています。新設組織であったため,当初はセンター長以下,数名のスタッフでスタートしましたが,体制の整備を進めた結果,現時点では専任の研究員9名,併任の研究員4名,ポスドク等のフェロー11名,派遣職員3名など,総勢で25名が所属しています。専任の職員も一部は関連プロジェクトと併任しています。環境リスクの研究には多様な分野の知識が必要となるため,スタッフの出身学問分野も工学,理学,農学,生物学,薬学と多岐にわたっていますが,個人個人も学問分野にとらわれず,幅広い知見が求められています。

 政策対応型調査・研究センターの名が示すとおり,本センターには化学物質リスク管理政策への支援が求められています。現在は,新たに製造・使用等する化学物質の事前審査や,既に製造・使用等されている化学物質の点検から成る化学物質の審査や,化学物質汚染の状況から化学物質がもたらすリスクの状況を評価する環境リスク評価など,環境省が行っている化学物質リスク管理施策を支援しているほか,化学物質の審査などへの生態リスク管理の導入・土壌汚染対策法の制定など,リスク管理制度の強化において科学的な側面からの支援も行っています。また生態毒性試験法のガイドラインの作成など,OECDなどの国際機関で各国が協力して行っている活動にも参加しています。

 これらの業務に併せて本センターでは,政策対応型調査・研究としてプロジェクト研究を進めています。国立環境研究所は2001年度~2005年度を第1期の中期計画期間としていますが,その中期計画の中で本センターは「化学物質環境リスクに関する調査・研究-効率的な化学物質環境リスク管理のための高精度リスク評価手法等の開発に関する研究」を進めています。この中で,現行のリスク管理政策から要請される課題とリスク管理政策の将来的な展開に向けた課題,合わせて合計7つの課題に取り組んでいます。現行の政策からの要請に対しては,化学物質審査を高度化する観点から2課題,リスクコミュニケーションを促進する観点から1課題を実施しています。一方,将来的な展開に向けては,健康リスク評価の観点から2課題,曝露評価の観点から1課題,さらにバイオアッセイ法の実用化に向けて1課題を進めています。

(中杉)



「図8:土壌汚染対策法の概要」を示した図

 化学物質環境リスク研究センターには,化学物質の曝露評価手法について研究する曝露評価研究室,化学物質が人の健康に及ぼす影響を定量的に評価するための手法を研究する健康リスク評価研究室,そして化学物質が生物生態系に及ぼす影響を定量的に評価する手法を研究する生態リスク評価研究室があります。各研究室の研究内容については,今後紹介していきます。


リスクセンター四季報 Vol.1 No.1 2003-09-12発行


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