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サブテーマ2-3
災害・事故事象に対応する迅速拡散予測手法の開発

 災害や事故により大気や河川へ排出された化学物質の非定常場での拡散予測手法を開発する。大気および河川を対象とした災害・事故時の化学物質排出シナリオを文献調査や自治体へのヒアリングにより作成し、シナリオに基づいたシミュレーション手法を開発し、非定常解析を実施する。これらの結果を自治体関係者が使いやすいようにガイドと事例集を整備し、災害・事故にともなう化学物質リスクの評価・管理の科学的かつ迅速な対応方法を社会に実装することを通して環境政策へ貢献する。

  • 大気拡散予測に関しては、災害・事故時の化学物質リスク評価に適した大気拡散モデルに関する情報を整理し、利用可能なモデルの選択を行う。災害・事故時における迅速な計算に最低限必要な空間解像度を決定する。化学物質の有害性の特徴に応じて、必要な評価時間を整理する。さらに、いくつかの代表地点を想定し、大気安定度の影響解析を含め、代表的な物質ごとに空間解像度を変化させて解析を行う。
  • 水質拡散予測に関しては、産総研が開発した全国の任意水系を対象とした250mメッシュかつ日単位の化学物質濃度推定モデルAIST-SHANELをベースとして、シナリオに基づく評価に最適な時空間解像度を決定するとともに、油等の疎水性の化学物質の挙動も再現するための物理・化学反応モデルを組み込み、再現性を評価する。さらに、詳細な時間解像度を持つ降雨レーダデータ(1分単位のXRAIN等)を入力可能とし、集中豪雨などの水災害を考慮できるモデルに改良する。
「サブテーマ2-3概要図:災害・事故事象におけるモデル選定、時空間解像度最適化、化学物質排出シナリオなどの計算方針を検討した後、上図の分布をイメージした大気・水質拡散シミュレーションを実施し、行政・事業者が対策検討に活用できるような環境影響迅速予測のためのガイドと事例集を作成する。」クリックで拡大

災害・事故事象に対応する迅速拡散予測手法の開発イメージ

リーダーから一言:サブテーマ2-3リーダー

「国立研究開発法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門 研究グループ長 恒見清孝」の写真
国立研究開発法人産業技術総合研究所
安全科学研究部門 研究グループ長
恒見 清孝

 災害・事故で化学物質漏洩が起こった時の環境への拡散予測は、 おおよその被害の程度を空間分布であるいは時間経過で把握できるため、事故直後の迅速な対応をとる際にも、事前の対応方法検討にも重要な手法となります。テーマ2-3では、そのシミュレーションを実施するための事故シナリオの設定方法や具体的な解析手法の開発を進めます。事故に係る主体のリスク管理に、我々のデータや手法が利用されることをめざしたいと思います。

環境省
独立行政法人 環境再生保全機構
産総研
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 AIST 安全科学研究部門