陸水景観に基づく淡水生物多様性の評価指標「さとがわ指数」の開発

論文情報

タイトル:The Satogawa Index: A landscape-based indicator for freshwater biodiversity in Japan.

著者:Higashikawa W., Sueyoshi M., Mori T., Yonekura R., Nakamura K. (太字で示した著者は国立環境研究所所属)

雑誌:Ecological indicators. 152, 110350

掲載日:2023年5月10日受理, 2023年5月17日オンライン掲載

概要

 人の手によって管理されてきた里地里山には、他の自然環境で減少した希少な種が多く生息しています。土地利用や植生データをもとに開発された「さとやま指数 」は、鳥類や両生類、トンボ類の豊富さを表す生物多様性指標として全国の里地里山の保全・再生に利用されてきました。一方で、「さとやま指数」は水中に生息する魚類には適用できない課題もありました。そこで本研究では「さとやま指数」の淡水版として「さとがわ(里川)指数」を開発し、濃尾平野の魚類及びトンボ類でその有効性を検証しました。淡水景観(河川、池、湖、湿地、水田)の多様度である「さとがわ指数」は魚類の種多様性と正の相関を示し、トンボ類の種多様性は「さとがわ指数」と「さとやま指数」両方と正の相関を示しました。「さとやま指数」と「さとがわ指数」を組み合わせることで、陸域・水域両方の生物多様性を保全可能な里地里山の抽出・選定が期待できます。

図の説明
    図1. 濃尾平野におけるさとがわ指数マップ