分室長挨拶
掲載日:2022.4.21
湖沼は「地球の鏡」と形容されることがあります。周辺に住む人間の影響を明白に映し出すだけでなく、世界規模で起こる気候変動の影響も反映するからです。このような湖沼の環境にしっかり向き合うこと、つまり、現状を正確に把握し、過去と比較して長い目で評価し、未来の予測につなげることは、周辺地域の環境や社会だけでなく、地球全体の未来や持続可能性を考えることにつながっています。
琵琶湖分室は、「政府関係機関移転基本方針」に基づき、平成29年4月に滋賀県琵琶湖環境科学研究センター(大津市柳が崎)の建物内に設置されました。開設以来、日本一の大きさと古さを誇る琵琶湖のほとりに活動拠点を置いて、水質や生態系に関する調査・研究を進めています。このような活動を通して、琵琶湖の環境の保全や回復に貢献するだけでなく、湖を取り巻く地域社会や地球全体の持続可能性について市民の皆様とともに考えるべく、科学的な基礎情報の提供にも力を入れています。
琵琶湖分室が開設されて5年が経過し、淡海環境プラザ(草津市矢橋)内にご提供いただいた研究スペース(矢橋帰帆島ベース)も、本格的な稼働を開始しました。分室全体としては、常駐者全員を合わせてもまだ10名ほどの小さな所帯ですが、小規模ながらも、市民の皆様の琵琶湖についての見方を新たにする成果を積み重ね、わかりやすい形で公開することを心がけています。2つの研究拠点を持つ新たな琵琶湖分室を、引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。