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ライフサイクル思考で、消費者として自分ができる行動を考える[令和4年度環境カフェふくしま第5回開催レポート]

対話~循環型のまちづくり~

2022年12月14日、令和4年度環境カフェふくしま第5回を福島県立安積黎明高校にて開催しました。
令和4年度の通年テーマは「持続可能な社会」です。
そして、前回からの小テーマ「循環型のまちづくり」というテーマについて、対話を中心に考えを深めていきます。

前回の開催レポートはこちら
“賢い”消費者について知る[令和4年度環境カフェふくしま第4回開催レポート]

※「環境カフェふくしま」は、環境課題をテーマに対話を通じて、問いを立てる力、質問力、探求力、観察力、理解力などの科学技術リテラシーを身につけることを目的とした、国立環境研究所福島地域協働研究拠点(以下、福島拠点)が行うプログラムです。
令和3年度の「環境カフェふくしま」は、安積黎明高校化学部の8名に協力いただいて実施しました。
過去記事:
対話で環境を学び合うプログラム「環境カフェふくしま」を安積黎明高校と行いました~オリエンテーション、第1回から第6回~
脱炭素社会には何が必要?「環境カフェふくしま」の報告会を開きました
対話で学ぶ「環境カフェふくしま」を一緒に開催してみていかがでしたか? ~安積黎明高校化学部顧問 益子章先生へのインタビュー~

第5回は、参加者が輪になり、12月のホリデーシーズンにちなんだ「プレゼントされたいものは何か」を話すアイスブレイクタイムから始まりました。
それぞれの欲しいものや困りごとを共有したところで、第4回の最後に出された宿題をひとりひとり持ち寄って黒板に結果を張り出しました。

第4回の講義後、大西さんから「各自1本のミネラルウォーターのペットボトルを選んで、それぞれのパーツの重量を計測し、輸送距離がどれくらいか調査してきてください」という宿題が出されました。
参加者が自動販売機やスーパーなどで商品を選び、黒板には、8種類のミネラルウォーターボトルの結果が集まりました。

発表する生徒と結果を書きこむ浅野研究コーディネーター
宿題をひとりひとり前に出て、結果を発表する様子
調べた結果を確認し合う生徒と浅野研究コーディネーター
宿題をひとりひとり前に出て、結果を発表する様子

調べたボトルがどんな特徴があったのか、調査したひとりひとりに質問をしていきます。

「輸送距離が7,898㎞。すごい遠い。」
「ペットボトル自体の強度はそこまでないけど、すぐつぶせる程ぺこぺこはしてない」
「割と柔らかめで持った時もちょっとつぶれるかなという印象でした。飲み口が少し大きかったです。」
など気づいた点を挙げてくれました。

次に、全員分の結果をまとめたグラフを見ながら、全体を通して考えられる解釈を運営メンバーである主任研究員の中村さんから話してもらいました。

結果についてコメントする中村主任研究員
中村さんからのコメントの様子

中村さんからのハナシ———

今回の結果を見ると、右肩下がりの傾向が見えます。
価格が上がれば上がるほど重さが軽くなっていくというものでした。

最初のイメージとしては、ペットボトルの重さが重くなれば、その分価格は高くなるのではないかと想像していましたが、実はそうではなくて逆でした。
これは、皆さんの結果があって初めて見えてきたものですね。

少し預かってきた大西さんからのコメントをお伝えします。

前回、大西さんの講義で「賢い消費者になろう」「そして、将来、皆さんが大人になった時に賢い生産者にもなってください」というメッセージがあり、さらに「ライフサイクル思考」という言葉がありました。
今回、皆さんが考えたお話というのは、原料製造から実際の製品を作るところまででした。
さらに、製法された後、どういうふうに使われ、最後にどういうふうに捨てるかまで、これら全体を考えるのが「ライフサイクル思考」でした。

ちょっと話が変わりますが、「環境配慮型のデザイン」という言葉があります。

これは消費者の環境に配慮したいというニーズに応え、企業側も、ペットボトルを再利用できるようにしたり、コンパクトに捨てられるボトルにしたり、ペットボトル自体を植物由来のものにしたりと環境に配慮したデザインをしています。
さらに、皆さんに頭の片隅において欲しいのは、「原料を植物由来にしたとしても、それを作る際に地域にどんな影響があるか。企業側が配慮していると言っていても、それが本当にそうなのか。」などライフサイクル思考的に全体を見て、考える必要があるということです。

また、「アップサイクル」は知っていますか。
そう、あまり知らないですよね。

リサイクルは、プラスチックをプラスチックのどろどろしたのに戻して、またペットボトルを作る。原料に戻してまた使う。リユースというのはそのまま再利用すること、だから古着とかがそうですね。
「アップサイクル」は、あるものに付加価値をつけて、価値を高めて、アップさせて利用するというものです。
たとえば、ペットボトルのキャップにアートを付けてみて、それを展示して販売するみたいなことです。

実際に調べるプロセスを経て、思い出してほしい考え方などをもう一度提示して、大西さんと中村さんからのコメントの時間を終えました。

中村主任研究員のコメントを聞く生徒たち

開催後、参加した生徒の皆さんからは
「ペットボトルの重さと価格の関係が予想外の結果で驚きました」
「1つ1つのペットボトルにも環境への配慮がなされていることに気づき驚きました」
「ペットボトルのラベルに環境に関する情報が書かれていることが分かった。一つのペットボトルからエネルギーやCO2排出量も推測できてしまうことに驚いた」
という反応がありました。

宿題の課題提示の前にグループに分かれて購買店の商品をあげてもらった

最後に「購買店を持続可能な店舗にするにはどうしたらよいか」をグループ毎に調べて発表してもらう宿題を提示して第5回を閉じました。

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概要

今回の目的
テーマ「循環型のまちづくり」について、ライフサイクル思考など新しい知識を得て、消費者として自分ができる行動を考える。
達成目標
講義を通して、「賢い消費者になるために」自分なりに考えたことや、自分ができる小さなアクションについて誰かに話せるようになる。
開催形式
対面(福島県立安積黎明高校)
開催日時
2022年12月14日 15:30~17:00
参加人数
生徒9人+教員1人
NIESスタッフ
4人

プログラム

15:30
アイスブレイク ~「自分がプレゼントされて嬉しいものは何?」~
15:40
はじめに
15:43
チェックイン
15:48
宿題の結果発表
15:58
話合い①
16:18
話題提供(中村さん/大西さんコメント)
16:28
話合い②
16:43
宿題のお題発表
16:48
ワークシート記入
16:53
今後のスケジュールについて
17:00
本編終了