世界中で毎年1500万haあまり(北海道、九州、四国を合計した面積)の
熱帯林
(ねったいりん)
が減少
(げんしょう)
しているといわれています。熱帯林が減少すると、
遺伝子資源
(いでんししげん)
や木材資源がなくなるばかりでなく、
二酸化炭素
(にさんかたんそ)
の吸収量
(きゅうしゅうりょう)
も減
(へ)
ってしまいます。また熱帯林は、地球上でもっとも多様
(たよう)
な生物たちが生活する場所です。森林をなくしてしまうとそこにすむ野生生物や鳥類、昆虫などの生態系に影響をおよぼすことがわかりました。
地球上で、森林破壊がひどい地域はどこですか?
森がなくなるとどうして洪水が起きやすくなるのですか?
なぜ、熱帯林は大切なのですか?
木は、何に使われるの?
地球の酸素はなくならないのですか?
熱帯林の経年変化や生物への影響を調べる研究所の取り組み
森林総合
(しんりんそうごう)
研究所、国立民族学博物館
(こくりつみんぞくがくはくぶつかん)
、京都大学、岐阜大学、自然環境
(かんきょう)
研究センター、マレーシア森林研究所、マレーシア工科大学などと、熱帯林の経年変化
(けいねんへんか)
(年ごとにどう変化するか
)
に関する共同研究を行っています。
1)マレーシア・パソ保護林
(ほごりん)
および周辺域の土地では、1970〜1990年代にかけて
天然林
(てんねんりん)
などの面積は激減
(げきげん)
し、その一方でアブラヤシやゴムの木を植えたプランテーションが急激
(きゅうげき)
に増えています。森林減少
(しんりんげんしょう)
の直接の原因
(げんいん)
は、こうしたプランテーション開発であるといわれています。 一方で、木材生産のための森林伐採
(ばっさい)
ではお金になる木だけを選んで抜き切りし、伐採後も森を残すため森林面積が減少することはありません。ただし、大きな木がなくなるために、森の形(構造
(こうぞう)
)が元の原生林から大きく変わってしまいます。これを森林の劣化
(れっか)
と呼んでいます。
パソ保護林および周辺域の土地利用変化
2)マレーシアの熱帯雨林
(ねったいうりん)
で1950年代に択伐
(たくばつ)
を受けた
二次林
と過去に伐採を受けていない天然林の林冠高
(りんかんこう)
(森林の高さ)を比較
(ひかく)
したところ、二次林は若い木が多いため林冠の高さはそろっているのに対し、天然林では高さが60mにもなる大きな木がたくさんあり、またそれらが倒れることで林冠に大きな穴が形成されるため林冠の高さの変動
(へんどう)
が大きく、複雑な構造
(こうぞう)
をあらわしていることがわかりました。
マレーシア・パソ保護林に観測タワーを設置し、熱帯雨林の自然の営みを観測する
3)択伐
(たくばつ)
により、こうした森林の構造
(こうぞう)
がくずれると、林冠部(森林の上のほう)や老齢木
(ろうれいぼく)
をすみかとする中小型ほ乳類(リスなど)、キツツキなどの鳥類、昆虫やキノコなど、森林の生物の種類や、種の多様性に違
(ちが)
いが出ることがわかりました。
Copyright(C) 2003 National Institute for Environmental Studies. All Rights Reserved. No reproduction or republication without written permission.
このHPに掲載の記事・動画・静止画・イラスト等のすべてのコンテンツの無断複写・転載を禁じます。