開発途上国
(かいはつとじょうこく)
では、経済
(けいざい)
の発達を優先
(ゆうせん)
するあまりしばしば環境
(かんきょう)
を守ることが後回しになることがあります。工場や自動車交通が集中している都市の大気汚染
(おせん)
は、かつての日本の公害と似
(に)
ているし、 酸性雨
(さんせいう)
の被害
(ひがい)
や湖沼水
(こしょうすい)
の化学物質
(ぶっしつ)
汚染も進んでいます。 そして一方で、廃棄物(はいきぶつ)、水不足、熱帯林減少
(ねったいりんげんしょう)
も大きな問題になっています。また、国によって事情
(じじょう)
が違うため、先進国が利用している環境技術がそのまま利用できないことがあり、国や地域
(ちいき)
に応じた対策
(たいさく)
が必要です。
世界の人口はどのくらい増えているのですか?
開発途上国ではいまどんな環境問題が起こっているの?
人口が増えると、なぜ困るのですか?
”黄砂”ってなんですか?
開発途上国が環境を守りながら経済発展していくための研究所の取り組み
アジアの開発途上国を中心に、国際
(こくさい)
研究機関
(きかん)
や大学と協力して次のような調査
(ちょうさ)
研究を進めています。
1)気候変動による影響
(えいきょう)
など地域の環境を継続
(けいぞく)
して調べることを推進
(すいしん)
する。
2)開発途上国
(かいはつとじょうこく)
が環境を守りながら経済発展していくための研究を行う。
3)現地で調査をして、環境の変化が人々の健康や生態系にどう影響するか、どんな対策を立てればよいかをみちびき出す方法を開発する。
4)人々が環境問題に関心を持つためにはどうしたらよいかを研究する。
5)
微生物
(びせいぶつ)
を利用した浄化槽
(じょうかそう)
や
水耕栽培
(すいこうさいばい)
などによって汚れた水をきれいにする。
6)生物を移入したり間引いたりして
食物連鎖
(しょくもつれんさ)
を作り上げ、破壊
(はかい)
された生態系を元にもどす方法を開発する。
1)大気汚染
(おせん)
が深刻
(しんこく)
になっている中国東北地方の大都市(遼寧
(リョウネイ)
省瀋陽
(シンヨウ)
市、撫順
(ムジュン)
市など)で、 住民の肺機能検査
(はいきのうけんさ)
や大気汚染物質のくわしい分析
(ぶんせき)
を行い、石炭による冬季の地域暖房
(だんぼう)
や工場からのばい煙
(えん)
、自動車排出
(はいしゅつ)
ガスが引き起こす大気汚染の実態
(じったい)
と、健康への影響を調査しています。
冬季地域暖房や工場からのばい煙による都市の大気汚染(中国東北地方)
2)中国やモンゴルの砂漠
(さばく)
や乾燥地帯
(かんそうちたい)
から砂塵
(さじん)
嵐が発生します。その砂塵嵐で舞い上がった砂粒子
(すなりゅうし)
のうち、韓国や日本など遠くまで運ばれる小さな微粒子群を黄砂
(こうさ)
といいます。 中国やモンゴルの乾燥化
(かんそうか)
が進むと黄砂の発生量が多くなるといわれています。 ところが、どこで発生した黄砂がより遠くまで届くのか?ということさえ、まだ正確にわかっていません。黄砂が増
(ふ)
えたら環境
(かんきょう)
にどのような影響があるのかを調べるために、発生源
(はっせいげん)
のある中国やモンゴルだけでなく、風下側の韓国とも一緒に、北東アジア地域
(ちいき)
の各地で共同観測
(かんそく)
を行っています。 特に、国立環境研究所が考案
(こうあん)
したレーザーレーダー装置
(そうち)
は、風で運ばれる黄砂の高さや規模
(きぼ)
をごくわずかな時間に測ることができ、北東アジア地域で活躍しています。
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平常時の平安門
大黄砂時の平安門(2002年3月20日撮影)
3)アジアの開発途上国では、処理されていない生活排水
(はいすい)
による湖沼
(こしょう)
などの水質汚濁
(おだく)
によって、安全な水資源の確保
(かくほ)
がおびやかされています。中国で現地の状況
(じょうきょう)
に適した生活排水
(はいすい)
処理技術や、汚濁
(おだく)
水域の浄化
(じょうか
きれいにする
)
技術に関する研究協力を進めています。
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