倫理的な検討

倫理問題検討委員会における議論の要約

倫理問題検討委員会設置目的

倫理問題検討委員会(以下、「委員会」という。)は、子どもの健康と環境に関する全国調査(以下、「エコチル調査」という。)の適正な実施を促進する観点から、倫理的な課題の抽出とその対応に関する検討を行うことを目的としています。

倫理問題検討委員会 委員名簿(敬称略)

氏名 所属 備考
武藤 香織(委員長) 東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター 公共政策研究分野教授 平成24年度~現在
大久保 功子 東京医科歯科大学大学院保健衛生学科リプロダクティブヘルス看護学分野教授 平成24年度~令和5年度
標葉 隆馬 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科准教授 平成24年度~現在
辰井 聡子 立教大学大学院法務研究科教授 平成24年度
永水 裕子 桃山学院大学法学部法律学科教授 平成24年度~現在
丸 祐一 鳥取大学地域学部地域学科教授 平成24年度~現在
山縣 然太朗 山梨大学大学院総合研究部附属出生コホート研究センター特任教授 平成24年度~現在
荒木田 美香子 川崎市立看護大学 看護学科 副学長・教授 平成28年度~現在
松浦 賢長 福岡県立大学理事 平成28年度~現在
山本 緑 千葉大学予防医学センター講師 平成30年度~現在
※所属は202512月時点のもの(下線の2名は委員を退任しており、最後に委員であった時の所属)

令和6年度R6.4~R7.3(2024.4~2025.3)

【主な検討課題】

1.16歳以降の本人同意について

2.エコチル調査におけるELSIの調査研究について

●16歳以降の本人同意について、16歳で説明して18歳までは考える期間(回答の保留が可能)となり、回答を保留している期間に行われる質問票など、調査の取扱いについて確認しました。調査ごとに連絡をして協力意思が確認できれば調査を実施することに問題はないうえ、回答を保留している方に情報提供やエコチル調査の状況をお伝えすることは判断材料にもなり得ることだとされました。また、同年代の意見を取り入れた説明書作成が必要との意見を受けて、パイロット調査16歳本人同意に関するモニター調査が実施され、その報告を受けました。モニターとなった子ども達の意見を聞いて終わりではなく、実際に取り入れたところ・取り入れなかったところの説明をしっかりとフィードバックすることが、全員で調査を作る態度に繋がると助言しました。

●エコチル調査は長期にわたる追跡調査であり、参加児の成長に伴う代諾から本人同意への移行や継続的・主体な参加のための方策など様々な課題があります(※倫理的・法制度的・社会的課題(Ethical, Legal and Social Issues)の頭文字からELSI(エルシー)と呼ばれます)。参加者の意見を取り入れながら説明書を作成することを始め、参加者を中心とした研究参画のあり方など、エコチル調査が直面するELSIに対して、研究者や関係者にインタビューをしたり、参加者から直接声を聞いたり、専門的な調査研究をすることを目的に、ELSI/PPI調査研究分科会を設置することとなりました。

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令和5年度R5.4~R6.3(2023.4~2024.3)

【主な検討課題】

1.13歳以降のエコチル調査に向けた手続きについて

2.16歳以降の本人同意について

●13歳以降の同意確認の参考として、本体調査に先行して調査を実施しているパイロット調査での第2期パイロット(調査延長)における同意の反省点を確認しました。電磁的方法にて同意・不同意の回答を集めていましたが、不同意の場合でもアプリをダウンロードし、ID/パスワードを入力してログインした後に、不同意のボタンを押すという手続きが参加者への負担をかけているという意見がありました。エコチル調査の当初計画は13歳までの調査、その後5年間は解析期間としていたことから、当初の解析期間まで間は、不同意を押してもらう必要をなくし、しばらく休みたい/延長したくない場合も含めて「同意しない場合は何もしない」という対応が提案され、参加者の権利などの点からも問題にはならないと確認しました。また、この機会に改めてエコチル調査とはどういう調査であるかの説明と、これまでの協力に対する感謝、今までどういうことが分かったのかという成果などを伝え、これからも積極的なご協力をいただけることが重要であるという意見がありました。

●本人から同意を取得する年齢を国の倫理指針に沿った16歳とするか、成人となる18歳がよいかを検討しました。本人の意思を聞くのは16歳が初めてということから、16歳で同意をいただく説明はするが、回答は急がずに18歳になるまではじっくり考える期間として良いのではないかという意見が出されました。また、16歳の説明書を作成する際は、同年代の意見を取り入れて、伝わりやすい説明書にすることが必要とされました。

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令和4年度R4.4~R5.3(2022.4~2023.3)

【主な検討課題】

1.13歳以降のエコチル調査に向けた手続きについて

2.16歳以降の本人同意について 

●2022年3月に発表された環境省『「健康と環境に関する疫学調査検討会」報告書』において、「エコチル調査は子ども施策の基盤となる重要な国家事業であり、子どもを取り巻くあらゆる環境を視野に入れてエコチル調査を推進することで、子どもの健やかな成長を社会全体で後押しすることにつながる」と評価され、エコチル調査が延長することとなりました。当初計画では13歳まで調査を実施、その後5年間は解析期間としており、13歳以降の調査はどこからが新しいことなのか、新たに同意をいただく必要のある部分はどこなのか、調査延長に同意いただけなかった人は解析期間には何ができるのか、どういう場合に何が行われるのかを明確にできなければ、参加者への分かりやすい説明はできないという前提に立って、まずはどういう状況があり得るのかを課題と併せて整理しました。また、13歳以降の調査は紙の質問票ではなく、アプリを用いたWeb調査へ移行することから、13歳以降調査に必要な同意(保護者・代諾者からの調査延長に対する同意)についても、紙ではなく電磁的な同意(同意ボタンを押していただく)を採用する方針を確認しました。

●国の『人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針』では、「16歳以上の未成年者で、研究を実施されることに関する十分な判断能力を有すると判断されるときは、子ども本人からも同意を得る必要がある」とされています。16歳に達した参加者へのインフォームド・コンセントについて話し合いました。13歳以降の調査は保護者(代諾者)が同意して延長しますが、16歳で本人が辞めたい場合はどうなるか。反対に13歳以降、保護者(代諾者)は同意しない場合でも、16歳で本人がやりたい場合はどうなるか、などの13歳以降調査に必要な保護者(代諾者)からの同意と16歳以降の本人同意との関係を明確にするため、16歳本人同意に関する課題の検討も同時に始めることとなりました。

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令和3年度R3.4~R4.3(2021.4~2022.3)

【主な検討課題】

1.遺伝子/ゲノム解析にかかる倫理的課題について

2.本人質問票にていじめ等が示唆された場合の対応について

3.13歳以降のエコチル調査に向けて想定される手続きについて

●遺伝子/ゲノム解析について、参加者へ送付する説明書、協力辞退書の準備を進めてきましたが、説明資料等を送付できない方(以前エコチル調査に参加していた元参加者や住所不明の方、様々な事情から連絡を取っていない方)の生体試料をどう扱えばよいのかを検討しました。ウェブサイトに説明や必要な情報を載せることで資料送付と同等の扱いとするが、協力拒否を示していた方の試料や子どもの試料は遺伝子/ゲノム解析しないと整理しました。準備が整ったことで説明書の印刷・送付などの今後のスケジュールを確認し、協力辞退書を受け付ける期間も十分にとり、遺伝子/ゲノム解析は2022年7月に開始されることとなりました。

●本人質問票は、「内容を誰かに知らせたりすることはないので、安心して答えてください」と伝えて実施している中で、いじめなどが示唆された場合に関係機関に知らせることは約束違反になるのかという点について、議論しました。本委員会からは、説明事項に反した対応であっても、例外的ケースでは法的な問題はないが、最初から「専門的な人に相談します」と伝える方が誠実ではないかという意見が出されました。全国のユニットセンターに意見照会をした結果、本人質問票に「必要だと判断した場合に、専門家等に相談等をする場合があります」と記載されることになりました。

●2021年度に環境省にて『健康と環境に関する疫学調査検討会』が設置され、当初13歳までの調査予定であったエコチル調査の今後についての検討が始まりました。検討会の動向を確認しながら、同意取得方法や試料の扱いなど、どういう対応が求められるかをいくつか想定し、事前準備を始めました。

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令和2年度R2.4~R3.3(2020.4~2021.3)

【主な検討課題】

1.遺伝子/ゲノム解析にかかる倫理的課題について

2.エコチル調査関係者以外(第三者)へのデータ共有について

3.新型コロナウイルスに関して

●これまでの議論をもとに作成された遺伝子/ゲノム解析の研究計画について、参加者へ送付する説明書、協力辞退書(遺伝子/ゲノム解析に協力したくない人が申し出る為)の案を見ながら、分かりづらい表現や用語が使われていないかを確認しました。難しい内容であるため、説明補助資料として短い動画が必要という意見が出されました。また、協力辞退書は、遺伝子/ゲノム解析に協力したくないという意思表示であり、エコチル調査全部に協力しないという誤解を生まないよう注意喚起しました。さらに、協力辞退書の返送に手間がかからないことが参加者の権利を守るものであり、返信用封筒を付けることや写真を取ってメールで送付する形でも良いのではないかと、協力辞退に至るハードルを上げないようにとの意見もありました。

●エコチル調査が本格的に始まってから約10年となり、回答いただいた様々な質問票や検査で得られた生体試料など数多くのデータを国内外に広く活用していただくための準備として、データの種類や現状の利用ルール、個人情報はどのように管理されているのかを確認した上で、試料の共有ポリシーを作成し、データ共有オフィスが設置されるという報告を受けました。

●新型コロナウイルスが全国的に広がって各地で影響が出ていた中、新型コロナウイルスの影響を調査・分析したいという計画が提出されました。様々な機関で新型コロナウイルスに関する分析が行われている状況から、エコチル調査の本来の目的に還元できる内容で実施することが重要という意見がありました。

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平成31年(令和元年)度H31.4~R2.3(2019.4~2020.3)

【主な検討課題】

1.遺伝子/ゲノム解析にかかる倫理的課題について

2.参加児本人に回答してもらう質問票調査について

3.第2期パイロット調査に向けた手続きについて

●遺伝子/ゲノム解析についての意思確認については、全員への丁寧な説明後に協力したくない人が申し出る案を固めたほか、エコチル調査に参加時と家庭の状況が変わっている方はどう対応するのかといった事例について意見交換しました。また、参加者への解析結果の個別報告について、エコチル調査での遺伝子/ゲノム解析は2014年度に定めた基本方針の結果を返却しない基準に当てはまるとし、原則として個別報告しない方針となりました。ただし、個人情報保護法に基づいて個人情報に当たる部分の開示請求権があることは明記しながら、研究計画書や説明書を作成していくこととなりました。

●二次性徴と精神神経発達(うつ・不安の質問票調査)といった参加児本人に回答いただく実際の質問票の内容や調査方法を確認しました。二次性徴の質問票では、絵やイラストがいきなり目に入らないような工夫や保護者向けに同じ絵を使った事前説明をすることとなったほか、うつ・不安の質問票からいじめ・虐待・自殺等が示唆された場合にどう対応すべきかの方針も議論し、該当するケースがあればコアセンターに相談するほか、送付する質問票と一緒に本人が相談できる連絡窓口の案内も同封することとしました。

●本体調査に先立って、2008年度に始まったパイロット調査の参加者が12歳を迎えることを見据え、当初13歳までの計画としていたところ、13歳以降も第2期として引き続きパイロット調査を実施するための準備を始めることとなりました。第2期の研究計画の作成にあわせて、同意確認などの必要な手続きに加え、第2期には成人を迎える参加者の年齢に応じて、どういった課題や手続きが発生するのかを議論しました。

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平成30年度H30.4~H31.3(2018.4~2019.3)

【主な検討課題】

1.エコチル調査におけるインフォームド・アセントについて

2.遺伝子/ゲノム解析にかかる倫理的課題について

3.全国がん登録(小児がん情報)の活用について

●コアセンターで参加児への説明をサポートするための説明補助資料を作成していました。本委員会からは、読み手の気持ちを考えた表現にすること・情報を盛り込み過ぎて文字が多くならないよう指摘しました。完成した資料は、絵やイラストが豊富なものとなりました。本委員会では、パイロット調査の参加者に配布し、アンケートを行ってさらに改善を重ねられたことを評価しました。中期(10~12歳)での活動については、情報提供だけでなく、様々なイベントや積極的な学びの機会などを実施していくため、海外事例や他の調査を参考にしながら、検討を進めることとなりました。

●遺伝子/ゲノム解析に関する倫理的な課題として、①参加者への説明と同意の確認、②研究成果の扱い(個人や地域の匿名性やデータの公開)、③参加者への解析結果の個別報告の是非、④その他配慮すべきことの4つに整理して研究計画書に反映していくこととなり、それぞれ具体的な方法を議論しました。①同意意思の確認については、全参加者へ説明する上で、同意書を返送してもらう案と協力したくない人が申し出る案を比較し、それぞれの長所や短所、倫理的な根拠などをまとめました。

●厚生労働省の全国がん登録で集まったがんのデータ利用に関する規約など、活用ルールが決まってきたことを受け、エコチル調査でがん情報を使うことに倫理的な手続きが必要かどうかを確認しました。人口動態統計などと同じ公的情報であり、参加者へ丁寧に説明したうえで利用を開始するのは良いとされました。ただし、がん登録のデータ利用条件をしっかり確認し、エコチル調査の運営体制と合致しているかどうか、どのような情報を・どのように活用していくのか、エコチル調査の目的に合致しているかが大切であるとされました。

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平成29年度H29.4~H30.3(2017.4~2018.3)

【主な検討課題】

1.本人に回答してもらう質問票調査について

2.エコチル調査におけるインフォームド・アセントについて

3.遺伝子/ゲノム解析にかかる倫理的課題について

●前年度に検討した二次性徴と精神神経発達(うつ・不安の質問票調査)を「参加児本人に回答してもらう質問票調査」として整理し、海外での先行研究も参考に、①科学的に質の担保されたデータを収集する②参加児と保護者や学校等へ配慮しながら検討を進めるという方針を固めました。子どものプライバシーを守るため、回答内容を保護者に見られないよう、保護シールやのり付き封筒に入れて返送する方法についても意見交換しました。また、参加児本人に回答してもらう調査において、なぜ保護者が回答を見ないことが大事なのかを、保護者に丁寧に説明し、理解を得ることも必要であるとの意見がありました。

●「インフォームド・アセント」について、丁寧に説明していくプロセスが重要であるという意見から、保護者への情報提供や説明を十分に行ったうえで、本人の成長段階に合わせることを原則としつつ、前期(7~9歳)・中期(10歳~12歳)・後期(13歳以降)に分けて、段階的に取り組む基本方針を確認しました。まずは、保護者への「インフォームド・アセント」の意義やエコチル調査の基本方針といった説明を進め、参加児への説明をサポートする体制構築に取り組むことを前期の活動とし、具体的な方法は引き続き検討していくこととなりました。

●エコチル調査における遺伝子/ゲノム解析の準備を進めていくにあたり、エコチル調査に参加いただく際にどう説明していたか、各ユニットセンターの状況、遺伝子解析用に保管している試料の確認といった現状を整理し、国の「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に沿って、どのような手続きが必要となるかを議論し、同意取得方法について、具体的な検討を進めていくこととなりました。

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平成28年度H28.4~H29.3(2016.4~2017.3)

【主な検討課題】

1.内分泌プロジェクト(二次性徴の調査計画)について

2.精神神経発達プロジェクトからの意見照会

3.エコチル調査におけるインフォームド・アセントについて

●二次性徴の調査について、調査人数・実施年齢(何歳でやるのか)・調査項目(男児/女児それぞれ何を調べるか)・実施手法(質問票/アプリ/医師の診察など)の異なる6つの案を作成しました。質問票での調査を行うとしても、保護者が回答するのか・参加児本人が回答するのか、質問票での回答と医師の診察の場合とはどの程度違うのか(科学的妥当性)も結果を分析する上で重要になってきます。得られたデータから何が分かり・どう役に立つのか、意味のある調査にするための科学的な視点と、調査によって不安を覚えたり、悩みや問題を生じさせたりしないような配慮の両面から、それぞれの案について、利点や問題点を検討しました。また、学校での保健教育との兼ね合いから、学校との連携は必要なのか、エコチル調査独自で進めたほうがよいかについても、複数の養護教諭へのインタビューや専門家の意見を伺い、議論しました。

●精神神経発達プロジェクトにて10歳、12歳での調査を予定している、参加児本人へのうつ・不安の質問票が本委員会に提示されました。また12歳で予定されている性自認の調査について、どういう配慮が必要かの意見を求められ、もっと低年齢で聞いた方が良いのではないかという意見があったほか、悩んでいる子もおり、情報提供や連絡先は重要だが、押し付けにならないような配慮が必要だという意見がありました。

●エコチル調査は参加児が生まれる前からの調査であり、参加するかどうかは保護者が決めて始まりました。参加児の成長に合わせ、参加児本人にエコチル調査について説明し、理解・納得を得るという「インフォームド・アセント」の手続きについて検討しました。納得したというサインをもらうことが目的ではなく、丁寧に説明していくプロセスが重要であり、どう考え・具体的に何をしていくのかの基本方針を作成することになりました。

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平成27年度H27.4~H28.3(2015.4~2016.3)

【主な検討課題】

1.参加者への解析結果の個別報告の考え方について

2.内分泌プロジェクト(二次性徴の調査計画)について

3.2歳詳細調査(医学的調査)のアンケートについて

●コアセンターにおいて、『測定結果返却・相談対応マニュアル』が作成されました。本委員会からは、マニュアルを作成したら終わりではなく、今後行われる様々な調査や測定において、原則返却だからといって安易に結果を伝えることで誤解や混乱を生じさせることのないよう、結果を返却しない4つの判断基準(前年度の記載を参照)を踏まえながら、それぞれの調査結果が参加者にとってどういう意味があるかをしっかり考えて運用していくことが重要であるという意見が出されました。

●13歳までの調査として始まったエコチル調査が避けることのできない思春期に向けた準備として、二次性徴に関する調査計画を準備することとなりました。何を調べたいのか・どうして調べたいのか・それがわかったらどういういいことがあるのか・どのように調査を実施するのか・海外での先行研究はどうなっているか、といった課題や手法を整理して、来年度以降、本格的に検討することとなりました。

●本委員会にて新しい採血方法などを検討した2歳詳細調査が、2015年4月より始まりました。新しい採血方法に関して、「無痛処理」「検査説明」「気のそらし方」「採血時間」の4項目について5段階評価のアンケートを確認しました。4月から9月までの半年間で回答を得た941人の結果では、4項目がいずれも4以上(満足とやや満足の間)と高い評価を得ました。ただ、「無痛処理」の欄を空欄とする方が目立ちました。無痛処理をしていない方は空欄になるものの、それ以上に空欄の割合が高かったことから、もしかしたら「無痛処理」が痛みを和らげるクリームなどの処置を指していると参加者に伝わっていなかったのではないか、新しい採血方法の評価をしたいのにアンケートの意味が伝わらずに空欄となってしまい、もったいないという指摘がありました。

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平成26年度H26.4~H27.3(2014.4~2015.3)

【主な検討課題】

1.参加者への解析結果の個別報告の考え方について

2.「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に伴う検討課題について

●参加者への解析結果の個別報告の方針について、「個人の健康にかかわる検査結果や生活環境にかかわる測定結果等は原則参加者に返却する」とし、結果を連絡しない判断基準としては①結果の科学的意義など、解釈や説明が難しいもの②参加児とその家族に及ぼす影響が大きいもの③適時性に乏しいもの(測定にかなり時間がかかり、返却された時点で結果を知っても参考にならないもの)④対応可能性がないもの(状況改善の対応が難しいもの) と整理されました。さらに、個別報告に関する問い合わせへのサポート体制もユニットセンターやコアセンターにて構築することが必要であると助言しました。参加者が「結果を知りたくない」と意思表示した場合にはその意思を尊重しますが、緊急対応が必要な場合や参加児の利益を優先すべきと判断できる場合には、個別報告を検討するという特別な条件も確認されました。

●2014年12月に、国の「疫学研究に関する倫理指針」と「臨床研究に関する倫理指針」が統合され、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が文部科学省・厚生労働省により策定されました。新しい倫理指針に照らして、エコチル調査で問題となるところがあるかを確認しました。その結果、現時点において問題はないものの、「遺伝子解析に供する目的」との説明にて収集・保管した試料の分析が始まる際は「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」が適用される点、未成年を研究対象とする場合のインフォームド・コンセント(説明を受け納得したうえでの同意)等の手続き面など、将来において課題になってくるものがあることを整理しました。

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平成25年度H25.4~H26.3(2013.4~2014.3)

【主な検討課題】

1.詳細調査(医学的調査)の実施について、採血の妥当性について

2.参加者への解析結果の個別報告の考え方について

3.質問票に回答しにくい・回答したくない場合について

●詳細調査(医学的調査)での採血に関して、痛みを緩和させるクリームを使った好事例も受けて、採血方法について方針を固めたうえで、より丁寧な事前説明が必要といった意見が出されました。採血方法だけではなく、詳細調査を全国で実施するために、何のために・誰に対して・どのような検査を・どのように実施するのかといった実施計画書や調査対象となった方への説明書・同意書についても、内容の過不足や分かりづらい表現がないかを確認しました。説明書については、調査側が説明したい内容だけではなく、参加者が知りたいこと・簡潔で分かりやすいことが重要であり、ポイントをまとめた概要版も作成が必要だという助言がありました。

●詳細調査の検討にて、解析結果の参加者への個別報告を行う意義について議論しました。具体的には、どの項目は個別に解析結果を返せるのか・返せないものはどれか・どのようにお伝えしたら誤解を生まないか等が論点となりました。また、個別報告を希望するかどうかは参加者の意思を尊重することが重要である一方、個別報告を知りたくない方に関する解析結果が予防や治療のために有益と思われる内容だったときにどう対応するかも検討するか、医療機関への相談が必要な方への案内・フォロー体制をどうするかも重要な点です。詳細調査に限らず、エコチル調査全体として解析結果の個別報告の考え方・原則をしっかり確立することが必要であるという意見が出され、課題や問題点を整理しながら基本方針を作成していくことになりました。

●子どもの成長には個人差が大きく、健康上の理由や様々な状況から、保護者が質問票の回答を負担に感じる・答えたくない場合も出てきます。各ユニットセンターでの寄り添う体制が重要であるとされ、今回は回答しない・しばらく休みたいといった選択肢もあるというメッセージをお伝えすることになりました。

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平成24年度H24.4~H25.3(2012.4~2013.3)

【主な検討課題】

1.倫理問題検討委員会のあり方、検討事項について

2.詳細調査(医学的調査)の実施について、採血の妥当性について

3.疾患情報登録の取得について

●倫理問題検討委員会の役割は、①エコチル調査にかかわる基本的な倫理問題への対応方針、②エコチル調査の進行に伴って生じた/これから生じうる倫理的課題 を助言するために活動すると決定しました。あれもこれもやりたいとなりがちな研究側に対して、一旦立ち止まって本当に研究すべきか、どのように研究すべきかを考え、倫理的な観点から助言をする役割です。本委員会での意見や助言は、エコチル調査の運営方針を決定する運営委員会や環境省が参考にするほか、調査実施機関(コアセンター・ユニットセンター・協力医療機関等)が必要な対応をとり、よりよい調査になるように活用されることになりました。

●詳細調査(医学的調査)で2歳児から採血することについて、2歳で採血を行う科学的な意義はあるものの、治療や予防のためではなく、健康な子どもからの研究のための採血が倫理的に許容されるかどうかを議論しました。子どもに苦痛や負担を与える採血は認められないため、子どもが大泣きしない/苦痛を感じない環境が実現できないか、専門家に意見を求めました。メディカルサポートセンターにて実施された新しい採血方法が上手くいった例を踏まえて、全国でこの採血方法を実施するには何が必要かという技術的課題や制度的課題をさらに考えることが必要となり、引き続き検討していくことになりました。

●特定の疾患の診断を受けた参加児を対象として、かかりつけの医療機関から、病状について調査する疾患情報登録調査の実施方法を検討しました。手続きとして最も透明性があり、医療相談(カウンセリング)を含め、保護者に配慮して進めることができる“対象者から委任状を取得後に調査をする案”が良いとされました。

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これまでの歩み

倫理問題検討委員会は、平成24年度から令和6年度までに正規の委員会が50回・臨時の委員会が2回実施された。各年度の開催日は以下の通りである。

≪倫理問題検討委員会 開催日≫

 開催年度  開催日
 平成24年度(2012.4-13.3)  7/3  8/9  11/13  12/25  2/19  3/19
 平成25年度(2013.4-14.3)  11/12  12/26  2/27      
 平成26年度(2014.4-15.3)  8/8  1/29        
 平成27年度(2015.4-16.3)  7/24  11/2        
 平成28年度(2016.4-17.3)  7/11  9/13  11/28  1/30    
 平成29年度(2017.4-18.3)  4/25  7/28  10/12  1/22    
 平成30年度(2018.4-19.3)  4/23  7/9  10/1  1/25    
 平成31年度(2019.4-20.3)  5/10  7/19  10/11  1/28  3/2  
 令和2年度(2020.4-21.3)  7/3  10/9  12/4  2/19    
 令和3年度(2021.4-22.3)  5/31  8/30  11/1  2/7    
 令和4年度(2022.4-23.3)  5/16  *7/5  *7/8  7/26  10/3  2/10
 令和5年度(2023.4-24.3)  5/29  7/31  10/23  1/22    
 令和6年度(2024.4-25.3)  5/28  7/29  10/22  3/24    
*印の2回は、2022年3月に出された『「健康と環境に関する疫学調査検討会」報告書』にてエコチル調査が延長されることを受け、13歳以降調査に関する手続き等の意見聴取のため臨時で開催されたものです
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