G-CIEMS目次


G-CIEMSの概要

国立環境研究所の研究情報誌「環境儀」第50号で環境多媒体モデル「G-CIEMS」を紹介しました。 2013年10月発行「環境多媒体モデル − 大気・水・土壌をめぐる有害化学物質の可視化」

国立環境研究所ニュースにて、G-CIEMSを用いた研究成果を紹介しました。 2014年8月 33巻「水田農薬の環境中濃度を予測する」

G-CIEMS

G-CIEMS(Grid-Catchment Integrated Environmental Modeling System)は、国立環境研究所において新たに開発した詳細な空間分解能を持つGIS多媒体環境動体予測モデルです。環境中に放出された化学物質は、大気、水、土壌、底質などの媒体の間を移動あるいは分配され、大気に放出された物質が粒子に吸着して地表面に沈着したり、河川に排出された物質が揮発して大気に移動したりします。同時に、大気中の物質は風に乗って移動し、河川水中の物質は川の流れに乗って下流へ移動し、また他の流域からの流れと合流して希釈されたりします。

本モデルは、GIS(地理情報システム)データに基づき、このような多媒体間の輸送と、大気、河川等媒体内での輸送との両方を同時に計算して、各地点・各媒体における物質の濃度を推定するモデルです(図1)。


多媒体モデルG-CIEMS

日本全国を対象とした予測計算

G-CIEMS出力例

本モデルは、標準的には別途既に公表されている河道構造データベースに基づき、日本全国を大気は約5kmのグリッド地表面は平均9.3km2ほどの小流域河川は平均河道長5.7kmの河道として扱います。モデル内で計算する主な動態過程として

  1. 大気については、大気グリッド間の移動と沈着、分解、地表面との交換などの過程
  2. 河川については、水の流れにによる流下と、河川内における分解、粒子状物質との分配、底質への沈降、大気との交換などの過程
  3. 土壌については、小流域から対応する河道への流出、土壌内での分解、地下水への移行、大気との交換などの過程
  4. 底質については、河川や湖沼の水との交換、再浮遊などの過程
  5. この他、海域については、海域に接続している河口からの流入、海域表面での大気との交換などの過程

を記述しています。大気グリッドごとの大気中の濃度および、河道ごとの河川水中の濃度、小流域における土壌中の濃度、底質の濃度などを出力します(図2)。

モデル入力データ

モデルに対する入力値としては

  1. 大気グリッド、小流域単位での土壌、河道単位での河川それぞれへの化学物質の排出量
  2. 化学物質の物性値
  3. 小流域、河道などの地理データ
  4. 気象、水文等のデータ

などが必要となります。これらの入力値のうち、c、d については標準的なデータを用意していますが、a、b の排出量物性値については基本的にユーザーが用意する必要があります。

モデルとユーザーインターフェイスの関係

G-CIEMSモデルはメインのモデルプログラムと2種類のユーザーインターフェースから成り立っています。モデルプログラム自体は、Microsoft AccessのMDBファイルから直接データを取得し、MDBファイルにデータを直接出力します。このため、ユーザーインターフェースとあわせて利用することを前提としています。


本モデルのユーザーインターフェースのプログラムファイルもダウンロードファイルとして用意いたしました。モデルプログラムとユーザーインターフェースをあわせて利用することにより、比較的容易に操作可能なモデルシステムとして活用するこ とができます(図3)。


G-CIEMSモデルプログラムとユーザーインターフェイス

関連ツール

G-CIEMSでの計算結果は、可視化ツールを利用することで簡便に地図上に表示することができます。

一般的な化学物質に関して、排出推定ツールを用いて排出量の予測データを算出し、G-CIEMSを用いて環境中での濃度分布状況を予測することが可能です。ただし、G-CIEMSの排出データ等の設定は手動で実施して頂く必要があります。


参考文献