s-8 logo温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究

  1. HOME
  2. 研究内容
  3. 詳細
  4. S-8-1(8)

研究内容

S-8-1(8) 媒介生物を介した感染症に及ぼす温暖化
影響評価と適応政策に関する研究

 国立感染症研究所

 節足動物媒介性感染症、水媒介性感染症、原虫・寄生虫感染症への温暖化影響評価手法を確立し、感染症温暖化影響を全国規模で明らかにするとともに、地方自治体レベルにおける脆弱性や影響評価を行なう。さらに、アジアの発展途上国への技術移転を通してアジアにおける温暖化影響を評価する。これらの研究により、我が国における適応政策策定に貢献する。また、情報発信により国民の地球温暖化影響への理解を増進させる。

① 節足動物媒介性感染症に及ぼす温暖化影響評価と適応政策、国民への成果発信に関する研究
日本脳炎ウイルス増幅動物であるブタの抗体陽性率の調査を継続し、指標として、夏季の温度のみでなく、年間気温や冬季気温との関係、雨量との関係等を明らかにする。
日本脳炎患者数への温暖化影響評価手法を開発し影響評価を行う。自治体レベル、アジアで行ないうる影響評価手法を開発する。
日本脳炎温暖化影響評価を自治体と共同で展開する。さらに、アジアで影響評価が可能である日本脳炎患者数への温暖化影響評価手法を台湾とタイに技術移転し温暖化影響を明らかにする。

② 感染症媒介昆虫の活動に及ぼす温暖化影響に関する研究
感染症媒介蚊であるヒトスジシマカの東北地方における分布地域をさらに詳細に調査し、これまでの調査結果と今回の結果から地球温暖化影響を明らかにする。
媒介蚊の分布域調査に加えて、蚊の密度に及ぼす温暖化影響手法を開発し温暖化影響を明らかにする。さらに、地方自治体においても可能な影響評価手法を開発し技術移転する。
地方自治体における温暖化影響調査を開始する。地方自治体レベルにおける影響評価が可能であることを明らかにする。各地方自治体との共同研究によって、新たに侵入した地域における定着と分布域拡大に対する温暖化影響について明らかにする。

③ マラリア及び寄生虫症に及ぼす温暖化影響に関する研究
マラリア媒介蚊であるハマダラカに関するデータの蓄積がある富山県において、三日熱マラリアの再興と蔓延の可能性を検討する。ソロモン諸島における、気候要因とマラリア患者数の関係について解析する。南西諸島におけるマラリア再流行のモデルを検討し、適応策を示す。中国雲南省における気候要因とマラリア患者数の変化をもとに、数理モデルを作成する。
日本海地域におけるアニサキス感染率調査を実施する。福井県、富山県において暖性魚を中心にアニサキスの寄生状況と感染率調査を実施する。アジアでアニサキスの温暖化影響を明らかにする。

④ アジアで問題となる節足動物媒介性感染症に及ぼす温暖化影響に関する研究
台湾においてデング熱患者数調査、媒介蚊であるヒトスジシマカ、ネッタイシマカ分布域、密度と温度条件との関係を台湾CDCと共同で実施する。さらに、同地域における気候データの収集を実施する。
タイNIHと共同で、タイにおけるデング熱患者数、媒介蚊分布、気候データ収集を実施する。
台湾およびタイにおける温暖化影響を明らかにする。台湾、タイにおいて影響評価が可能であることを確認し、次に小島嶼国へ評価手法を展開する。

⑤ 水媒介性感染症に及ぼす温暖化影響に関する研究
遺伝子検出法を用いた環境中のビブリオ属の調査を開始する。地方自治体に技術伝達を図るとともに、実用的な利用に際しての技術的な課題と解決策を明らかにしていく。ビブリオ属菌の分布について、気候因子の影響を検討する。また、プランクトン等のビブリオ属菌との関連性、ならびに温暖化との役割を検討する。

 

グループメンバー(*:課題リーダー)

節足動物媒介性感染症に及ぼす温暖化影響評価と適応政策、
国民への成果発信に関する研究 
氏名
所属機関・部署
*倉根 一郎
国立感染症研究所
感染症媒介昆虫の活動に及ぼす温暖化影響に関する研究
氏名
所属機関・部署
小林 睦生 国立感染症研究所 昆虫医科学部
マラリア及び寄生虫症に及ぼす温暖化影響に関する研究
氏名
所属機関・部署
大前 比呂思 国立感染症研究所 寄生動物部
アジアで問題となる節足動物媒介性感染症に及ぼす温暖化影響に関する研究
氏名
所属機関・部署
高崎 智彦 国立感染症研究所 ウイルス第一部
水媒介性感染症に及ぼす温暖化影響に関する研究
氏名
所属機関・部署
泉谷 秀昌 国立感染症研究所 細菌第一部