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シナリオとは

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シナリオとは


 本プロジェクトでは、水資源、森林、農業、沿岸、健康の5つの分野に関して影響評価モデルを利用したシミュレーションを行っている。起こりうる将来を想定したモデルへの入力データを「シナリオ」とし、特にその中でも影響評価モデル毎のシミュレーションの条件を揃えるために与える共通な入力データを「共通シナリオ」と呼ぶ。共通シナリオは、前期(H22~23年度,共通シナリオ第一版)と後期(H24年度以降,共通シナリオ第二版)の2段階で開発が行われた。これらのシナリオは、気象・気候に関する気候シナリオと、土地利用・人口・資産等に関する社会経済シナリオに大別される。


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共通シナリオ第一版


 期間は1981-2000年を過去における基準期間とし、2031-2050年と2081-2100年を検討対象期間とした。気候シナリオにはIPCC第4次評価報告書用に利用されたものを利用した。影響評価のケースが合計で16通り存在する。
  • 気候シナリオ(4通り)
  • 社会シナリオ(人口・土地利用が現在と不変/将来変化)による影響の差(2通り)


2.1

気候シナリオ

 気候予測情報として利用する排出シナリオはSRESA1Bシナリオとし、気候モデルはMIROC3.2hires(水平分解能110km)、MRI-CGCM2.3.2(同280km)、GFDL CM2.1(同250km)、CSIRO MK3.0(同190km)の4つとする。


2.2

社会経済シナリオ:人口

 基準期間の人口情報は2005年の国勢調査を利用する。このデータは2005年の国勢調査に基づく日本の男女別年齢5歳階級別人口を3次メッシュで示したものである。将来シナリオについては、国立社会保障・人口問題研究所の2035年までの中位推計と類似した推計が可能なモデルを開発し、このモデルを利用して、都道府県別、男女別、5歳階級別人口を2100年まで5年おきに求め、それぞれの区分ごとに2005年比を2005から2100年にかけて求めた。最後に、2005年の国勢調査の3次メッシュ人口に、人口比をかけることにより、1km3次メッシュの人口データを開発した。


2.3

社会経済シナリオ:土地利用

 基準期間のデータは国土数値情報土地利用3次メッシュを利用する。土地利用の区分は11種(森林、田、その他の農用地、荒地、建物用地、幹線交通用地、その他用地、河川及び湖沼、海浜、海水面、ゴルフ場)である.
 将来シナリオについては、まず、人口を説明変数とする土地利用モデルを利用し、人口シナリオに対応する土地利用シナリオの開発を行った。すなわち、2006年の土地利用分布を基準として、2.1で求めた人口シナリオ(人口比)に応じて、建物用地面積が変化するシナリオを作成した。ここで、建物用地面積が増加する場合には、田、森林、荒地、その他用地面積が減少すると仮定し、建物用地が減少する場合には、荒地、その他用地を増加させ、全体の土地利用面積を一定に保った。


2.4

第一版影響評価結果 提供データ

  • 各シナリオにおける提供可能なデータについてはこちらをご覧ください。


    3

    共通シナリオ第二版


     対象期間は、基準期間を1981~2000年とし、二つの将来期間(21世紀半ば:2031~2050、21世紀末:2081~2100)を設定した。また、影響評価を実施する際には、社会経済シナリオ(人口や土地利用など)と気候シナリオが必要となるが、本研究では、日本における社会経済シナリオ(人口・土地利用)は現状から将来にわたって一定と想定した。気候シナリオにはIPCC第5次評価報告書用に利用されたものを利用した。


    3.1

    気候シナリオ

     放射強制力シナリオにはRCP2.6、4.5、8.5を選択した。RCPは代表的濃度パスを意味し、すなわち、21世紀末までの温室効果ガスの濃度がどのように変化するかを設定している。
     RCPが同じであっても気候モデル(GCM)間で気温や降水量の予測値は大きくばらつく。そこで、日本付近のモデル間のばらつきの幅を捉えるために、MIROC5(日本、東京大学/ NIES/ JAMSTEC)、MRI-CGCM3.0(日本、気象庁気象研究所)、GFDL CM3(米国、NOAA地球物理流体力学研究所)、HadGEM2-ES(英国、気象庁ハドレーセンター)の4つのGCMを選択して、影響評価用の気候シナリオをS-8共通シナリオとして整備した。


    3.2

    社会経済シナリオ(人口、土地利用)

     現在の人口データは、2005年の国勢調査にもとづくメッシュ単位人口(男女別・年齢5歳階級別)をもとに、国立社会保障・人口問題研究所が2008年に発行した2010年の市区町村単位の推計人口(死亡中位・出生中位)と整合するように作成したものである。
     現在の土地利用データは、2006年の国土数値情報土地利用3次メッシュデータを用いた。


    3.3

    第二版影響評価結果 提供データ

    • 都道府県別の提供可能なデータについてはこちらをご覧ください。