研究内容
S-8-1(7) 温暖化の健康影響
-評価法の精緻化と対応策の構築-
本研究の目的は、熱波など熱ストレスと大気汚染による健康影響評価の精緻化によって気候変化による健康影響の予測に資すること、および、予測した健康リスクのリスクコミュニケーションに基づいた熱波警報対策システムの構築及び実効性評価により、来るべき気候変化への対応策を提示することである。前者の対象は日本を含む東アジア・(可能ならば東南アジア)であり、精緻化によって日本の都道府県あるいは市町村レベルの将来予測を可能にし、簡易化によってデータの得られにくい途上国での予測を可能にする方策を探る。後者の対象はわが国の地方自治体である。可能であれば東アジア、東南アジアへの展開を図る。
① 温暖化死亡影響モデルの精緻化・簡易化
評価モデルに遅延効果および大気汚染の影響を組み込んだモデルのプロトタイプを完成させる。以下にのべるオゾンの影響も高精度モデルに組み込み、日本の将来予測を行う。
インフルエンザなど、感染症の影響を適切に評価できるモデルを完成させる。極端な気温における超過死亡推定の精度を高めたモデルを完成させる。気象パターンをいくつかに分け、それぞれの気象パターンごとに、数値モデルによりオゾン発生量を推定する。その典型的な気象パターンの分類を完成させる。得られた気象パターンごとのオゾン発生量の推定を行う。気候予測モデルによって気象パターンそれぞれの出現状況を抽出し、オゾン発生量の予測を行う。対象を東アジアに広げ、韓国、台湾などを含む広い緯度範囲にわたる評価を行う。可能であれば、WHO による共同研究の続きとして、モンゴルにおける熱波などの影響評価を行い、モデルの問題点を確認する。最終年度には、東アジア共通のモデルを構築して将来予測を行う。同様の作業を東アジア各国で行う。最終年度には、東アジアの温暖化による影響を推定する。
② 熱波警報対策システムの構築及びその有効性と経済性の評価
予防情報の精緻化をはかるとともに、自治体との交渉を進めながら海外での新たな展開に関する情報を収集し、実行可能と考えられるシステムを構築する。可能であれば、介入前の状況として高齢者の健康影響リスクに関する知識や居住環境調査を実施する。
構築したシステムを実際の自治体で稼働し、問題点を収集・克服して、現実の自治体で実行可能なシステムに改良する。一方で、韓国、台湾の研究者と協力し、両国におけるシステムを模索する。また、上記の評価を踏まえながら、対象地域を拡大する。可能であればリスクコミュニケーションのモニタリングとして高齢者の追跡調査も行う。
上記のシステム構築に際して、有効性・経済性評価法の面からシステム構築を吟味し、多面的な、より妥当性の高い評価が可能なシステムを構築する。日本国内の対象自治体を増やすとともに、システムの有効性・経済性の評価を実施する。同時に韓国、台湾においても有効性・経済性の評価を行う。また国内の自治体毎の評価を比較することで、さらに有効なシステムの要件を探る。
グループメンバー(*:課題リーダー)
温暖化死亡影響モデルの精緻化・簡易化 |
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① |
氏名 |
所属機関・部署 |
*本田 靖 |
筑波大学 人間総合科学研究科 | |
近藤 正英 | 筑波大学 人間総合科学研究科 | |
階堂 武郎 | 大阪府立大学 看護学部 | |
上田 佳代 | 国立環境研究所 | |
橋爪 真弘 | 長崎大学 熱帯医学研究所 | |
熱波警報対策システムの構築及びその有効性と経済性の評価 |
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② |
氏名 |
所属機関・部署 |
近藤 正英 | 筑波大学 人間総合科学研究科 | |
本田 靖 | 筑波大学 人間総合科学研究科 | |
小野 雅司 | 国立環境研究所 |
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