学校の購買店をもっとサステナブルな店舗にするには?[令和4年度環境カフェふくしま第6回開催レポート]サムネイル
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学校の購買店をもっとサステナブルな店舗にするには?[令和4年度環境カフェふくしま第6回開催レポート]

発表~循環型のまちづくり~

2023年1月26日、令和4年度環境カフェふくしま第6回を福島県立安積黎明高校にて開催しました。
令和4年度の通年テーマは「持続可能な社会」です。

前回に引き続き、小テーマ「循環型のまちづくり」についてです。
第5回の終わりに「学校の購買店をもっとサステナブルな店舗にするには?」という宿題で、一番身近な学校の購買店でどんな取り組みが行われているのか、そこに何か課題があるのかどうかを調べてきてもらいました。

前回の開催レポートはこちら
ライフサイクル思考で、消費者として自分ができる行動を考える[令和4年度環境カフェふくしま第5回開催レポート]]

※「環境カフェふくしま」は、環境課題をテーマに対話を通じて、問いを立てる力、質問力、探求力、観察力、理解力などの科学技術リテラシーを身につけることを目的とした、国立環境研究所福島地域協働研究拠点(以下、福島拠点)が行うプログラムです。
令和3年度の「環境カフェふくしま」は、安積黎明高校化学部の8名に協力いただいて実施しました。
過去記事:
対話で環境を学び合うプログラム「環境カフェふくしま」を安積黎明高校と行いました~オリエンテーション、第1回から第6回~
脱炭素社会には何が必要?「環境カフェふくしま」の報告会を開きました
対話で学ぶ「環境カフェふくしま」を一緒に開催してみていかがでしたか? ~安積黎明高校化学部顧問 益子章先生へのインタビュー~

第6回は、3グループに分かれた課題の発表から始まりました。
3グループとも、購買部の先生にインタビュー調査を行い、パンやお弁当、文房具が地域の小売店などから仕入れされているなど安積黎明高校の購買店の運営が地元に密着した形で行われており、生徒の生活に寄り添ったものになっていることを調べてきてくれました。

すでに「持続可能な」形態での運営をしていることが共通の気づきとして挙げられました。
一方で、課題の着眼点はそれぞれ異なり、それぞれのグループで課題への対策案を発表してくれました。

グループ名「パン食べ隊」の発表

課題は「商品が増えないと客足が減ってしまう」こととしました。
商品が増えないと客足が減り、商品が回らずに購買部が衰退してしまうことが理由です。

商品数がそのままだと、地元の業者とのつながりも限られたままで、地域の産業も衰えてしまう可能性が高く、持続可能ではないと考えました。

この解決策は、シンプルに「商品の数を増やすこと」としました。
客足を増やすために、商品の数を増やし、購買を活発にし、地元とのつながりも増えるだろうと考えました。
一方で、商品数が増えると売れ残りの可能性に気付き、売れ残りを軽減させる方法も話し合いました。

グループ名「パン食べ隊」の発表の様子
グループ名「パン食べ隊」の発表の様子
グループ名「パン食べ隊」の発表スライド 改善策
グループ名「パン食べ隊」の発表スライド(一部)

グループ名「購買部革命軍☆」の発表

「生徒たちにとって今よりも楽しめる持続可能な購買をどうやって目指すか」という課題を立てました。
もし購買の商品が減ると、生徒の選択肢が減り、売り上げが減り、購買の持続可能性が低くなります。購買の商品を減らさないようにするため、生徒がもっと購買室を利用したいと思えるような取り組みが必要と考えました。

そこで、私たちは解決策を2つ考えました。

1つ目は、生徒の意見を取り入れやすい仕組みをつくることです。
現在、安積黎明高校の生徒会では生徒がより良い学校生活を送るために、生徒からの意見や要望などを集める目安箱を設置するという取り組みが行われています。
購買室においても似たような仕組みをつくり、生徒の意見を取り入れ、購買を利用する生徒を増やせば、購買の訪問数が上がり、売り上げも上がるのではないかと考えました。

2つ目は購買委員会が生徒に購買室の現状を伝えることです。
今回の調査を通じて、私たちが購買の抱える問題を全く知らなかったと実感しました。
私たちと同じように、購買の実態を知らない生徒はかなり多いと考えます。
購買だよりを作成するなど、生徒が購買の現状を知るきっかけをつくることが大切だと感じました。

グループ名「購買部革命軍☆」の発表の様子
グループ名「購買部革命軍☆」の発表の様子
グループ名「購買部革命軍☆」の発表スライド
グループ名「購買部革命軍☆」の発表スライド

グループ名「お弁党」の発表

課題を「需要の高い商品があまり把握できていないこと」と、「購買にどんな商品があるのか認知されていないこと」に設定しました。

解決策についてです。
まず需要がある商品を把握するために、まず生徒や教師にアンケートをとる必要があると思いました。
この方法で需要を把握し、新しい商品を入荷できると考えました。

次の解決策です。
入荷した新しい商品やすでに購買で売られている日替わり弁当などは売られていることの認知度が高くありません。
そこで、昇降口など、人が絶対に通る場所に大きく写真を貼り、目につきやすくし、購買店の商品への認知度を高め、利用者を増やせるだろうと思いました。
すると、需要も増えるので、最初の解決策に戻って、需要を確かめ、商品を増やし、購買を使う人をさらに増やすというサイクルを回していけます。
このサイクルをつくることで購買を持続可能なものにできるのではないかなと思いました。

グループ名「お弁党」の発表の様子
グループ名「お弁党」の発表の様子
グループ名「お弁党」の発表スライド
グループ名「お弁党」の発表スライド

3グループの発表の後は、「未来にサステナブルな買い物が出来ているとしたら、それはどんなものだろう?」という問いで話し合いを行いました。
発表を終えた後で、それぞれが調べてきた内容も含め、さまざまなアイディアが飛び交いました。

発表については、「同じテーマで調査したにもかかわらず、着眼点が各グループで違っていたのがおもしろく感じました。」といったコメントがありました。
また、その後のグループでの話し合いについても
「みんなの意見をたくさん聞けて、自分の考えの幅が広がりました」
「自分たちの身の回りにある建物やものを大事にしていきたい」
「技術発展により人を介在しない買い物が当たり前という意見があったが、人と人の触れ合いは大事にしたい」
といった感想がありました。

コメントする大西主任研究員
発表を受けて、内容にコメントする大西主任研究員
グループワークで話し合う生徒たち
グループワークの様子
グループワークで話し合う生徒たち
グループワークの様子

ここまでで、一連のプログラムは一区切りです。
これからは、2023年3月24日の成果報告会に向けて、発表のテーマ設定からその内容の調査、発表資料の作成に取り組んでもらいます。

まだ何の発表をするかすら決まっていない段階ではありますが、6月から「環境カフェふくしま」で学び、だんだん自然に発言する様子から成長を感じ、これからどんなものがつくられていくのか楽しみです。

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概要

今回の目的
テーマ「循環型のまちづくり」に関して、4回目からの学びを振り返り、第5回の宿題を通して自分が理解し、感じたことを対話によって整理する。
達成目標
・宿題で調べてきたこと、考えたこと、感じたことを言葉にする
・発表や対話から何か気付きを得ること
・4回目から今回までで学んだこと、増えた知識、考えたことを把握する
開催形式
対面(福島県立安積黎明高校)
開催日時
2023年1月26日 15:30~17:00
参加人数
生徒10人+教員1人
NIESスタッフ
5人

プログラム

15:30
はじめに&チェクイン
15:35
発表準備
15:37
発表(12min+Q&A:3min)
16:22
対話の時間
16:48
振り返り
16:53
ワークシート記入
16:58
今後のスケジュールについて
17:00
本編終了