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三春、冬の、山の学校。[第6回山の学校開催レポート]

山を後に、三春の環境創造センターで開催。

2022年12月10日、いつもは郡山市逢瀬にあるNPO法人しんせいの山の農園にて開催される「山の学校」ですが、冬に山に入るのは難しいため、第6回と第7回の「環境学習プログラム」は、環境創造センター(福島県三春町)で開催されました。

過去の開催レポートはこちら
山の学校、開校。
里山の夏。山の学校。
恵みの秋。山の学校。

「山の学校」は、NPO法人しんせいが進める山の農園を活用した体験学習の場です。
NPO法人しんせいは、東日本大震災・原発事故後、その影響を受けた障がい者を支援する活動を行ってきた団体です。
2021年度から、国立環境研究所福島地域協働研究拠点は、NPO法人しんせいが進める山の農園プロジェクトの支援を行ってきました。
山の学校は、山の農園を活用した体験学習の場で、そのうちの『環境学習プログラム』を福島拠点が担当します。

10時前に続々と、コミュタン福島の駐車場に参加者が到着。
青空が広がり、日の光がまぶしく、12月とは思えない心地よい朝です。

3Dにっぽんを見学する参加者
研究棟NIESエリアを見学する様子
参加者に説明を行う林研究グループ長
研究棟NIESエリアを見学する様子

見学から戻り、林誠二研究グループ長(福島地域協働研究拠点)から「原発被災地の今」について講義が行われました。

東京電力福島第一原子力発電所事故から11年余り経つ中で、原発事故によって環境中に放出された放射性セシウムの森林や河川での動きの特徴やその変化、山菜や野生キノコ、淡水魚の汚染状況などについて、研究の成果を紹介しながら説明がなされました。
参加者は、メモを取り、スライド資料の写真を撮り、熱心に聞き入っていました。

講義後には、2011年の東京電力福島第一原子力発電事故後、水産物や山菜などの食品への影響や人体での代謝のメカニズムなどの質問が次々と上がりました。

大原利眞校長(山の学校)からは、昨今の気候変動についての講義が行われました。
国立環境研究所福島拠点では、山の農園の敷地で、風や気温などの気象要素を測定してきました。
これまでの観測データをスライドに映し出して、郡山市街地との気象の違いや最近の気温の上昇傾向について説明していきます。

大原校長の講義の様子

途中、「郡山で猛暑日は、1980年代は1日でした。2012年~2021年では何日だったでしょうか?*」というクイズを出し、「皆さんは、昔と比べて気候変動の影響が出てきていると感じていますか?」と問いかけ、そのたびに参加者からは驚きの声が上がるなど、近年の異常気象などを気にかけている参加者が多いようでした。

この講義の後も「気候変動ではなく、気候危機という言葉になっているのはなぜか」「地球温暖化の最大限の原因はCO₂で、他に大きな要因はなにか」など研究者に直接聞ける機会に積極的に手をあげる姿が印象的でした。

福島県に特有の放射能影響の環境課題、そして全世界的な気候変動という環境課題について、普段なじみのない参加者へも響いた環境学習プログラムとなりました。

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概要

イベント名
第6回山の学校
開催日時
2022年12月10日(土)
会場
環境創造センター(福島県三春町)
参加者
あさか開成高校、NTT労働組合、しんせい、福島拠点
主催
NPOしんせい
共催
国立環境研究所福島地域協働研究拠点

講師

林 誠二

福島地域協働研究拠点 研究グループ長/地域協働推進室長

大原 利眞

埼玉県環境科学国際センター所長/国立環境研究所 客員研究員(前福島支部フェロー)