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モデル・ツール群の概要

我々は、それぞれの用途・目的に応じたシステムとしてモデルとツール群を開発しています。各モデル・ツールは単独での利用が前提となっていますが、相互に深く関係を持っています。ここでは各モデル・ツールの概要説明および相互関係を解説します。


公開モデル&ツールの概要

曝露評価における環境モデル

曝露評価における環境モデルには対象化学物質の特徴や予測結果の利用目的など様々な要因が関係します(環境モデルの背景G-CIEMSの背景を参照)。多くの化学物質に関して網羅的に評価するためには、一つ一つの化学物質に関する情報が少なくても、より多くの化学物質について予測できる事が大切です。一方、多くの情報を入手することが可能であれば、詳細に状況を把握した方が、特定の化学物質をより正確に評価できます。より多くの化学物質に関して評価する事を目的に作成したシステムがMuSEMです。空間的な分布を正確に予測することを目的に作成した環境モデルがG-CIEMSです。

MuSEMの中には、用途や物性などの基本的な情報だけで様々な化学物質の環境中への排出量を予測するための機能が備わっています。排出推定ツールでは、その機能を利用して、様々な化学物質の排出推定を実施すること、さらに排出量の地域的な分布状況を計算することを目的としています。また地域配分データは、G-CIEMSで利用可能な排出量データとしても活用することを考慮しています。

可視化ツールでは、G-CIEMSの計算結果や排出推定ツールでの推定結果、人口分布などの既存情報などを地図表示することを目的としています。


G-CIEMS

G-CIEMS(Grid-Catchment Integrated Environmental Modeling System)は、国立環境研究所において新たに開発した詳細な空間分解能を持つGIS多媒体モデルです。GIS(地理情報システム)で用いる地理データに基づき、多媒体の媒体間の輸送と、大気、河川等での輸送との両方を同時に計算して、媒体間の輸送や分配と地点間の輸送と同時に推定するモデルです。

モデルプログラム本体に加えて、日本全国の地理・水文等のGISデータやサンプル入力ファイル群などを用意しており、比較的容易に操作可能なモデルシステムとして活用することができます。(G-CIEMS公開ページへ

MuSEM

MuSEM(Multimedia Simplebox-systems Environmental Model)は、1994年にオランダの国立公衆衛生・環境保護研究所(RIVM)の化学物質評価グループが開発したUSES(Uniform System for the Evaluation of Substances)を基にして開発した環境リスクの統合アセスメントプログラムです。

Mackay Level III型(非平衡・定常・移流あり)の動態予測シミュレーションモデル(環境動態モデル)が含有されており、特に化学物質の曝露評価に特化したアセスメントプログラムです。環境動態モデルでは、環境へ放出された化学物質について、大気、水、土壌、底質、生物等の多媒体中での挙動を予測します。対象空間として3つの入れ子状の領域(global、continental、regional)を有し、各領域内の媒体間の挙動や領域間の物質移動をモデル化して化学物質の濃度を推定します。 (MuSEM公開ページへ

可視化ツール

GIS表示ファイル作成ツール(可視化ツール)は、上記のG-CIEMSにて計算した結果から、地図表示可能な形式のファイル群を作成するためのアプリケーションソフトです。G-CIEMSの計算結果だけでなく、入力データ関連データの地図表示も可能です。(可視化ツール公開ページへ

排出推定ツール

排出推定ツールは化学物質の排出推定を実施するためのツールです。MuSEMを用いても排出推定を実施することは可能ですが、より詳細で複雑な排出推定にも対応できることが特徴です。また排出推定結果を地域配分して、地域別の特徴を把握することも可能です。(排出推定ツール公開ページへ