奨励・萌芽研究(平成23年度終了)
 樹木葉圏における微生物群集がアンモニア酸化に及ぼす影響

概要
 樹木の葉圏には多くの微生物が存在していることが知られていますが、それらが生態系の中でどのような役割を果たしているのかについては未だよくわかっていません。本研究では、これまでその存在が明らかにされていない樹木葉圏微生物群集によるアンモニア酸化(硝化)に注目し、その存在を明らかにすることおよびそれらが地球規模の窒素循環に与える影響を評価することを目的とし、その基礎的研究を行っています。


 
日本の森林(人工林)
葉圏微生物について
 葉圏の環境は、強紫外線、乾燥および風雨にさらされていたり、栄養源に乏しかったり、植物由来の抗菌物質が生産されているなど微生物が生育するためには非常に過酷な環境と言えます。しかしながら、そこには多くの微生物が存在しており(106〜107 cells/cm2)、大気中や土壌中とは異なる微生物叢で構成されていることが知られています。地球上に存在する葉の表面積は膨大であり(約6.4×108 km2)、葉圏微生物が雨水や乾性沈着物中のアンモニアの酸化に寄与しているとすると、地球規模の窒素循環や森林生態系に重要な役割を果たしている可能性があります。

現在の取り組み
  1. 化学的な手法による解析 葉圏微生物を含む林内雨を培養し、培養前後のアンモニアおよび硝酸の濃度変化を追跡することで、葉圏微生物によるアンモニア酸化の有無を調べています。

  2. 安定同位体比による解析 葉圏微生物を含む林内雨を培養し、硝酸の窒素および酸素の安定同位体比を追跡することで、葉圏微生物により雨水中のアンモニアが硝酸に変換されたことを確認しています。

  3. 分子生物学的手法による解析 微生物由来のアンモニア酸化遺伝子(amoA)に着目し、クローニング等の分子生物学的手法により、葉圏のどのような微生物がアンモニア酸化に関与しているのか、またそれは葉圏微生物のどのくらいの割合を占めているのかについて解析を行っています。

スギ葉面菌の電子顕微鏡写真

スギ葉面菌の電子顕微鏡写真
 
樹木葉圏からのamoAの検出

樹木葉圏からのamoAの検出
 

 
このページを閉じる
 

〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2
TEL:029-850-2314
FAX:029-851-4732 e-mail:www@nies.go.jp
Copyright(C) National Institute for Environmental Studies. All Rights Reserved.