重点研究プログラム
 東アジア広域環境研究プログラム

【プロジェクト2】
広域人為インパクトによる東シナ海・日本近海の生態系変調の解明

 東シナ海は世界的にも水産資源が豊富な海域であり、日本、中国、韓国など周辺諸国の国際的な入合漁場となっています。水産資源が豊富である理由には、水産生物の産卵・生育場として適した広大な大陸棚があること、水産生物の餌となる植物プランクトンの光合成に必要な窒素・リンなどの栄養塩が、陸からは長江、沖からは黒潮によって供給されることなどが挙げられます。しかしながら、近年の中国大陸沿海部や長江流域における市域・産業活動の急速な拡大・発展は、生活・工業・農業排水の急増をもたらしています。その結果、長江経由で東シナ海に流入する河川水の水量・水質(栄養塩)に大きな変化が生じ、東シナ海の環境への影響が懸念されます。
 このプロジェクトでは、陸域からの汚濁負荷流出量の増大が中国国内の水環境や東シナ海・日本近海などの海洋環境・生態系にどのような影響を及ぼしているか、陸と海のフィールド調査やコンピュータシミュレーションによって明らかにするための研究に取り組んでいます。また、東アジアにおける陸域・海洋の広域水環境を将来予測するとともに、陸域と海域を統合した環境・生態系の保全・改善方法を検討しています。

 このプロジェクトでは、以下の3つのサブテーマにより、研究を進めています。

1. 長江流域圏から東シナ海への汚濁負荷量の予測手法の開発
 長江流域圏から東シナ海に流出する汚濁負荷量について、経年変化や土地利用・社会経済・環境政策の関係を明らかにするため、以下の研究を行っています。
  • 土地利用・産業統計に基づく汚濁発生量のデータベース構築・解析
  • 長江流域の汚濁負荷(窒素・リン)流出シミュレーション

2. 東シナ海陸棚域の生態系劣化機構の解明
 初夏の東シナ海陸棚域に出現する植物プランクトンの異常増殖現象(赤潮)に着目し、以下の研究を通じて、東シナ海の環境・生態系の変化や陸域汚濁負荷との関連性について研究を行っています。
  • 東シナ海の航海観測による環境・生物の実態調査
  • 海水マイクロコズムによる植物プランクトンの培養実験
  • 海洋流動・水質・生態系シミュレーション

3. 陸域・海域統合環境管理に向けた陸域負荷削減シナリオの検討と海域環境の応答予測
 サブテーマ1と2の知見・技術を統合して東アジアにおける陸域・海洋の広域水環境を将来予測するとともに、陸域負荷量の削減など陸域の環境保全施策が東シナ海・日本近海の海域環境に及ぼす影響を評価し、陸・海統合環境管理のあり方について研究を行っています。
 

プロジェクト2の概念図

本プロジェクトの概念図。長江流域の汚濁負荷が東シナ海・日本近海の海洋環境に及ぼす影響・メカニズムを解明し、将来の陸域負荷に対する環境変化の予測に取り組んでいます。
 

 
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