SusBB指標は、高度に複雑化する社会のなかで、社会の全体像を視覚的にわかりやすく理解することを最重視しています。
そのため、単一の指標ではなく、複数の指標を用います。指標の数は、複雑な状況を示すのに少なすぎず、かつ情報過多になって理解困難にならないように多すぎず、10~20程度の数とすることを想定しています。SusBB指標では、絶対評価と相対評価を組み合わせて、積み木状の形状と色を次のように決定します。
各積み木の横幅は、ある時点(t年)における当該指標の望ましい状態の達成度を示します。指標の目標値である100%を基準とし、目標達成度のパーセントで横幅が決定されます。現在のバージョンで使っている目標値は表1のとおりです。
No. | 指標名 | 目標値 | 目標値設定の根拠 |
---|---|---|---|
1 | 生活満足度(%) | 80 | 「まあ満足している」に至らない人を5人中1人にとどめる |
2 | 一人あたり余暇時間(時間/週) | 40 | 日本人は働きすぎという批判があることをふまえて、現在よりも約4時間増やす目標と設定 |
3 | 健康寿命(年) | 75 | 「健康日本21」では平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加という2022年度目標設定を参照して設定 |
4 | 相対的貧困率(%)<ネガティブ指標> | 11 | OECD Income Distribution Database の2020年時点の最新OECD加盟国データの平均値を採用 |
5 | 完全失業率(%)<ネガティブ指標> | 3.0 | 「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)では「失業率については、できるだけ早期に3%台に低下させる」と記載 |
6 | 実質GDP(兆円) | 580 | 2020年頃に名目GDP600兆円とする政府目標を、最新(2019)年度データを用いて実質GDPに換算 |
7 | 一人あたり民間総資産額(万円/人) | 7,000 | 2000年代におけるリーマンショック前の好況な状態として2005年値を四捨五入して採用 |
8 | 一人あたりの生産された資本(万USD/人) | 15 | 2000年代におけるリーマンショック前の好況な状態として2005年値を四捨五入して採用 |
9 | GDPあたり政府債務残高(%) <ネガティブ指標> | 60 | EUのマーストリヒト基準に基づく |
10 | 連帯指数(社会連帯指標)(-) | 0.73 | 35か国中の10位以内に入るようにする(10年間の10位の平均値) |
11 | 民間企業の管理職に占める女性割合(%) | 30 | 第4次男女共同参画基本計画の目標値を参照しつつ、国際的に低いことを鑑み、大幅向上という設定 |
12 | 社会貢献意識のある人の割合(%) | 67 | 3人中2人と設定 |
13 | 温室効果ガス排出量(億トン-CO2換算) <ネガティブ指標> | 0 | 2050年にカーボンニュートラルを実現するという国の宣言をふまえ、排出量ゼロで目標達成度100%とし、2030年目標の基準年度である2013年度の排出量で目標達成度が0%となるように設定 |
14 | 再生可能エネルギー利用率(1次エネルギー)(%) | 22.5 | 第6次エネルギー基本計画では2030年度の1次エネルギーにおける再エネ率を22~23%と見込んでおり、22.5%と設定 |
15 | 環境基準達成率(%) | 99 | 最新年よりも改善するが、1%は受忍するとして設定 |
16 | 自然資本(億USD) | 57 | 生物多様性の問題が世界的に認識された生物多様性条約の発効年よりも前の状態に戻すことを想定し、1990年値を四捨五入して採用 |
指標が改善されているか、悪化しているかのトレンドを改善率を用いて「5%以上改善」「5%以上悪化」「その中間」の3つに判定しています。
改善率は次のように算出します。
各積み木の色は、上記の絶対評価と相対評価を組み合わせて、表2のとおりに判定します。
相対評価(5年前からの改善率) | ||||
---|---|---|---|---|
5%以上改善 | ±5%以内 | 5%以上悪化 | ||
絶対評価 (目標達成度) |
100%以上 | |||
80~100% | ||||
80%以下 |
SusBB指標の項目とデータは、持続可能性連環体系の指標と同様にして収集・整備を行いました(詳しくはこちらのページを参照)。SusBB指標では、収集した50以上の指標のなかから「人々」「経済」「環境」「社会」の4つの状態を端的に表し、かつ10年以上の時系列データが存在するものをヘッドライン指標として採用しています。
現在は、16の指標を表示しています。今後、時代の変化に伴って指標を再選定することを想定しています。SusBB指標の積み木状の表現は、指標数が変わっても同様のイメージを捉えることができるため、時代変化に強い指標体系といえます。