PROJECT

沿岸環境・生態系
デジタルツインプロジェクト
とは

我が国の沿岸域は、水質改善は進んだものの、生態系の回復には至らず、低迷が続いています。今後の環境保全は生物多様性・生産性の保全・再生が重要となります。「自然共生サイト」の認定が始まり、市民・民間等による藻場・干潟の保全・再生への取組みが高まっていますが、それらを湾全体の保全・再生に繋げるには、個々の取組みの効果や価値を評価し、分かりやすく伝えることが必要です。
本プロジェクトでは、様々な人間活動や自然変動が沿岸環境・生態系に及ぼす影響を予測し、その結果をバーチャル空間上で可視化するデジタルツインを開発します。テーマ1は統合評価モデルと「見える化」技術の開発を、テーマ2~4は自然共生サイト(藻場や干潟等)における「場の保全・再生」の取組みの評価とモデル開発を担当し、特に知見が不足している「場と湾の繋がり」の研究を推進します。
デジタルツインは、豊かな海の方策検討ツールとして環境政策に貢献し、市民・企業・行政等が立場を超えて理解や議論を深めるコミュニケーションツールとして保全・再生活動の促進に役立つことが期待されます。

THEME

テーマ01

沿岸環境・生態系デジタルツインの
開発と実践

様々な人間活動や自然変動が沿岸域の水環境と生物多様性・生産性に及ぼす影響を予測する「統合評価モデル」と、予測結果をバーチャル空間上でわかりやすく可視化する「見える化」を搭載した「沿岸環境・生態系デジタルツイン」を開発します。

テーマ02

自然共生サイトの生物多様性と
構成種の生態に関する
観測研究・基盤データ集積

自然共生サイトの生物多様性(種・生態系・遺伝子)形成・維持機構、構成種の生態情報などの知見を集積し、デジタルツイン開発に資するデータベースを構築します。

テーマ03

自然・人工サイトとの相互作用を
考慮した沿岸域の物質循環・
輸送モデルの開発

藻場などがある小さなサイトから湾全体まで、様々なスケールで構成される水・物質循環と生態系ネットワークを評価するため、多様な自然・人工サイトの生態系モデルと、それらを連結した沿岸域の循環・輸送モデルを開発します。そして、自然共生サイトや人工護岸周辺等のサイトスケールの物質循環・生態系が湾全体に及ぼす影響を定量化する数値シミュレーション手法を提案します。

テーマ04

自然共生サイト・内湾における
低次−高次生態系網の
数理モデルの開発

藻場・干潟など自然共生サイトの空間スケールならびに閉鎖性内湾の空間スケールにおける水質-低次-高次生物にわたる食物網(低次-高次生態系網)の動態を解析する数理モデルを開発し、環境変化に対する低次-高次生態系網の応答を解析します。