第4期中長期計画(2016-2020年度)安全確保研究プログラム

安全確保研究プログラム 概要

安全確保社会実現のためのリスク科学の体系的構築研究プログラム

 環境の諸問題の解決を目指す努力の中で、安全確保は低炭素社会、循環型社会、自然共生型社会いずれを考える上でも基礎として必ず担保すべき課題と位置づけられます。環境における安全確保については、公害問題から微量汚染物質問題へ、さらにリスク評価から地球規模問題に至るさまざまな課題が提起されてきました。新たな本研究プログラムでは、化学物質等の包括的なリスク評価・管理の推進と、大気・水・土壌等の環境管理・改善のための対策技術の高度化及び評価・解明に資することを目指して、生体高次機能、継世代影響などの健康・環境リスクの評価・管理手法、新たな生態影響評価体系、迅速性と網羅性を高める化学分析と動態把握、PM2.5などの大気汚染、地域水環境保全に関する体系的研究、及びこれらに基づくリスク管理の体系化に関する研究について、以下の8つの研究プロジェクトによって取り組みます。

  •  化学物質曝露に起因する小児・将来世代の健康影響について、生体高次機能および多世代・継世代影響に着目した影響機序の解明や新たな評価手法の開発。
  •  環境中の多種多様な化学物質の網羅的な把握のため、環境媒体の汚染や影響を迅速に検知するための測定法、解析手法及び影響要因推定法の開発と、その現場適用の試行。
  •  化学物質等の様々な環境かく乱要因による生態系への影響の評価と、特に人為的環境かく乱要因に着目した効果的な対策を講じる基礎とするための生態学的数理・統計モデルの構築。
  •  多種多様化する化学物質に適応する新たな管理手法としての生態影響試験法の充実と、実環境中での実態把握と評価の実効性の確認、及びそれらを包括した効率的な生態影響の評価体系の確立。
  •  健康・環境リスクの評価や管理に求められるさまざまなスケールにおける、化学物質の未解明な動態の解明と、多媒体環境における化学物質動態の適確な把握・予測手法の構築。
  •  大気質モデルの性能向上と疫学的知見の収集を中心とした研究、及び、大気汚染物質の排出削減対策の方向性の提示と、健康影響の解明、注意喚起情報の発信。
  •  地域特性に応じた水質保全・管理技術の開発と水域の炭素・窒素の代謝特性、微生物学的特性などの多様な指標に基づく健全性評価と、排水インベントリ等に基づく技術評価。
  •  上記の各課題の科学的成果を受けた、リスク評価科学事業連携オフィス等を通じた行政への具体的成果の展開を目指した実践的な技術開発と、社会実装を目指した管理体系の基礎を構築。

 本プログラム研究の成果により、持続可能な開発に関する世界サミット目標(WSSD2020年目標)と大気汚染対策、健全な水循環の達成に貢献し、さらに2020年以降の持続可能な安全確保社会に向けた包括的な化学物質管理と大気・水環境管理を通じた安全確保社会達成への貢献を目指します。

安全確保研究プログラム(プロジェクト1~8)概要図