オゾン層
(そう)
は、地表から10〜50kmの高さを中心に広がり、太陽からくる有害な
紫外線
(しがいせん)
から、地球にすむ生き物たちを守る役目をしています。しかし近年、人間が作り出したフロンなどの気体によって、オゾン層が破壊
(はかい)
され、人間の健康がおびやかされたり、植物の遺伝子
(いでんし)
に影響
(えいきょう)
をおよぼすといわれています。
オゾンは太陽からの紫外線が酸素
(さんそ)
にあたって発生するといわれており、オゾン濃度
(のうど)
の最大は高度20km(高緯度
(こういど)
地方)〜25km(低緯度地方)に現れます。紫外線は人間や生物にとって有害なものですが、このように、オゾン層は太陽からの有害な紫外線が地表に届くのを防ぐ役割
(やくわり)
をしています。
しかし最近、人間が作り出したフロンなどの物質が大気中に放出
(ほうしゅつ)
された結果
(けっか)
、オゾン層にまで到達
(とうたつ)
してオゾンと化学反応を起こしてオゾンを少なくしてしまう現象
(げんしょう)
(オゾン層の破壊)が起きており、これらのオゾン層破壊物質
(ぶっしつ)
の製造禁止
(きんし)
などの措置
(そち)
がとられるようになっています。
「オゾン層」って、なんですか?
オゾン層の破壊はとめられるの?
「フロン」って、なんですか?
どうやって、オゾン層をこわすのですか?
オゾン層破壊の仕組みを調べ、将来の変動を予測
(よそく)
する研究所の取り組み
オゾン層破壊の仕組みを明らかにするため、人工衛星の観測
(かんそく)
データを使い、オゾン層がどう変化しているかを研究しています。
人工衛星に積んだILAS(オゾンのようすを測定
(そくてい)
する計器
(けいき)
)によって、もっとも大きくなった2003年のオゾンホールについて、できあがるところからなくなるまでを連続して測定するなど、オゾン層の破壊に関する多くの貴重
(きちょう)
なデータを得ることに成功しました。研究所ではこの観測データを処理
(しょり)
し、オゾン層の変動に影響
(えいきょう)
をおよぼす物質の濃度
(のうど)
分布をみちびき出すためのシステムを開発・改良しています。最近では、オゾン層破壊の仕組みを探
(さぐ)
る上で重要な、硝酸塩素
(しょうさんえんそ)
(ClONO2)という物質がどの高さに分布しているか明らかにしました。
ILASを積んだ人工衛星、大気圏
(たいきけん
=地球をとりまく空気の層
)
にどれくらいの量のオゾン層が存在するかを観測し、データを送ってくる
茨城県つくば市や北海道で、地上からオゾン層の観測を続けています。
オゾン層の破壊物質であるフロンやハロン等の物質の使用が規制
(きせい)
され、現在では、それらの物質が減少
(げんしょう)
しはじめています。それによって、オゾン層がどのように回復
(かいふく)
していくのかを知るために、スーパーコンピュータを利用して南極や北極上空のオゾン層の変動について、正しい予測
(よそく)
をするための研究を行っています。
南極のオゾン全体量の将来
(しょうらい)
予測
、
オゾンホールの将来予測
オゾン層の破壊によって紫外線が増
(ふ)
えると、人の健康や生物にどのような影響をおよぼすのか、次のような研究をしています。
●人の健康(たとえば白内障
(はくないしょう)
や皮膚
(ひふ)
がん)と紫外線にはどんな関係があるか。
●紫外線によってこわれた植物の遺伝子
(いでんし)
が、白色光
(はくしょくこう)
によって回復する仕組みを調べる。
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