福島第一原発事故後、放射線量の高い地域においては避難指示が続いており、農耕や草刈りなど人為的な管理の中で維持されてきた里山の自然は大きく変化していると考えられます。国立環境研究所では、災害環境研究の一部として2014年度より避難指示区域を含む福島県阿武隈川以東の範囲において、鳥類・哺乳類・昆虫類・カエル類を対象とした生態系モニタリングを実施しています。鳥類については、特に震災による無居住化や宅地・農地の除染の影響を最も受けやすいと考えられる人里周辺に生息する「身近な鳥」を主なターゲットとし、学校の校庭等の公共用地約57地点にてICレコーダーによる音声モニタリングを実施しています。
本調査は図1に示した57地点(避難指示区域内24地点、区域外33地点)において実施しています。すべての調査地点は学校の校庭や公民館等の敷地内に位置しています。毎年5月中旬から6月下旬にかけて、ICレコーダー(図2)により日の出前後20分間の自動録音を毎日行い、1分単位で出現種を識別して記録しています。調査は2022年度まで継続する予定です。
なお、本モニタリングプロジェクトは、下記の活動と連携して進めています。
全国繁殖鳥類分布調査
福島県東部における鳥類等野生生物の長期モニタリング (東京大学・石田健助教)
第21回「野生生物と社会」学会沖縄大会(2015年11月22日)にて発表しました(PDF:1MB)